| 『父さん こんにちわ。元気にしてるかな?母さんや粧裕はどうだろう?Lからは全く新しい戸籍と名前を作って僕達のことを知ってる人がいない場所に引っ越したときいたけど。 裁判が終わってもう半年もたつのに何の連絡もしなくてごめん。手紙を出すことは(検閲はされるけど)禁止されていなかったんだけど。何となく気持ちの整理がつかなかったから。 まずは僕の今の状況を報告するよ。僕とミサはどこかの国にLが作らせた屋敷で暮らしている。ここが、僕とミサにとっての世界の全て、死ぬまで暮らす場所 だ。設備はまるで一流ホテルのロイヤルスイートだ。生活に必要なものは最初から全て揃っていたけれど、他に欲しいものがあれば『金で買えるもの』なら何で も手に入る。この間冗談で『拳銃が欲しい』と言ったら本当に届いて唖然としたよ。こんなもの与えていいのか、と聞いたら『自殺したければ御自由に』って返 事が帰って来た。いかにもLらしいよね。 食事は自分達で作ったり、届けてもらったりしている。以前ミサが『モスのハンバーガーが食べたい』と言ったことがあってね。ここが日本かどうかも分から ないのにそれは無理だろう…と思っていたら、店で出すようなトレイにのって届いて、ミサは大喜びだった。一体どういうルートで運んだんだろうと首を捻った よ。 もちろん、制限されてることもある。パソコンはあるしインターネットはできるけど、掲示板への書き込みやメールを出すようなことはできない。こちらから 連絡がとれるのはLだけだ。屋敷の中も自由に出入り出来る部屋は限られている。屋敷の外に出ることも出来ない。それは予想していたけれどミサ以外の誰とも 顔を合わすことも口をきくこともできないのは辛かった。頼んだものが届いた時は一旦僕達は別室に移動し、作業が済んだらまた戻るという面倒なことをしなく てはならない。1ヶ月に1回くらい様子を見に来るLだけが、ミサ以外に僕が会える唯一の人間だ。あいつの顔を見るのが嬉しいと思うなんて…皮肉だよね。 ミサは満足そうだ。一生この屋敷から出られなくても、僕以外の誰とも会えなくても、彼女は幸せなんだろう。『ここまでしてくれるなんて、Lって本当にい い人ね』とはしゃいでいた。そんな彼女が最初は鬱陶しくてたまらなかったけど、最近は愛情みたいなものも感じるようになって来た。 普段の僕は、Lが用意した様々な過去の犯罪のデータを眺めて一日の大半を過ごしている。表には流れてこない裏社会の犯罪のデータが大半で、見れば見るほ ど僕のやったことは何だったのかと虚しくなって来るよ。表に出てくる犯罪者なんてほんの小物で、本当に世界を腐らせている大物は全く表に出てこないなん て…。僕はせっせと小物を掃除していい気になっていたんだね。 最近はLが抱えている事件の捜査の手伝いに時間を裂いている。Lから事件の資料を受け取り、僕なりに推理し、Lと意見を交換して解決に導く。時にはこの 屋敷に訪れるLと討論する。何だかLと本当の友達になったみたいだ。妙な言い方だけど、とても充実した日々を送っているよ。 父さん。 僕は父さんに憧れて、尊敬して、父さんのようになりたいと思ってた。あのノートを拾うまではずっと父さんを追いかけて行こうと思っていたのに…どうして こんなことになっちゃったのかな。この間Lが来た時、『夜神君とはもっと違う形で出会いたかった』と言われて、不覚にも涙が出たよ。 父さん。期待を裏切ってごめん。親孝行できなくてごめん。こんな形で正義のためにたたかうことになって、ごめん。 春になったら父さん達とも面会できるようにするってLが言ってた。今からその時が待ち遠しい。早く会いたいよ、父さん。 じゃ…また、手紙を書くね。体には気を付けて、元気で。 夜神月』 |
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