| 眩しい。 校舎を一歩出た月は外の明るさに目を細めた。頭上に広がる空には雲一つなく、太陽の光を遮るものは何もない。見事な快晴の空の下、月は歩き始めた。 「なぁリューク、死神ってのは太陽光線にあたっても溶けたりしないのか?」 「…おいライト、東大首席合格者のくせに吸血鬼と死神の区別もつかないのか?」 大学に程近いコンビニに向かう道すがら。 太陽の光の下でもケロリとしている死神に何気なくかけた言葉は、彼のプライドを傷つけてしまったらしい。月はすぐにごめんごめん、と謝った。 「何となく死神は太陽が嫌いそうなイメージがあったからさ。これも人間の作った勝手なもの?」 「ん、まぁ嫌いじゃないが…好きな奴はあんまりいないな。ライトは好きなのか、太陽?」 「好きだよ。たいていの人間は好きなんじゃないかな。こういう天気のいい日は無性に外に出たくなる」 「それで今日は『学生食堂』ってとこじゃなくて外でメシ食おうと思ったのか」 「それもあるけど。学生食堂に行くと『あ、全教科満点で首席合格した夜神月君だ』って好奇の目で見られるだろ?その視線がちょっと鬱陶しくなってさ」 「なるほど」 コンビニ、到着。適当に雑誌を立ち読みして、おにぎりとサンドイッチを見繕い、月はふとデザートの棚の前で足を止めた。 (デザートか。たまにはいいかな) 『新発売』のシールがついたプリンパフェをかごに入れる。それからペットボトルの飲み物と自宅用のポテチを買って、月は店を出た。 大学の中庭は意外に混んでいて、あちこちに置かれたベンチにはほとんど先客がいた。ぶらぶら歩きながら空いている場所を探していた月の足がふと止まった。リュークが分かり切ったことをわざわざ教えてくれる。 「ライト、あいつだ」 「分かってるよ」 あいつはインパクトがありすぎる。 入学式の時に話し掛けてきた『流河早樹』だ。裸足の両足を抱えるような例の座り方で、親指の爪を齧りながら何かを思案している。瞳孔開きっぱなしの不思 議な目でここではない世界を眺めながら。自分の周囲に人がいないことなど全く気にしていない。いや、気付いていないのかもしれない。 月は流河に向かって歩き出した。リュークが早速話し掛けて来る。 「お、ライト、あいつの隣でメシか?」 「まぁね。あいつが本物のLかどうか探るためにも少しでも親しくなっておかないと。…おーい、流河!」 「……………。あ、夜神君」 一呼吸遅れて反応があった。どこを見ているのか分からないパカッと開いた瞳に、月は愛想よく笑いかけた。 「いい天気だから外でご飯でも、と思ったんだけどどこも一杯でさ。隣、いいかな?」 「ああ、どうぞ」 流河は急いで傍らに置かれた小袋入りのクッキーやパイやキャンディを片付けた。紙ナプキンで包まれたお菓子は、いかにも『おすそわけ』という感じだった。どうみてもこれが昼飯とは思えない。 いきなり本題に入るのもまずいだろう…と思い、月はそのお菓子類に話を振った。 「流河、それ…自分で持ってきたのか?」 「いえ、貰いました」 「誰に?」 「多分クラスメイトだと思いますけど…」 「女の子?」 「はい」 「…………」 「ここで考え事をしていたら、『これ、どうぞ』と言ってくれました」 「へぇ」 お世辞にも二枚目とは言えない流河だが、愛嬌がある顔だちだと言えなくもない。恋愛要素を抜きにすれば、乙女心をくすぐるものがあるのかもしれない、と月は思った。 適度な距離をとって流河の横に腰を降ろす。ペットボトルのアイスティーを一口飲んでから、できるだけさり気なく聞こえるように切り出した。 「流河が考えていたことって…やっぱりキラ事件のこと?」 「はい。今までのデータを元に色々と推理していました」 「どんな推理をしてたか教えてくれないかな?Lはこの事件をどう考えているのか知りたいんだけど」 「ダメです」 案の定と言うべきか、流河はあっさりと否定した。 大概の人間はオトせる月の熱い真摯な眼差しも、常識と言う枠で括れないこの男には全く効果がなかったようだ。 「私が推理の下敷きにしているデータの中には一般公開されていないものも含まれています。ですから捜査本部の人間ではない夜神君に内容を教えるわけにはいきません」 「全部が全部未公開データに基づいた推理じゃないだろ?公開データに基づいた推理だけでもいいからさ」 「ダメです」 「…わかった、タダで教えてくれと言うのは虫が良すぎるな。このプリンパフェと交換でどうだ?」 「………………」 半分冗談だったのだが、流河は差し出されたコンビニのプリンパフェを見つめて真剣に悩んでいる。その表情をどこかで見たような気がする…と月は考えて、すぐに思い出した。 子犬だ。 食べ物を前にして、飼い主から『待て』と言われた子犬の顔にそっくりだ。普段は飄々として何を考えているか分からないくせに、甘いものを前にしたらまるで子供じゃないか。月は気付かれないようにそっと笑った。 流河はプリンパフェを前にまだ迷っている。月は更に押した。 「新発売のデザートだぞ。大学近くのコンビニで買ったんだけど、これが最後の1個だったぞ。さぁどうする流河?早く決めないと僕が食べるぞ?」 「……分かりました。話します」 流河が折れた。 勝った。 月は満面の笑みを浮かべてプリンパフェを渡した。流河はそんな月を少しだけ悔しそうな顔で見てから、パフェを食べ始めた。 「流河は甘いものに弱い…覚えておこう」 「もう二度とこんな手にはひっかかりませんよ」 「流河は和菓子派?洋菓子派?」 「洋菓子が好きです」 「じゃあ次に流河の推理を聞きたくなった時はケーキをワンホール用意するかな」 「もう甘いものには吊られません」 「この間妹が『隠れた名店』でケーキを買ってきてさぁ。あんな分かりにくい場所にある店を良く見つけたなって感心したんだけど。確かにあれはうまかったなぁ」 「…………」 流河はなんとも言えない顔で唇についた生クリームをぺろりと舐めた。その手には乗りませんからね、と言いながらパフェを食べる手は止まらない。 その子供っぽい姿は妙に微笑ましくて。 推理うんぬんは別にして、だ。コンビニデザートくらいならまたおごってやろうかな。 月がそんなことを思いながらサンドイッチを齧っていると、パフェを食べ終わった流河がふっと息を吐いた。 「私の推理が聞きたいんでしたね」 「あ、いいの?」 「約束しちゃいましたから」 流河は拗ねたような横目で月をみて、ゆっくりと言葉を吐き出した。 「キラは人間なのか、それとも神なのか。私がさっき考えていたのはそれです」 「………!」 流河の静かな目が、月の意識を『キラ』の方に引きずり戻した。 口の中に食べ物が入っているからしゃべれない…振りをしながら、月はどう返したものかと考えた。ゆっくりとサンドイッチを飲み込んで、ごく無難な言葉を返すことにした。 「……意外、だな」 「そうですか?」 「流河って、非科学的なことは一切信じないタイプかと思ってた」 「まぁ…確かに私は科学を信用してはいますが、科学で説明できないもの全てを否定するほど石頭ではありませんよ」 無難な言葉は無難な言葉で返された。表情の変化が乏しい流河の様子から感情を探ることは難しい。月は唇にうっすらと笑みを浮かべて続けた。 「キラの能力も科学で説明ができないから?」 「そうですね。直接手を下さずに人を殺せる…信じがたいことですが、事実です」 「…で、流河はどう思ってるの?キラは人なのか神なのか」 「神」 流河の言葉に月は一瞬目を見開いたが。 …だったら楽なのにと思います、と続いた言葉にはぁーっと息を吐き出した。 「じゃあつまり、流河はキラは人間だと思ってるわけだ」 「はい、今までに明らかになった事実全てと私の直感が言っています。『キラは人間だ』と。そして『日本人だ』と」 「事実と…直感か」 「夜神君は直感を信じますか?」 「ああ、信じるよ」 「…意外です」 「そうか?」 さっきと同じ言葉を今度は入れ代わる形で交わす。 月はサンドイッチの最後の一口を飲み込んで一説ぶった。 「直感と言うが、それはすなわち今までの経験や記憶が無意識に判断したことだろう?『こっちが正しい』って。ベテランの漁師はレーダーに頼らず長年の勘で魚の群れを探し当てる。それと同じことだろ」 「私は漁師ですか」 「そうだな、犯罪者を捕まえる漁師だ」 だから、僕に目星を付けて近付いてきたんだろう? 月の挑戦的な眼差しを流河はするりと目を逸らして流した。 「私がキラは人間だと判断する根拠は3つあります。全て分かりますか?」 「そうだな…」 月は空を見上げて思案した。その端正な横顔をじっと見つめたまま、流河はキャラメルを口に入れた。甘く懐かしい香りが流れる。 3つか。 月は軽く顔をしかめ、視線を流河に戻した。 「まずは、犯罪者でない人間を殺してることかな。キラが神なら、FBI捜査官を殺す必要はない。いくら調べたって証拠なんか出てこないんだからね」 「正解です。それは3番目の根拠です」 「3番目か…。じゃあ1番目は、TVに出た本物のLを殺せなかったことかな?もし神の裁きを悪だと言う人間が許せなかったのなら、TVに映った代役の死刑囚ではなくて、本物を殺せばいいんだから」 「それも正解ですが、残念ながら根拠の2番目です」 「2番目…」 「あの時私は、『新宿の通り魔事件の犯人が殺されたことを根拠に、キラが人間であること、そして日本にいると推測した』と発言しました」 「違うのか?」 「違いません。ですが、私が『キラ=日本の人間』と判断した理由はもうひとつあります。それが1つめの根拠です」 「…分からないよ」 白旗をあげるのは屈辱的だったが、知りたいと言う気持ちの方が強かった。 世界一の名探偵は、何を根拠にキラは日本人だと判断し、ギリギリの実験を行ったのか。 キャラメルの甘い香りが薄れていく。流河は視線を空に向けてポツリと言った。 「唯一絶対の神など、この地球上には存在しないからです」 流河の言葉は曖昧で抽象的で、頭の回転には自信のある月でもその真意を汲み取ることは出来なかった。隣ではリュークがしきりに首を捻っている。 多分続きがあるのだろうと次の言葉を待ったが、流河は口を噤んでじっと月を見つめている。待っていても何も説明してくれそうにないので、月は渋々その真意を尋ねることにした。 「流河…それ、どう言う意味?」 「言葉通りの意味です」 「……?」 「この地球上には様々な宗教があって、宗教ごとに崇める神様がいる。ある宗教の神様が別の宗教の神様より偉いということもないし、全ての宗教の神様の上に立つ、いわゆる『神様の中の神様』も存在しない」 「うん、それは分かる」 「そして神様ごとに『罪』と定義する行動は違う。私はあまり宗教に詳しくはないのですが、先進国では『できればしない方がいい』という程度の行動を『死に等しい大罪』とする神様もいるでしょう」 「だろうね」 「ですが、キラが殺した犯罪者は殺人絡みの事件を犯した人間だけ。どれかの宗教の神様が犯罪者を裁いているのなら、自らが定めた『死に等しい罪』を犯した人間も裁くはずでしょう。それに、異なる神様の支配下にある人間を裁くと言うのも釈然としません」 「…そうだな」 神の裁きのつもりで無作為に世界中の犯罪者を殺してきたつもりだったが、凶悪殺人事件の犯人に狙いを絞ってきたことが裏目に出た。殺人以外の『死に等し い罪』を犯した者が裁かれなかったことで、Lは一連の事件は神の裁きではなく人間の仕業だと勘付いた。そして、犯人は宗教へのこだわりが薄い国の人間だと 言うことも…。 気が付くと口がカラカラに乾いていた。アイスティーを喉に流し込む月を、流河はじっと見つめている。 観察されている。ここで動揺しては流河の思うつぼだ。安易に探りを入れようなどと考えた自分に内心舌打ちしながら、月は頭を巡らせた。 受け身でいては突き崩される、攻めに回らなくては。 「そして同時に、その理屈は人間にもあてはまるな。どれかの宗教を熱心に信仰している人間なら、やはり神の教えに添って人を裁こうとするだろう」 「その通りです。それで私は犯人は宗教への関心が薄い国に…恐らく先進国に住んでいると推測しました。先進国ならTVやインターネットを通して世界中の情報が手に入りますから」 「もしキラが後進国の人間だったとしたら、インターネットやTVが普及していないから自分の行動範囲外の犯罪者の情報は手に入らない。だから世界中の犯罪者を殺すなんてできるはずがない。…逆を言えばこういうことだろう?」 「一つの事実に二つ以上の可能性がある時、片方を正しいとする理由を探し、そして同時にもう片方は正しくないという理由を探す。そうすることでより強固な 根拠となる…。夜神君は飲み込みが早いので話していて楽しいですよ。…そして犯罪者が心臓麻痺によって死亡した事件を調べていった結果、例の新宿の通り魔 殺人が最初だと分かった。あとは夜神君も知っての通りです」 流河は唇にそっと笑みを乗せた。 …月はちらりと時計に目をやった。そろそろ昼休みが終わる時間なので、学生達が三々五々校舎に戻り始めている。 「僕はこの後は休講なんだけど。流河は?」 「自主的休講にします」 「つまりサボリか」 「そうとも言います」 「いいのか?お前が1回サボったくらいで勉強に付いていけなくなるとは思わないけど、単位には響くぞ?」 「教授の講議より夜神君と話している方がずっと私にとっては有意義ですよ」 「それはどうも」 月は内心の動揺を押し隠して笑みを浮かべた。 Lの鋭い推理力と観察眼は予想以上だった。早く一人になって落ち着いて今後のことを考えたかったのに、こいつは離してくれそうにない。 流河は親指を唇に押し当てたまま何かを考えている風だったが、不意にポツリと呟いた。 「…夜神君…」 「ん?」 「人は何故、罪を犯してしまうのでしょうね」 「…永遠のテーマだな」 「悩ましい、ですね」 月は横目で流河を見た。流河はまっすぐに月を見つめている。春風が好き勝手に跳ねた髪をそよがせると、底知れぬ闇のような目が見えた。 見つめてはいけない、見つめれば吸い込まれてしまう。しかし目を逸らせばそれは敗北だ。 きっと今の自分は挑むような目をしているんだろうな。 はっきりと自覚しながら月はその目を見つめ返した。 …目を逸らしたのは流河が先だった。 月の目からそれた視線は傍らに散らばったお菓子を見ている。彼は白い指でゼリービーンズを摘まみ上げて、月に見せた。 「夜神君。この青いゼリービーンズが人です」 「…………」 月はもう流河の脈絡のない話には驚かなくなっていた。驚くのに疲れたと言う方が正しいかも知れない。ただ黙ってうなずくと、流河は青いゼリービーンズをナプキンの上に置き、その隣に白の、更にその隣にまた青いゼリービーンズを並べて置いた。 「青いゼリービーンズが人で、後の二つは何?」 「青いゼリービーンズは人です。白いゼリービーンズは法です」 「それで?」 「人が罪を犯した場合…法によって裁かれます」 流河は青いゼリービーンズと白いゼリービーンズを順番に指差して言った。そうだね、と月が答えると彼の指は『法』を挟んだ反対側のゼリービーンズを差した。 「法を作ったのは人、その法を持って人の罪を決めるのも人です。ですから間接的に人が人を裁いているとも言えます。ですが」 竜崎は青いゼリービーンズに挟まれた白いゼリービーンズをそっと取った。『人』と『人』の間に『法』がなくなった形になった。 「どんな理由があっても、人が人を直接裁くことはあってはならない。法を用いずに人が人を裁いてしまえば、それもまた犯罪になってしまう」 「キラは人でありながら人を直接裁いている。それは許されることではない…キラもまた犯罪者だと?」 「はい」 流河は白いゼリービーンズを元の場所に戻し、それを見つめたまま言葉を続けた。 「どこかの映画のセリフではありませんが、人の数だけ正義も存在する…法を無視して人々が自分の正義感で人を裁いていたら、この世はめちゃくちゃになってしまう」 「…うん」 「人は間違いを犯すもの。犯罪者も、法をもって犯罪者を裁く人間も、そしてキラも完璧ではあり得ない。だから法が必要なのです」 「よく…話が見えないんだけど」 「キラは犯罪者達が罪を犯した背景を全て知った上で殺しているのでしょうか」 流河が顔を上げ、まっすぐに月を見た。何もかも見透かすようなあの目で。 「キラは殺された犯罪者の遺族のことを考えているのでしょうか。無実の罪だと訴えて裁判を続けていた者のことを考えているのでしょうか。心を入れ替えて人の為に尽くしたいと罪を償っていた者のことを考えているのでしょうか」 月は鉛でも飲み下されたような重みを喉に感じて、言葉を出すことが出来なかった。 流河はお構い無しに続ける。 「警察も私も絶対ではありません。犯罪者が人間なら、犯罪者を追い裁く者もまた人間なのです。間違いを犯すことだってある。ですから…法があるのです」 「何人であっても、人が人である限り、独自の正義感で人を裁くことは許されない、か…」 「そうです。ですから私も、事件解決の為の助力は惜しみませんが、『罪』に対する『罰』を決めることは法の手に委ねています。私達ができるのは真実の追求だけです」 「確かにその通りだ。僕もできることならこの手でキラを捕まえたいと思ってる。流河の力になれることがあったら遠慮なく言ってくれ」 「ありがとうございます」 流河はペこりと頭を下げると、青いゼリービーンズを口に入れた。そして、他のお菓子をナプキンに包んで月に差し出した。 「私はこれで帰りますから、良かったらどうぞ」 「…ありがとう。流河は今から授業に行くの?」 「いえ、捜査本部に戻ります」 「ああ、そう」 月はナプキンを広げ、流河が『法』と例えた白いゼリービーンズをゆっくりと味わった。ノスタルジックな味が一杯に広がる。 流河が振り返らず歩いていくのを見て、それまで黙って話を聞いていたリュークが目をぐるぐると回した。 「あいつの話、なかなか興味深かったぞ。ライトもそう思ってただろ?」 「ああ。人が人である限り個人の正義感で人を裁いてはいけない。なぜなら人は間違いを犯す生き物だから。全くその通りだ」 小声で答えた月の口元に冷たい笑みが浮かんだ。 「でも僕は既に人ではない。新世界の神になる者だ」 「だからライトは自分の正義感で人を裁いても一向に構わないと言うわけか」 「その通りさ、はは」 月がゴミをひとまとめにして立ち上がった時、流河が不意に振り向いた。 「ああそうだ、夜神君」 「何?」 「キラは人間です。そして…あなたも。忘れないで下さい」 「…………」 「それだけです。では」 リュークは遠ざかっていく流河の細い背中を見て、隣で屈辱に震えているライトを見て、クククッと笑った。 「なぁライト、あいつやっぱり本物のLじゃないか?」 「僕が知るか!!…これからじっくり探ってやるさ…最後に笑うのは僕なんだからな!」 (ライトも人間だ…やっぱり人間って、面白!!) リュークはひょいと手を伸ばして、さっきからずっと狙っていた林檎のパイをライトの手から取った。遠ざかる流河の背中をみながら、ゆっくりと包みを開けて口に放り込む。 今あいつが振り向いたら、空に浮いているパイにさぞかし驚くだろうなと思いながら。 |
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