|
タナトスは自分のキャラを部屋の中心に移動させるとヒュプノスを見遣ってパソコンの画面を差した。 タナトス 「ほら見ろ、ヒュプノス。これが今回の俺達の敵、『死ヲ喰ラウモノ』だ」 ヒュプノス 「竜のように見えるが…石像ではないか」 タナトス 「強大なボスはゲーム世界の神によって封印されているから、戦うためには封印を解かねばならないわけだ」 ヒュプノス 「ほう…」 どうやら人数を確認していたらしいクーンのキャラが石像の前に立った。 『クーン:はぐれたメンバーはいないようだな。じゃあそろそろ始めようか クーン:後衛は支援魔法かけてくれ。前衛は念のため装備の確認な! 志乃:援護魔法、かけます。範囲内にきてね アトリ:攻撃力アップ!防御力アップ!移動速度アップ! ヘカーテ:あ、勝負服に着替えないとな ヘカーテ:【本気で】猫耳装着!!【行くわよ】』 他の二人が援護魔法を皆にかける中、ヘカーテのキャラが突っ込みどころ満載の決め台詞と共に猫耳を装着した。 …このゲームには『猫耳ヘアバンド』という装飾品があるのだ。無論、装備すればキャラクターのグラフィックに猫耳が表示される。 『タビー:おおーヘカーテさんが本気出したよっ! 匂坂:回復役なのに一体何なんだこの女王様オーラはw エリス:ヘカーテさん、ほんとに猫耳お気に入りだねー パンタソス:リアルでも装着してるくらいだもんなー クーン:何だとぉぉ?美人巨乳ムチムチばいんばいん彼女に猫耳だとぉお!?なんだその羨ましすぎる組み合わせは!! 匂坂 :何だかパワーアップしてるなw クーン:ちくしょうぉぉぉぉリア充なんか爆発しちまえぇぇぇ!!! ハセヲ:落ち着けw>クーン ハセヲ:つか早く始めろよ、この後仕事あるんだろ? クーン:Σ(´Д`; クーン:ハセヲ君てばつめたーい… ヘカーテ:いいからサッサと始めろ、援護魔法の効果時間が切れるぞ クーン:いやーん、ヘカーテまでつめたーい クーン:レア武器なんて出なければいいのに(ぼそ) タナトス:おいこらw クーン:美人巨乳ムチムチばいんばいんエロエロで猫耳までつけてくれる彼女がいてこの上レア武器まで出たら… クーン:俺はどうしたらいいんだ…?(´・ω・`) アトリ:タナトスさんにあげるんでしょう? クーン:……… ハセヲ:はいはい、天然が最強って分かったところでいい加減はじめようぜ>クーン クーン:(T△T) クーン:じゃあ始めます(涙)』 クーンが石像の前に立って封印解除のアイテムを捧げると、まるで石像に命が吹き込まれたように、モノクロの竜が赤く色を変えて咆哮を放った。 グォォォォォォォォ!!! モニタに表示されたダンジョンが激しく揺れるムービーが流れると、ボス戦専用のBGMが流れて画面は戦闘モードに切り替わった。 攻撃役のキャラクターが武器や魔法をこれでもかとぶつけているが、ボスのHPは全く減っていないように見える。 ヒュプノスは独り言のように呟いた。 ヒュプノス 「ボスのHPが全く減っていないように見えるが…」 タナトス 「攻撃を寄せ付けない結界がボスを守っているのだ。最強クラスのボスのお約束だな」 パンタソス 「一定のダメージを与えると結界が割れて、ボスがまた結界を張るまでの間だけダメージを与えられるんですよ」 ヒュプノス 「なるほど…」 エリス 「ヘカーテさん、結界が壊れる時か張り直す時にボスが炎を吐くから、バリアよろしくね。1回目は志乃さん、2回目はアトリがバリアを出すから、タイミング見ておいて。バリアのタイミング間違えても攻撃組が死ぬだけだけど、運悪く回復役が死んだら全滅ルートだから」 ヘカーテ 「分かった(真剣な眼差し)(猫耳ぴるぴる)」 …しばらく見ていると、ボスを守る結界にひびが入って割れるムービーが流れ、竜が咆哮した。 『死ヲ喰ラウモノ の 結界が解除されました。』 アナウンスが流れ、キャラが一斉にここぞとばかりに必殺技を発動した。 派手なエフェクトが乱れ飛び、連携技の効果音や演出が流れる。タイミングよくタナトスとパンタソスの連携技がボスに当たったらしく、専用のムービーが流れた。 ボスのHPが一気に減った次の瞬間、竜は激しい咆哮とともに足踏みをした。 『クーン:炎、来るぞ! 志乃:私の周りに集まって 志乃:防御壁展開します 効果範囲内に入ってね』 志乃のキャラの周りに皆が集まると同時にドーム状の壁が広がり、竜が吐いた炎が壁を舐めるように広がった。 仲間のHPが減っていないところを見るとうまくタイミングを合わせて防御壁が展開されたらしい。 その後も皆が攻撃を続けたり、ボスの攻撃をまともに喰らってタナトスのキャラが即死したり(タナトスは、攻撃力が高い分防御力が弱いのだと説明してい た)、援護系の女性三人が攻撃魔法で連携攻撃したり、ボスがまた暴れて火を噴いたり、イベント不参加のヒュプノスも思わず手に汗握る戦闘が続き、ボスの HPが残りわずかになってそろそろ倒せるかと思った時。 瀕死の竜がひときわ激しく咆哮した。 『ハセヲ:え、このタイミングでブレスくるのか!? 匂坂:最後の悪あがきってやつか(´Д`; 志乃:防御壁再発動できるまでまだ時間かかる、みんな逃げて クーン:逃げられる人は範囲外まで逃げて、逃げられない奴は諦めてくれw クーン:志乃、アトリ、ヘカーテ、俺らが死んだら蘇生頼むわ タビー:ヘカーテさんがブレスの範囲内にいるんだけど ヘカーテ:私が死んでも代わりはいるもの… エリス:名言ktkr タナトス:とりあえずダメもとで結界張って欲しいんですがw ヘカーテ:ああ、そうだったそうだった ヘカーテ:【あなたは死なないわ】ATフィールド展開【私が守るもの】 ハセヲ:ちょ、タイミングはかれ!w 匂坂:発動タイミング適当過ぎぃぃ!!』 皆のツッコミにヘカーテがしまったという顔になった途端。 かなり適当に発動した防御壁が展開するのと同時に竜が炎を吐いた。無論、壁のおかげで炎の範囲内にいたキャラは無傷だ。 『クーン:さっすが神様、神がかり的タイミングのシールド発動だぜ! ハセヲ:ビギナーズラック最強だな ヘカーテ:けいさnどおりds!! タビー:あ、噛んだw ヘカーテ:それも含めて計算通りだ!!1 エリス:おしゃーとどめ! エリス:レア武器カモーン!!』 エリスが攻撃モーションに入った途端、タナトスが発動した必殺技が竜に炸裂した。 画面が切り替わり、竜が断末魔の叫びをあげてゆっくりと倒れるムービーが流れるとゲーム内のアナウンスが流れた。 『クーン連合が 死ヲ喰ラウモノ を 倒しました。 死ヲ喰ラウモノ が 特訓教本・上級編 鍛錬の書・耐 暁のチムチム像 宵のチムチム像 神酒ネクタル ゆらめきの虹鱗鎧 我が分身 八将神呪導衣 呪杖・鷹揚 銃剣・月梁 万死ヲ刻ム影 を 落としました。 ボス討伐成功おめでとうございます。』 一瞬、タナトスもヒュプノスも我が目を疑った。 チャットウィンドウには、確かに『 死ヲ喰ラウモノ が 万死ヲ刻ム影 を 落としました。』とログが残っている。 『エリス:ちょ エリス:ほんとに出た ハセヲ:マジかw 匂坂:エリスGJw クーン:のぉぉぉぉおおおおおwまーじーかーw 志乃:タナトスさんおめでとうw タビー:良かったねー アトリ:おめでとうございます! タナトス:本当にオメでいいのか? クーン:最初に約束したからな。ま、TheWorldの神様からのプレゼントだと思って有難く受け取ればいーだろ(^^ クーン:他にもレア度の高いものが結構出たし、公開オークションに賭ければ報酬もそこそこの額に行くだろうし クーン:じゃあトレードするぞ』 …クーンから『万死ヲ刻ム影』を受け取ったタナトスは、皆の期待の視線を感じてすぐに超レア大鎌を装備した。 やはり本職の死神だからか、ゲームのキャラが装備しても文句なしに似合っている。 わぁカッコいい、良く似合ってる、とメンバーから賛辞の言葉をかけられたタナトスは、照れ臭そうにしながらキーボードを叩いた。 『タナトス:あー、何だ タナトス:ありがとな クーン:いいってことさ。んで クーン:俺は仕事行くから、後よろしくなw>サブマス タナトス:は? クーン:じゃーちょっと海外出張行ってきまーす!また一週間後になー(^^ クーン:ノシ タナトス:ちょっとまt ギルドメンバー クーンが ログアウトしました。』 引きとめる間もなくクーンはログアウトして、気がつけばボスがドロップしたアイテムは全部タナトスのキャラのインベントリに入っていた。 俺もこれから仕事があるのだが…と言いながら、レア武器を皆の好意で貰ったタナトスはてきぱきとイベントの戦後処理を仕切り始めた。 ドロップアイテムの公開オークションを終えて報酬を配り終えた時(タナトスは自分の報酬は辞退した)、タナトスの携帯が鳴りだした。 電話の相手は『天馬星座』と表示されている。 妙なタイミングの良さに不吉な予感を覚えつつ通話ボタンを押した。 タナトス 「何だ?」 星矢 『こんちわー。あのさ、いきなり変なこと聞くけど。タナトスサマ達ってば、そのまんまの名前でThe Worldってネトゲ遊んでたりする?』 タナトス 「…何故そんな事を」 星矢 『いやさ、俺もThe World好きで遊んでんだけど。欲しいレア武器の公開オークションがあるから行ってみたら、超レア武器の大鎌持った『タナトス』ってキャラがいるんだ よ。しかもその隣にヒュプノスやらエリスやらヘカーテやら、聞いたことある名前のキャラが揃ってんだよなー。しかもヘカーテは猫耳付けてるし』 タナトス 「………」 画面に目を戻すと、タナトスのキャラの隣に『スターボウ』という名前のキャラが立って、しきりに挨拶のモーションを繰り返していた。 スターボウ。スター、ボウ。星、矢。 …タナトスは色々な原因でずきずきと痛み始めた頭を抱え込んで唸るしかなかった。 |
| 星矢部屋 | 総合目次 | SS・2012時代 | SS・神話時代 | SS・蟹座達 |
| 双子神2012・怪盗シリーズで冥界の神々がネットゲームを遊んでいる設定をちらりと出したのがきっかけで、妄想が膨らんでできたSSです。 最初は私が一時期好きだったネトゲをモデルにしようかと思ったのですが、そうなると他のプレイヤーの名前どうしよう…と悩んだ時に.hackを思い出し て、そこから色々な名前を引っ張ってきました。キャラとか、アイテムとか。ゲームの設定やシステム、仕様は私が遊んだ事のあるネトゲから適当に選びまし た。なので、.hackの設定やシステムと違うぞ!とか突っ込まないでくださいまし(笑)。 ちなみにサブタイですが、.hackの世界に存在するネトゲのタイトルが「The World」なのでそこから取りました。 |