双子神2012・ 融合
EPISODE 7


 …ヒュプノス(子)がミスドの店を出て行ったその直後。
 目を輝かせてドーナツを選んでいたタナトス(子)が、ふと顔から笑みを消して店の出入り口を振り返って小首を傾げた。

(…あれ、ヒュプノス…?)
 
 ドーナツ選びに夢中になっていて気付くのが遅れたが、今、自分の片割れのヒュプノスが店を出ていなかっただろうか?ちょっとドアから外を見てこようか。
 そう思った時、所在無げに店内の広告を眺めていたタナトス(大)に声をかけられた。

「何をボケっとしている?欲しいものは選び終わったのか?」
「え?あ、うん…」
「ならさっさと会計を済ますぞ。あまり戻るのが遅いとお前の相棒がやかましそうだからな」
「ん」

 ヒュプノスが店を出て行ったかも…と言いだすタイミングを逃したタナトス(子)は、会計を待ちながらやっぱり勘違いだったのかも、と思い直した。
 何せ自分達は訳の分からない妖怪に誘拐されてこの世界にいるのだ。いつまたあの変な女が自分達を攫いに来るか分からない状況で、あの賢いヒュプノスがどこかにひとりで行くなんてありえない。
 異世界に来たせいで少し感覚がおかしくなっているのだろう。微妙に時差もあるみたいだし、これが噂の時差ボケというものだろうな。
 …そう考えて自分を納得させたタナトス(子)は、二階の席にヒュプノス(子)がいないことに気付いて顔を曇らせた。椅子に置いてあった彼の鞄もない。
 タナトス(大)もおやっという顔になった。

「あっちのチビ助はどうした?」
「何だか拗ねたような顔で一階に降りて行ったぞ。そっちのタナトスと一緒にドーナツを選ぶつもりなのかと思って追いかけなかったが」
「ドーナツを選ぶのなら鞄を持って行く必要はなかろう」
「………。鞄を持って行ったのなら、トイレだろうか」

 タナトス(子)は心配そうに呟いた。
 小さな死神の表情を『異世界で一時とはいえ片割れと離れて不安になったのだろう』と解釈したタナトス(大)はにこりと笑って彼の頭にポンと手を置いた。

「エルミタージュ洋菓子店でも紅茶を飲んでいたからな、多分そうだろう。どうせすぐ戻ってくるだろうから、あいつが奥に座りやすいように開けておいてやれ」
「じゃあ俺はヒュプノスが戻るまで立ってなくちゃいけないのか?」
「まさか」

 タナトス(大)はドーナツのトレイをテーブルに置くと、タナトス(子)を抱っこして膝の上に乗せるようにして椅子に座った。
 驚いたように見上げてくる銀髪の男の子に柔らかな笑みを見せる。

「この状態なら、お前が問題発言を口走りかけてもドーナツで口を塞ぐ必要はないだろう?」
「お前達が妙な質問をしなければ、俺だって問題発言などせぬわ!」

 ムッとした表情で唇を尖らせたタナトス(子)は空っぽの向かい席を見て、カスタードクリームのドーナツに手を伸ばし、何だか心ここにあらずな顔でドーナツに齧りついた。
 …クリームの注入口の反対側から。
 ぼとっ。
 何だか聞き覚えのある間の抜けた音がして、クリームがタナトスのシャツの袖に落ちた。

「あ。………」
「…………」

 はぁー。
 タナトス(大)は盛大に溜息をついて紙ナプキンを取り、白いシャツの袖に落ちたクリームを拭きとった。

「…お前な」
「ご…ごめん」
「どうしてそこから齧るのだ?クリームを入れた穴の反対側から齧れば穴からクリームが飛び出るであろうが。注入口から齧れ、注入口から!」
「う…うるさいわ!一々そんな事を気にしていたらせっかくのドーナツがまずくなる!」

 可愛らしい顔をしかめて言い返したタナトス(子)はクリームをこぼさないようにドーナツを齧り始めたが、明らかに食べるペースがさっきより遅い。
 黙々とドーナツを齧りながらしきりに階段の上がり口を気にしている彼の様子に、双子神もヒュプノス(子)が気になってきた。

「…タナトスよ、手洗いに行ったにしては戻るのが少々遅くはないか?」
「うむ…機嫌を損ねていたようだし、個室の中でむくれているのだろうか」
「それならいいが…。………」
「…あの、俺達を攫った八雲紫という妖怪だが、厄介な移動能力を持っていると言っていたな」
「ああ。それが?」
「そいつは、トイレで待ち構えていて、ヒュプノスが入ってきた途端に攫う…なんて芸当も出来るのか?」
「!!」

 タナトス(子)の言葉に双子神はハッと顔を見合わせた。
 人目がある店の中で誘拐などと大胆な真似はするまいと思って油断していたが、トイレの個室に入った時の事までは考えていなかった。

「…確認してくる」

 ヒュプノス(大)が緊張した顔で一階に降りて行って、大して待つまでもなく厳しい顔で戻ってきた。
 何も聞かずともその表情で事情を察したタナトス(大)は忌々しく舌打ちして立ちあがり、タナトス(子)は途端に泣き出しそうな顔になった。

「あ…やっぱりあの時、ヒュプノスはこの店から出て行ったのだ」
「あの時?」
「俺がお前とふたりでドーナツを選びに行った時だ。ヒュプノスの気配が店から無くなるような感じがしたのだが、そんな事はないだろう、異世界に来たせいで 俺の感覚がおかしくなったのだろうと思って黙っていたのだ…こんな事なら早く言えば良かった、どうしよう、ヒュプノスぅ…」
「…まだ八雲紫に攫われたとは限らん。不貞腐れて店を出て行ったのならまだその辺にいるかもしれぬ、探しに行くぞ」

 タナトス(大)は半べそをかき始めた小さな死神に白い鞄を押しつけ、片手でドーナツのトレイを持ちもう片方の手でタナトス(子)の手を掴んで大股に一階に向かった。ヒュプノス(大)が無言で後に続く。
 …双子神(大)とタナトス(子)が二階席から降りてくる姿を見て、ヒュプノス(子)が爆弾発言をした時に飲み物のお代わりを持って来ていた店員が『あらっ?』と言いたげな顔になった。
 その店員の反応に気付いたタナトス(大)が爽やかな笑顔を浮かべて近づき声をかけた。

「すいません、ちょっと急用が出来てしまって…このドーナツ、箱に入れて貰えますか?」
「はい、畏まりました」
「もののついでにお尋ねしますが…」

 タナトス(大)はタナトス(子)の頭に手を置いて何でもないことのように尋ねた。

「この子と良く似た格好の子供が一足先に帰ってしまったようなのですが、姿を見ませんでしたか?」
「ええ、見ましたよ。こちらのお子様がドーナツを選んでいる時にお店を出て行くのが見えました。どうしたのかなって思っていたんですけど…」
「そうですか、ありがとう」

 タナトス(大)が笑顔で答えると、店員もそれ以上追及することはせずドーナツを箱に詰めに行った。
 ここで泣きわめいて騒いでも混乱するだけで何も解決しないと分かっているのか、タナトス(子)は唇を噛んだままじっと黙っている。銀の死神は小刻みに震えている小さな手を力強く握ってニヤリと笑った。

「ヒュプノス〜ヒュプノス〜と泣き出すかと思ったが、意外に肝が据わっているではないか。見直したぞ」
「お前が笑っていると言う事は、ヒュプノスを見つけ出す有効な手段があるのだろう」
「ほう…そこまで見抜いていたか。ガキだガキだと思っていたがなかなかやるではないか。…ああ、ありがとう」

 箱詰めされたドーナツを受け取ると双子神はタナトス(子)と手を繋いで店の外に出た。
 
「ヒュプノス、秋乃様にあのチビが単独行動を取っていると連絡を入れろ。きっとすぐにこの周辺の警察を動かして下さるはずだ。それから天馬星座達とアテナにもだ。万が一、八雲紫が接触してきたらそこらの警官では対処できまい」
「分かった」
「秋乃?何故秋乃が警察を動かせるのだ?」
「エルミタージュ洋菓子店のオーナー…つまり秋乃様のボスは警察の中で一番偉い奴なのだそうだ。秋乃様が頼めば警察に指示を出してお前の相棒を人海戦術で探してくれるはずだ。…という訳でチビ助」
「何だ?」
「質より量の捜索は警察に任せて、我々は量より質の捜索といくぞ。臍を曲げて店を出て行ったあいつはどこに向かったと思う?」
「多分、秋乃の店に行こうとした…と、思う」
「『行こうとした』?」

 微妙な言い回しにタナトス(大)は怪訝そうな顔になった。
 異世界に放り出されたヒュプノス(子)が臍を曲げて飛び出したところで行ける場所は限られている…というよりエルミタージュ洋菓子店以外にないと思ったのだが…。
 タナトス(子)は深刻な顔で言葉を続けた。

「ヒュプノスは超がつく方向音痴なのだ」
「そんなにひどいのか?」
「俺がシジフォスに監禁された時、ハーデス様の制止を振り切って『タナトスを助けにコリントスに行く!』と言って冥府を飛び出して、コリントスとは正反対の方向に行ってしまった事がある。結局、アレスに助けられた後で俺がヒュプノスを探しに行ったのだ」
「…筋金入りだな」
「タナトスよ。秋乃様に連絡を入れたが、異世界の私は店に戻っていないそうだ。すぐに警察を動かすようLに頼んで下さると仰せだった」

 電話を終えたヒュプノス(大)の言葉にタナトス(大)は『やはりか』と言いたげな顔で頷いた。
 ヒュプノス(子)がミスドのショップを出てからそれなりに時間が経っている。迷わずにエルミタージュ洋菓子店に向かったなら、いくら子供の足でもとっくに着いているはずだ。それが戻っていないと言う事は、つまり。

「迷ったか…」
「そういう事であろうな」
「………」
「………。あのチビは方向音痴、か…」

 タナトス(大)は道の右と左を見て数秒沈黙し、右側に足を向けた。
 手を引かれたタナトス(子)が不思議そうに尋ねた。

「え、何故こっちなのだ?秋乃の店に行くのとは反対方向ではないか」
「反対だからこちらなのだ」
「??」
「道が二つあれば、限りなく100%に近い確率で間違った方を行く。それが方向音痴というものだ」
「あ…確かに、言われてみればヒュプノスはいつも間違った道に間違った道に行っていたな」

 双子神はタナトス(子)が走らなくていいギリギリの速さで歩きだした。





 
 …ミスドのショップを出て右に行けば駅に続く道だ。通りは比較的広く大きな交差点も少ない。
 タナトス(大)はチラチラと周囲に目をやりながら直感に基づいた考えを纏めていた。

(あのチビは方向音痴らしいが、子供とは言え脳味噌はヒュプノスだ。エルミタージュ洋菓子店からあのミスドに行く時に大きな道しか通らなかったことくらい は覚えているだろう。しかも異世界にひとりで、いつ、どこから八雲紫が現れるか分からぬ状況…人目の無い裏道に入るとは考えにくい。しかしこの辺までくれ ば流石に道を間違えたことに気付くだろう。そして…。………)

 タナトス(大)はコンビニの前で足を止めた。
 ミスドの店を出てから駅に向かう道で、最初に建っているコンビニがここだが…。
 タナトス(子)が不思議そうにタナトス(大)を見上げた。

「タナトス?」
「お前達、この世界に来てから秋乃様の店に行く前に、コンビニで時代を確認したと言ったな」
「?…ああ。それが?」
「道を聞くなら交番かコンビニと相場が決まっている」

 タナトス(大)の言葉にヒュプノス(大)が無言で頷いて、ふたりはタナトス(子)の手を引いてコンビニに入った。
 ピロピロピロ〜リピロピロリ〜〜〜〜♪
 来客を告げるメロディが流れて、いらっしゃいませ〜と声をかけた店員(妙齢の女性)が双子神(大)を見てうっとり頬を染め、捕獲された宇宙人のような格好になっている銀色の男の子を見て『あらっ?』と言いたげな顔になった。
 …少し前に見た反応だ。
 タナトス(大)は爽やか営業スマイルを浮かべて本棚の整理をしていた店員に声をかけた。

「すいません、ちょっとお尋ねしたい事があるのですが」
「はい?」
「この子に良く似た格好の子が、道を尋ねてきませんでしたか?」
「ええ、来ましたよ。この子にそっくりでしたから、さっきの子がまた来たのかと思ってびっくりしちゃったわぁ」
「その子供ですが、どこへ行きたいと言っていましたか?」
「ナントカっていうケーキ屋さんを探していましたねぇ。なんて言ったかしら…エリザベスじゃないし、エカテリーナでもないし…」
「エルミタージュ?」
「ああ、そうそう、それよそれ。あははっ、エカテリーナはエルミタージュ美術館を作った女帝の名前だったわぁ」

 妙なトリビアをお披露目して大笑いする店員に、タナトス(大)はあくまでも穏やかな笑みを浮かべたまま尋ねた。

「我々もそのエルミタージュ洋菓子店を探しているのですが…」
「申し訳無いんですけどねぇ、そんな名前のケーキ屋さんは知らないんですよ。隠れ家なんて言うくらいだから知ってる人しか知らないんでしょうねぇ」
「………」
「で、その道を聞いて来た子にも言ったんですけどね。そこの道を右に行って大きな郵便局の角を左に曲がれば駅が見えるから、駅前の交番で聞いたらどうかしらね?」
「そうですね、そうします。ありがとう」
 
 丁寧に礼を言って双子神(大)とタナトス(子)はコンビニを出た。
 言われた通りに道を右に歩きながら小さな死神は感心したようにタナトス(大)を見上げた。

「凄いな、お前は名探偵か?」
「傾向と対策という奴だ。あいつがこの大きな道を通って行ったのなら八雲紫に攫われた可能性は低いとみて良いだろうな。…ヒュプノス、秋乃様にあのチビは駅に向かったらしいと伝えておけ」
「分かった」
「さて、問題はここからだな…」

 郵便局の角を曲がり大きな交差点で信号待ちをしながらタナトス(大)は呟いた。その言葉にヒュプノス(大)も無言で頷く。
 あの店員の言った通り、郵便局の角を曲がれば確かに駅が見える。『駅が見える』であって『駅に行ける』ではないのがポイントだ。角をまがってまっすぐ歩 いても踏切を渡ってしまい、駅の構内に入る事は出来ない。『駅前』に行こうと思ったら途中で道を曲がらなくてはいけないのだが、駅前の道は無駄に複雑に入 り組んでいる。普通の方向感覚を持っているなら駅に向かって何となく歩いて行けば駅前に出られるが、筋金入りの方向音痴、しかも子供となると…。
 タナトス(大)は軽く眉根を寄せた。

「誰かに道を尋ねて交番まで連れて行ってもらっている、という展開が理想なのだがな…」
「あの子は妙にプライドが高そうだったからな…。『すぐそこに駅が見えているのに道を聞くなどと!』とつまらぬ意地を張っていなければ良いが…」
「…………」

 双子神の会話にタナトス(子)が幼い顔に不安そうな色を浮かべ、それに気付いたタナトス(大)とヒュプノス(大)はそっと視線を合わせて浅く嘆息した。
 ふたりの推測は悪い意味でイイ線を行っているらしい。
 …信号が青に変わり、横断歩道を渡った銀の神(大)は周囲をさりげなく見回しながらも歩くペースを落とさず真っ直ぐ進んだ。
 怪訝そうな目を向けるヒュプノス(大)とタナトス(子)の視線を感じたのか彼は口を開いた。

「『とりあえず踏切まで行けばいい、線路に沿って道を歩いて行けば駅に着くはず』…そう思って踏切まで行ったが、線路に沿った道が無かったら方向音痴のあ のガキはどうする?踏切を渡ったらますます駅から離れそうで心配だから一旦引き返して、とりあえず最初に目に入った大きな道を駅が見える方に曲がるのでは ないか?」
「おおっ!」

 感心して目を輝かせる男の子にニヤリと笑みを見せて、タナトス(大)は踏切の少し手前にある比較的大きな交差点を駅が見える方向に曲がった。





 駅前の大きな道は人通りも多く様々な店が並んでいる。
 いつものようにこれでもかと人目を惹きつけながら双子神(大)は先ほどよりはゆっくりした足取りで歩いていた。迷子のヒュプノス(子)を探す意味もある が、彼と似通った姿形のタナトス(子)を見て、ミスドやコンビニの店員のように『あれっ、あの子…?』という反応をする人間がいないか探すためでもあっ た。
 …大通りをゆっくり歩くこと数分。
 ふとタナトス(大)が何かに気付いた様子で足を止めて周囲を見回し、おやっという顔になった。

「「どうした、タナトス?」」
「…お前達、妙だと思わぬか」
「何がだ?」
「秋乃様の話では、この辺の警察はあのチビを探すために動いているはず。なのに何故…あのチビは駅前に向かったと連絡を入れたにも関わらず…この周辺に警察官の姿が無いのだ?」
「!」

 タナトス(大)の疑問にふたりがハッとした時、まるで見計らった様なタイミングでヒュプノス(大)の携帯が鳴りだした。
 着信画面を見た眠りの神は、秋乃様だ…と呟いて通話ボタンを押した。

「ヒュプノスです。…はい、はい……そうですか、分かりました。すぐに向かいます、では」
「秋乃様は何と?」
「ヒュプノスが見つかったのかっ?!」
「ああ。駅前の道で『いかにも迷子』な様子で歩いているところを下校途中の高校生が見つけて、交番まで連れて行ったらしい。連絡を受けた秋乃様が交番に行って異世界の私である事を確認されたそうだ」
「そうか。とりあえず一安心だな」
「ならば交番に行くぞ!早く早く!!」

 全力疾走しそうなほどな勢いで幼いタナトス(子)は双子神の手を引いた。
 …道ですれ違う人間にぶつからない程度の早足で一行は駅前の交番に向かい、自動ドアが開き切るのも待ち切れずタナトス(子)は交番の中に飛び込んだ。

「ヒュプノス!!」
「…………」

 白い鞄を膝に抱えて所在無げにつくねんと座っていた金髪の男の子がビクッと顔を上げ、兄を見て、その後ろにいる双子神を見て、隣に座っている秋乃をチラッと見て、無言のまま俯いた。
 弟に駆け寄った死神(子)はほっとしたように微笑んだ。

「心配したぞヒュプノスよ。無事で良かった!」
「………」
「どうしてひとりで店を出て行ったりしたのだ?危ないからひとりで行動するなと言われていたではないか」
「………」
「タナトスもヒュプノスも秋乃もお前を心配して探してくれたのだ、ちゃんと礼を言わねばダメだぞ」
「…心配して?」

 タナトス(子)の言葉にヒュプノス(子)は厳しい顔で立っている双子神(大)を見て、ふいっとそっぽを向いた。

「お前達が私を心配などするはずないだろう。探さなければ秋乃に怒られるから探したのであろう?」
「「違うわ!!」」

 間髪いれずに帰って来たその言葉にヒュプノス(子)は目を見開いた。
 小さな死神は双子神を見上げると、にこりと笑って弟を見た。

「ヒュプノスよ。お前がいなくなったことに気付いたこいつらは、すぐにお前を探す行動を起こしてくれたのだ。秋乃に連絡を取って、警察を動かしてもらって、星矢達にも連絡を入れて、お前を探してくれたのだ。そんな事を言うものではないぞ」
「………」
「ヒュプノスさん。この世界のタナトスさんやヒュプノスさんが、私が連絡を入れてすぐ、地上に来るための面倒な手続きを大急ぎで済ませてまで、冥府から地上に来てくれたのは何故だと思います?」
「………」

 問いかけに目を見開く幼いヒュプノスに、秋乃は優しく言葉を続けた。

「あなた達なんてどうでもいいと思っていたら、『何かあったら困るから常に一緒に行動しよう』なんて面倒な事してくれないと思うの。おふたりにだって仕事 があるし、沙織さんにあなた達を預けて冥府に帰っても誰も文句は言わないわ。でもこうして一緒にいてくれるのは、何故だと思う?あなた達を本当に心配して くれているからじゃないかしら」
「………」
「それにな、ヒュプノス。この世界のタナトスは名探偵なのだ。方向音痴のお前が秋乃の店に行こうとしていきなり道を間違えただろうと推理して、お前が道を 訪ねたコンビニでお前の事を聞いて、駅前の大通りで迷子になってることまで見抜いたのだぞ。秋乃に怒られるのが怖いだけでそんな事をしてくれると思う か?」
「………。本当に、心配して、くれたのか…?」
「余計な世話をかけさせて、話を聞いていたのかお前は!という怒りより無事に見つかった安堵の方が大きくなければ、子供であっても本気で殴っているぞ。有難く思えチビ助!」
「タナトスよ、どうしてお前はそう素直でないのだ。無事に見つかって安心したぞと言えば良いではないか」
「………」

 フン、と鼻を鳴らしてタナトス(大)がそっぽを向いた時、交番の自動ドアをこじ開けるようにして息を切らせた星矢達が入ってきた。

「秋乃さんごめん、着信に気付かなくてさっき留守電聞いた!ちみっこい方のヒュプノスサマが見つかったんだって!?」
「はい。迷子になってるところを交番まで連れて来てもらったんだそうです」
「星矢…どうしたのだ?そんなに息切れして、汗までかいて」
「だってさ、ヒュプノスサマは変な奴に狙われてんだろ?誰かがヒュプノスサマを探してるって分かったらそいつも迂闊に手出しできないかなと思ってさ、大声出して名前呼んで走りまわってたんだよ。…はぁ…この程度で息切れするなんて身体がなまってんのかなぁ…」
「もう僕達も若くないってことかもね」
「うっ…その現実はまだ受け入れたくないな」
「ま、何にしても無事で良かったな」
「…………」

 額の汗を拭いて本当に安心したように笑う星矢達を見て、ヒュプノス(子)は鞄の紐をぎゅっと握りしめた。
 …自分と片割れ以外の誰かを完全に信用してはいけないと思っていた。
 だってここは異世界で、自分達がいた世界とは違う時が流れていて、違う歴史が刻まれていて、冥妃も星矢も死神タナトスすらも『自分の知っている誰かに良く似た別人』だと思っていたから。
 兄がすっかり彼らを信じて頼ってしまったから、何があっても対応できるように自分がしっかりしなくてはと思い続けて来た。
 …でも。
 信じていいのかもしれない。
 頼っていいのかもしれない。
 自分の良く知る彼らとは別人だけど、でも、彼らもまた、冥妃で星矢で一輝で瞬で…そして兄なのだから。
 凍りついていた心が溶けて行くヒュプノスを覗きこんで、タナトスがクスリと笑った。

「何だヒュプノス、泣くほど不安だったのか?それとも安心したのか?」
「え…」

 何を言っているのだタナトス。私は泣いてなどいないぞ。
 そう言おうと瞬きした時、涙が頬を伝ってポツリと鞄に落ちた。

「え?あ…あれ?どうして…あれ、あれっ?」
「緊張の糸が切れたか。お前、我々に会ってからもずっと心を張りつめていただろう?どうせ、『こいつらの言っていることが本当かどうか分かるまでは完全に信用などするものか』とでも思っていたのであろうが」
「それ、は…ひっく」
「…ねぇ、ヒュプノスさん」

 ボロボロと涙をこぼすヒュプノス(子)に、秋乃が優しくそっと声をかけた。

「私はあなたの知ってる冥妃ペルセフォネーとは別人だし、星矢さん達もあなたの知ってる星矢さん達とは別人、タナトスさんもあなたのお兄さんとは違う神 様。だからヒュプノスさんが私達のことを冥妃や星矢さんやお兄さんとして信じるのは無理だと思うわ。でも、『この世界のアテナの聖闘士』と、『この世界で 一番有能な名探偵の助手』と、『この世界の神様』としては、信じて欲しいなって思うの。皆がタナトスさんやヒュプノスさんを本気で心配してるって言うのは 分かってくれたでしょう?」
「………」
「もっと、この世界の大人を信じて、頼ってくれてもいいんじゃないかな」
「ふ…ふぇぇ…ん…ひっく、う、ひぃー…ん…」

 ヒュプノス(子)は後から後から溢れてくる涙を小さな手で拭った。どんなに堪えようとしても涙も嗚咽も止まってくれない。
 皆が優しく笑うだけで馬鹿にするような事を言わないことだけがせめてもの救いだ。
 タナトス(子)と秋乃が差し出してくれたハンカチに半分顔を埋めるようにしてヒュプノス(子)は涙声で言った。

「ごめんなさい…ありがとう…」
「お?ちゃんとゴメンナサイとアリガトウが言えるのか。偉いじゃねーか、ミニヒュプノスサマ」
「うむ。謝ることと礼を言う事はとても大事だといつも星華姉ちゃんが言っているからな!」
「では、今後は我々に黙って単独行動をとるような真似は一切せぬと約束できるな?」
「ひくっ…うん、約束、する」
「よかろう。なら拳骨一発で赦してやる」
「え」

 結局殴るのかよ!…と、タナトス(大)の言葉に皆が一瞬驚いた、次の瞬間。
 コツン。
 死神(大)が拳で小さな眠りの神の額を…さりげなく六芒星の徴を外して…軽く小突いた。
 涙にぬれた顔にきょとんとした表情を浮かべて見上げてくるヒュプノス(子)を、銀の神(大)は尊大な態度で見降ろした。

「男同士の約束を破ったら、こんなものでは済まぬぞ。よーく肝に銘じておけ」
「…分かった」
「んじゃーこれにて一件落着、ってことだな!…で、これからどうする?」
「何か僕達、帰るタイミング逃しちゃった感じだねぇ…」
「あれだけ大声でヒュプノスの名前を呼んで走りまわったんだ、その大妖怪様も聞きつけて様子を見にくるかもしれないぞ」
「じゃあ皆さんでお店に戻ってゲームでもしましょうか。対戦できるテレビゲームもあるし、カードゲームやボードゲームもありますよ」
「ではお言葉に甘えてそうするか」
「秋乃の店には何でもあるのだな!さぁヒュプノス、行くぞ」
「…………」

 タナトス(子)が声をかけると、ヒュプノス(子)は顔を青ざめさせて鞄を抱え込むように前のめりになった。
 ホッとした途端に具合でも悪くなったかと皆が心配した時、彼は苦しそうに声を絞り出した。

「気持ち悪い…」

 何だか、『きもちわるい』の文字の一つ一つに濁点が付きそうな声である。
 大丈夫か、病院行くかと皆が声をかけた時、タナトス(子)がクスッと笑った。

「さてはヒュプノス、食べ過ぎたな?」
「へ?」
「食べ過ぎ?」
「秋乃の店でケーキを二つ食べて、更にドーナツも食べたであろう?苦しくなって当たり前だ」
「ん?『ドーナツなら十個や二十個は朝飯前』ではなかったのか?」
「俺はそうだが、ヒュプノスは違うぞ」
「その通りだ…タナトスは大食いだが、私の胃袋は至って普通…うぅ…」
「珍しいドーナツにテンションが上がって勢いで食べて過ぎてしまったか」
「なーんだ。なら心配するこたないな!しばらく腹が苦しいけど逆言えばそれだけだ」
「秋乃の店まで歩けるか、ヒュプノス?」
「む…り…」
「じゃあオニーサンが抱っこしてやろうか?」

 オニーサン、という単語を強調しつつ星矢が尋ねると、ヒュプノス(大)が一歩前に出た。

「私で良ければおぶろうか?お前が席を立った時に気付いてあげられなかった故な…罪滅ぼしというほど大袈裟ではないが」
「ヒュプノスがこう言ってくれてるぞ。甘えておくか?」
「ん…」

 タナトス(子)の言葉に小さなヒュプノス(子)が素直に頷いたのを見て、ヒュプノス(大)はほっとしたように背中を向けて腰を落とした。
 …ヒュプノス(大)がヒュプノス(子)をおんぶして、彼の鞄はタナトス(大)が肩にかけてタナトス(子)と手を繋いで、最後に警官達に礼を言って皆はぞろぞろと駅前の交番を出た。
 エルミタージュ洋菓子店に戻る道すがら。
 柔らかな金色の髪に半ば顔をうずめるようにしてヒュプノス(子)は恥ずかしそうにぽそっと言った。

「あの、皆…さっき、私が泣いたことは、その、忘れてくれないか…」
「は?」
「何でまた」
「だって、………」
「………。俺は何も見ていないぞ」
「そうだね、僕も何も見てないよ」
「ちみっこい癖にプライドだけはいっちょまえだなぁヒュプノスサマ。ま、無事に見つかった事だし、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになってた事実は武士の情けで忘れてやるぜ…ってあたっ!」

 余計な事を言った星矢におんぶされた態勢のまま蹴りを入れて、ヒュプノス(子)はヒュプノス(大)の髪に顔をうずめた。
 一生懸命探してやったのにこれはちょっとひどくないか?
 そう言いたげな顔で星矢は皆を見回したが、星矢が目を向けると、皆わざとらしく視線をふいっと逸らして『自分は何も見なかった』アピールをした。
 タナトス(大)だけでなく瞬や秋乃にもスーッと視線を逸らされて情けない顔になる星矢の姿に、ヒュプノス(子)が思わず吹き出し、つられたようにタナトス(子)が必死に笑いを堪えて肩を震わせ…皆がクスクスと笑いだした。

「あ、ちょ、何で皆笑ってんだよー!俺、今、ちみっこいヒュプノスサマにケリ入れられたんだぜ!?見てただろー!?」
「私は何も…」
「俺も何も…」
「僕も…」
「ちょ………」

 皆の薄情な反応に星矢は一瞬絶句し、口のへの字にしたが長くは続かず、笑いだしてしまった。
 笑いながら星矢は思った。
 覚えてろよミニヒュプノスサマ。エルミタージュ洋菓子店に戻ったら、『具合が良くなるまじない』と称して、俺のポケットに入ってるキョンシーの絆創膏をオデコに貼ってやるからな。



 …………
 …高層ビルの屋上から更に高く、空に続く空間に突如一筋の線が生まれた。
 目が開くように線が広がると、『目』の中から白い帽子を被った金髪の女がするりと姿を現した。
 この世界と異世界を隔てる境界にゆったりと片腕をついている彼女こそ、小さな双子神をこの世界に攫って来た犯人、八雲紫である。星矢達がヒュプノスを探して張り上げた大声を耳にして何かあったかと様子を見に来たのだが…。

「………。色々と予想外ね…」

 白い扇で口元を上品に隠して、紫は交番を出て行く神々と聖闘士の姿を目で追った。
 こちらの世界の神々や聖闘士の冷静な行動は期待外れだったが、あちらの世界の混乱ぶりは想像以上だった。小さな神々を帰すまでの間にあちらの世界で取り 返しのつかないことが起きてしまったら…どちらの世界の神々も本気で彼女を討ちに来るだろう。流石の大妖怪八雲紫とて、戦女神と冥界の神々を向こうに回す 気はなかった。

(こちらの世界は放っておいても問題ないけど、あちらの世界は何か手を打っておかないと面倒な事になりそうね。そうなると、あちらの世界で使えそうなのは…あの男、かしら)

 紫の虹彩が針のように細くなった。
 …あの男が神の結界で守られた場所から出てくるまでまだ時間がかかるだろう。あちらの世界の彼が神の結界の外に出て来た時にこちらの神々が地上にいれば良いのだが、都合良く今日中に両方のタイミングが合うだろうか…。
 考えを巡らせながら八雲紫が異世界の中に姿を消すと、『目』がすっと閉じて境界そのものが滲むように消えて行った。

蝶様に描き下ろして頂いた素敵挿絵 はピクシブで閲覧できます!


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星矢部屋
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SS・2012時代
SS・神話時代
SS・蟹座達



 さささ挿絵が挿絵が挿絵が今回オールカラーなんですよ!!!嬉しくて嬉しくて壁に頭ぶつけて血圧あがりすぎて目が回って倒れそうでした蝶様ありがとうご ざいます!!いやもうほんと蝶様のカラーは柔らかい雰囲気で皆可愛くて透明感があってちみっ子双子神の可愛さときたらもう、さ(自主規制)くらいです よ!!!!(ちゃぶ台バンバン)
 すーはー
 そんなわけで7話目解説です。6話目で拗ねて飛び出してしまったヒュプの捜索がメインの話ですね。タナトスの膝に乗っかってドーナツを齧ったら服の袖に クリームを落としてしまう蝶様タナトス、というのもかなり早くからあったネタです。これも蝶様のサイトでコラボ企画が立ち上がる前のイラストを拝見出来る ので是非見ておきましょう!!!
 ヒュプが店を出て行ったら流石に蝶様タナトスは気付くだろうけど、ヒュプが出て行った直後に気付かれてしまうと『蝶様ヒュプが迷子になって皆で探す』エ ピが成立しないので、こんな感じの流れにしてみました。当初の予定ではミスドで色々だべりつつ、さぁ帰ろうかと言った時に蝶様ヒュプが『(食べ過ぎて)気 持ち悪い…』という予定でした。そこで私が『そこで当サイトヒュプが蝶様ヒュプをおんぶするのはアリですか?』と伺ったところ、『食べ過ぎただけでは(お んぶしてもらうことを)了解しませんが、迷子になったところを探してもらえば断りません』と教えて頂いたので、一度没になりかけた蝶様ヒュプが迷子になる 話が復活しました。おかげで、蝶様ヒュプが当サイトの神々や聖闘士を信用して心を開く過程に説得力が出たと思っています。
 そして細かいこだわりとしては、6話目までは蝶様双子神と当サイト双子神は手を繋いでいないのです。どちらかがどちらかの手を掴んで引っ張っている。そ れがこの話から手を繋いでいる、ということで互いの距離感みたいのが縮まったと言うか、微妙にすれ違っていた物が噛み合い始めたみたいな雰囲気を出そうと 頑張ってみました。
 そして双子神+タナトスが入ったコンビニはファミマです。さすがに『ふぁみふぁみふぁみ〜まふぁみまみま〜〜♪』はまずいかなと思って本文では書いていませんが…(笑)。
 そして駅前周辺に警官の姿が無い理由ですが、『迷子の子が見つかったので自分の仕事に戻っていいよ』って連絡が来たからだと思います。いくらなんでも早すぎない?という突っ込みは無しの方向でお願いします(笑)。
 そして7話目が予想外に長くなったのでカットしたのですが、蝶様ヒュプに声をかけて交番まで連れて行った高校生はタナトスファンです。蝶様ヒュプを見 て、『ハロウィンで主役をやってた死の神タナトスじゃない?ちょっと髪の色が違うけど』と思って声をかけたけど、別人だと気付き、でも迷子なので交番まで 連れて行った…という訳です。当初は交番にその高校生が残っていて、タナトスとちょっと話をしてサインを貰って帰る…という、『タナトスが人間と親しげに 交流する姿を蝶様双子神が見ていた』というエピを入れようかと思ったのですが話が長くなったので考えただけで没になりました。ちなみに警察には、蝶様ヒュ プの事は『Lと親交のある某国の要人の孫』とか言ってあったんじゃないかなと思います。
 あと細かいとこですが…
 ヒュプの凍りついていた心が溶ける、という表現は大袈裟かなと思ったのですが、氷が解けて涙になる的な演出なんですがどうでしょう?と蝶様に伺ったところOKを頂けたのでそのまま残しました。
 秋乃さんの『もっと大人を信用して欲しい』発言はハガレンのロス少尉が元ネタです。『もっと大人を信じてくれてもいいじゃない』は名言だと思う。
 蝶様ヒュプの『ごめんなさい、ありがとう』はリヴァのこずえが元ネタ。『ありがとう、ごめんなさい』という台本のセリフを声優さんが監督に頼んで『ごめ んなさい、ありがとう』にしてもらったと言う経緯が印象的だったので、ごめんなさいの後にありがとうが来るのはコダワリです。
 ヒュプが泣いている時の擬音(?)『ひぃー…ん』は、手代木女史が以前出した同人誌で使われていた擬音です。人見知りで恥ずかしがりやで、でも人一倍強がりの男の子が不意に優しくされて泣き出した時の擬音がコレでして。強く印象に残っていたので引っぱってきました。
 話を作っている最中に、皆に見つけられた直後の蝶様ヒュプが『(当サイトの双子神に)兄様を取られるし、女の子にされるし、袖を掴んだ手も振り払われ た』と感情を爆発させるシーンがありました。蝶様と相談して話の流れ的に入れない方がいいだろうと言う事になってカットしたのですが、タナトスの『男同士 の約束』発言はその時の名残です。女の子に間違われて不満を感じていたヒュプに対する当サイトのタナトスなりのフォローというか心遣いです。
 そしてヒュプがヒュプをおんぶする場面は…蝶様の挿絵を拝見してニヤニヤが止まりません。我が同人人生に一片の悔いなしです(笑)。
 7話目は最後のシメをどうするか悩んで、星矢に出て来て貰いました。キョンシーの絆創膏はまた続きのエピで小道具として使いたいなと企んでおります。
 そして、6話目の解説にも書きましたが蝶様双子神の滞在が『一泊二日』から『二泊三日』に変わったので、蝶様世界のフォローも必要だなと思いまして。蝶 様世界のハーデスやアテナは何故双子神が誘拐されたのか全く分からないわけで、『普通の』誘拐なら城戸財閥の力で解決できるんでしょうが、何しろ犯人が普 通の人間じゃないし双子神もどこに行ったのか分からない、犯人の正体も目的も双子神の誘拐された先も手掛かりが皆無、という状態で二泊三日も待てないだろ うな…と。その前振り的に八雲紫にちょこっと顔出ししてもらいました。