| 父さん。母さん。そして粧裕。 元気にしてるだろうか。新しい名前や土地にはもう馴染んだかな。屋敷での生活はもう二年になるけど、僕はまだ馴染めないでいるよ。限られた敷地の中でミサとだけ顔を合わせて、竜崎以外の誰とも交流できないのに何でも手に入る不思議な生活だからね。 そうそう、皆の写真をありがとう。粧裕はもう、高校生になったんだね。随分と大人っぽくきれいになっていて驚いたよ。もう彼氏がいたりするのかな?兄として、可愛い妹に悪い虫がつかないかちょっとだけ心配しています(笑)。 ところで僕の生活に少しだけ変化があったので報告するね。今までは世界三大探偵の一人ドヌーヴの助手をしていたんだけど、これからはコイルの助手をすることになったんだ。おかげで今後も退屈せずに済みそうだよ。もちろんこれは秘密の話。 あと、年末にちょっとだけ竜崎が屋敷に来てくれた。あいつはいつも変わらなくてほっとしたよ。あいつと話して、今まで心のどこかにわだかまっていた何かの理由がやっと分かった気がする。 父さん。 僕は父さんに憧れて、尊敬して、父さんのようになりたいと思ってた。あのノートを拾うまではずっと父さんを追いかけて行こうと思っていたのに…どうして こんなことになっちゃったのかな。この間竜崎が来た時、『夜神君には立派なお父さんがいるのに、何故最悪の結末になる前に相談しなかったのか』と言われて 初めて、ノートを拾う前の自分の夢を思い出したんだ。立派な警察官になって、正義のために闘おうって夢を。 僕はこの二年で色々なことを知って、色々なものを見てきた。きっと、竜崎や父さんは何年も前から見て知っていたことなんだろうけど、僕には初めてのことばかりだった。 父さん。僕はやっと、自分がやってきたことの無意味さに気付いたよ。ノートを拾わなければ僕は道を誤ることはなかったと思う、でも、ノートを拾うことが もし運命だったのなら、もっと大人になってから拾いたかった。そうでなければ、父さんや母さんに隠し事をするなんて考えもしない子供の頃に拾いたかった。 そうすれば、僕はずっと家族皆と幸せに暮らせたはずなのに。 父さん、母さん、粧裕。迷惑をかけてごめん。僕はここで生きていくしかないけど、皆は幸せになってほしいと思ってるよ。 春になったら父さん達とも面会できるようにするって、昨日竜崎が言ってた。今からその時が待ち遠しい。早く会いたいよ。 じゃ…また、手紙を書くね。体には気を付けて、元気で。 夜神 月 |
| 夜神さん。 そちらでの生活はどうでしょうか。部下からは『特に問題無し』との報告を受けておりますが、未だに月君や弥の家族を捜しまわっている者もいますので十二分に御注意下さい。特に思春期の娘さんの精神面など、気を付けてあげてほしいと思います。 さて、同封した月君の手紙は既にお読みでしょうか。 予想よりも早く、彼は自分が道を誤ったことを自覚したようです。この2年間、表の社会からは見えてこない犯罪の裏側を見たこと、人々の記憶からキラが消 えつつあること、そして何よりも彼が己を犠牲にする覚悟で進めた『改革』が何の結果も残せなかったことを知ったからでしょう。 プライドの高い月君ですから自分自身の罪を認めるにはもう少し時間がかかるでしょうが、いずれは気付くだろうと私は思っています。罪を自覚し、それを認め、無数の十字架を背負って改悛の日々を送ることが彼の唯一の贖罪です。 皆さんと月君との面会は一年に二回程度を予定しています。詳しいことについては追ってお知らせしますのでそちらをお待ち下さい。今まで同様、案内はK病院名義で届きますので、取扱いには十分御留意下さい。 最後に。 月君のおかげもあってLの後継者二人はこの二年で十分に成長しました。若干未熟な点は否めませんが、Lを継ぐに不都合はありません。私自身はもうしばら く『L』の座にいるつもりですが、不測の事態などが生じた場合は予定より早く『L』が交代する場合もあり得ます。Lの正体は世界的なトップシークレットの ため、Lが交代するなどと言う情報は絶対に流出させるわけにはいきません。 故に、Lである私と深く関わった夜神さんへの手紙はこれが最後になります。夜神さんなら、手紙を通してLが交代したことに気付いても決して口外しないと思いますが、全ての可能性を消しておくためですので御了解下さい。 なお、月君の状況報告や彼からの手紙は今まで通りに行いますので御安心下さい。 それでは。今後とも、健康に御留意して御自愛下さい。 |
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