| …鍵だ。 その鍵には見覚えのあるエンブレムが刻印されている。 横からマニゴルドの手元を覗きこんだ星矢が驚いて声を上げた。 「え…ちょ、これ、ポルシェの鍵じゃねーの!?」 「ええっ?」 「誕生日プレゼントにポルシェ…まるでバブル時代の成金だな」 「え?マジ?マジで車くれんの?鍵だけとか、頭金は払ってあるから後は自分でローンで払えとか、そんなオチじゃねーよな??」 「冥界の神々を何だと思っているのだ、塵芥。我々はそんなみみっちい事はせぬわ!」 タナトスはムッとしたように眉間に皺を寄せ、マニゴルドの予想の上を行く言葉を口にした。 「プレゼントの代金は向こう十年分のメンテナンス費用も合わせて先払いしてあるし駐車場も車庫も用意してある。今後お前が負担する必要があるのは燃料代だけだ」 「え、ええええええーーーーーーーー!!??」 車をプレゼントされるのは嬉しいけど車検やら税金やら金がかかるんだよな、その前に駐車場代も馬鹿にならないぜ…などと言う俗なマニゴルドの心配はあっけなく吹き飛んだ。 マニゴルドだけでなく星矢達も口をあんぐりと開けてタナトスを見ていた。 パねぇ。 神様の金銭感覚は無いも同然と分かっていたが、それにしてもスケールがパねぇ。 マニゴルドより先に我に返ったらしい星矢が期待に目を輝かせてタナトスに尋ねた。 「なぁなぁタナトスサマ、俺だってアンタが地上に遊びに来た時に付き合ってるし仕事に協力だってしてるよな。だったら俺の誕生日にもこんなプレゼントくれるのか?」 「そうだな…お前が俺の手駒となってサガやマニゴルドと同じくらい俺の為に働けば考慮してやらんこともないぞ」 「え、手駒になるのが条件なのか?アンタのサポートする部署に異動して働くだけじゃダメか?」 「な…星矢、何を真面目に交渉してるの!?」 「星矢が希望するならそのように辞令を出してあげますわよ」 「沙織さん、それはいくらなんでも職権乱用でしょう!!」 トリプル漫才を始めた三人は全力でスルーして、マニゴルドはスルー出来なかった発言に関してタナトスに突っ込んだ。 「あのさぁタナトス様、さっきの言い方だと『俺とサガはあんたの手駒になった』って言ってるように聞こえるんですけど?」 「違うのか?」 「ちょ、おま…俺達はアテナの聖闘士だぞ!アンタのお供をしてるのはアテナの命令だからだよ!勝手に冥界の駒にすんなよ!」 「冥界の駒では無い、俺の駒だ」 「ハァ?」 「タナトスさん、この場合は『手駒』って単語は不適切ですよ。そんな言葉を使ったら星矢さんもマニゴルドさんも反発しちゃいます」 「そうなのですか。では、この場合はどのような言葉が適切なのです?」 タナトスに真面目に尋ねられた龍神秋乃は、にっこりと笑って答えた。 「配下とか手下、が適切ですね。舎弟と言えばフレンドリーさを、下僕と言えばユーモアをアピールできますよ」 「なるほど。では次からは下僕と言ってユーモアを…」 「ユーモアじゃない別のナニかをアピールするっつーの!そもそも何が『なるほど』なんだよ!配下も手下も舎弟も下僕も『手駒』より不適切な単語じゃねー か!そもそも秋乃さんよ、何で部下とか助手とか無難な単語を出さねーんですか!!タナトス様もタナトス様だ、ボケにボケで返してんじゃねーよ、突っ込みが 追いつかねーだろ!!」 「全く…一体何なのだお前は。真面目に返せば『ノリが悪い』と言うし、ボケたらボケたで『ボケるな』と言うし…」 「TPOを弁えて空気読んで真面目とボケを使い分けて発言しろって言ってんだよ!」 「…マニゴルド」 タナトスに盛大に噛みつくマニゴルドの姿に、それまで黙っていたサガが声をかけた。 どこか師匠セージを想わせる声色にマニゴルドが口を閉じて彼を見ると、サガは微かに笑みを浮かべたまま静かに尋ねた。 「お前の誕生日を調べてパーティーを企画してプレゼントまで下さったタナトス様と、賜ったプレゼントに対する礼も言わずに些細な言葉ひとつに拘って声を荒げるお前…今、この場でTPOを弁えず空気も読めていないのはどちらだろうな?」 「!………」 「おお、流石は教皇を務めた男。言葉の重みが違うのう」 「童虎!」 シオンに肘で小突かれた童虎がハッとなって気まずそうに口を噤み、サガはどこか困った顔で穏やかに微笑んだ。 …全く、この元教皇様はお師匠に似てていけねーや。 そんな事を考えて頭を掻きつつ、マニゴルドは照れくささを隠すようにボソッと言った。 「あー…俺を『手駒』と言った事は後でじっくり抗議するとして、だ。その、プレゼント、ありがとな。マジ感謝してるぜ。ハーデス様とか冥界の皆にもよろしく言っといてくれ」 「うむ」 マニゴルドの言葉にタナトスはとても満足そうな笑みを浮かべた。 それはまるで無邪気な子供のように屈託のない笑顔で、言葉ひとつに拘って腹を立てている自分が馬鹿馬鹿しくなってくる。 マニゴルドは軽く頭を振って気持ちを切り替えると、ところで…とタナトスに尋ねた。 「プレゼントの本体はどこにあるんだ?まさかとは思うがギリシアの聖域とか言わねーよな?」 「時間に余裕があればその程度の嫌がらせ…あ、いや茶目っ気は出してやろうと思っていたのだがな」 「嫌がらせって言ったぞ今…」 「お前の希望した色がなかなか見つからなくて調達に時間がかかってな、スケジュール的にギリギリだったので残念ながらエルミタージュ洋菓子店に届けさせる事になった」 「え…」 本日何度目か分からない絶句状態のマニゴルドを星矢が押しのけてタナトスに詰め寄った。 「マジで?もうこの店に届いてんのか、そのポルシェ!」 「ああ。店の前に業者のトラックが停まっていただろう?その荷台に積んであったのだが、もう降ろしてあるのではないか?」 「うっひゃあ!!」 バターン! タナトスの言葉を最後まで聞かず星矢は部屋を飛び出して行って。 その後ろ姿を見送ったマニゴルドは、手の中にある鍵を見て真剣に首をひねった。 ポルシェをプレゼントされたのは、俺だよな?? …星矢の後に付いて皆がぞろぞろと店を出ると、駐車場にポルシェがデンと鎮座して、その周りを星矢が歓声を上げながら走り回っていた。 「すっげぇ!マジでポルシェじゃん!カッケーーー!!やっぱ男のロマンだよなぁぁぁぁ」 「あのな星矢、あんまりはしゃぐんじゃねーよ。それを貰ったのが俺かお前か分からなくなんだろが!」 「別に良いじゃないか。マニゴルドがはしゃがないから代わりに俺がはしゃいでやってるんだよ!」 「オメーが先に羽目外したら俺がやっても二番煎じになるだろ!」 「ちぇ。十円傷つけてやろうかな…えーと、十円玉十円玉…」 「ちょ、おま…俺より一回り年上の癖に大人気ない事すんじゃねーよ!」 真顔で星矢が財布を取り出して小銭入れを探し始めたので、マニゴルドは慌てて星矢を押しのけた。 そんな二人を笑顔で見ていた沙織が皆を見回した。 「…では、皆それぞれ予定もあるでしょうし、マニゴルドの誕生日パーティーはこれでお開きとしましょうか」 「はーい」 「そうですね」 「うむ」 「じゃあな、マニゴルド!そのうち乗せて欲しいから、初日にいきなり事故るなよっ!」 「不吉な事言うなっつーの」 星矢達を見送ったマニゴルドはタナトスを振り返った。 冥界の神々は冥府に帰還するが、確か彼はこれから地上で仕事があるはずだ。 マニゴルドは少し考えて死神に声をかけた。 「タナトス様、確かこれから仕事だよな?移動はどーすんだ?」 「俺も自分の車をここに持ってきてあるからな、エリスを送ってから仕事場に向かうつもりだが」 「…車と妹さんはサガに任せて、アンタは俺の車に乗らねーか?どうせサガも仕事に付いて行くんだし問題ないだろ?」 「俺は別にそれでも構わんが…」 タナトスは怪訝そうに銀色の睫毛を瞬いた。 「助手席に初めて乗せるのは彼女、と言うのがお約束ではないのか?」 「どっかの神様のおかげで今の俺には彼女がいねーの!何度も同じ事言わせんなよ」 「…………」 ならば意中の女を口説き落として乗せれば良かろうに…とか、恐らくそんな事を言いかけたのだろう。 タナトスは口を開いたが、不毛な問答になるだけと思ったのか、何も言わずに閉じて後ろに控えたサガを振り返った。 「…と、言う訳だ。エリスの家は知っているな?」 「存じています」 「ならば任せた」 タナトスはサガに車の鍵を渡すと、では行くかとマニゴルドに声をかけた。 仕事先に向かう車の助手席で、タナトスは興味津々と言う顔で温泉や観光地ホテルのパンフレットを眺めていた。 兄弟達や冥界の神々と一緒に旅行にでも行く気なんだろうか…と思いながら、マニゴルドはパーティーの時から気になっていた事を尋ねてみることにした。 「なぁ、タナトス様。俺の誕生日パーティー企画したのはアンタなんだろ?何でまたそんなことしようと思ったワケ?」 「サガの誕生日にパーティーをしたからな。奴だけやってお前は無しでは不公平であろう?」 「あ…いや、そう言う意味じゃなくてさ。『手駒』とは言え、人間の誕生日を神様のアンタが祝おうと思った理由は何なんだ?」 「誕生日とはめでたいことだろう?めでたい事を祝えば楽しいし面白いし皆喜ぶ。楽しくて面白くて皆が喜ぶことは好ましい、どんどんやるべきだ」 「え、それだけ?」 マニゴルドの反応にタナトスは心底不思議そうな顔をした。 「『それだけ?』とは何だ。他に理由があると思っていたのか?」 「え…ええと、ほら、誕生日パーティーを開催することで、人間達のタナトス様への好感度を上げて、信仰を集めるとか…」 「フン」 タナトスは心底呆れた顔で鼻を鳴らして、心外だと言わんばかりの貌になった。 「そんな打算や下心が透けて見える祝宴など興が醒めるわ。お前は、イメージアップ戦略の一環としての誕生日パーティーに参加したいと思うか?」 「あー…そーゆー意図がミエミエの誕生日パーティーは確かに俺も白けるわ」 「だろう?祝宴は祝宴、信仰集めは信仰集め、信仰集めを目的とした誕生日パーティーは信仰集めを目的とした誕生日パーティー。それらは全くの別物だ。下手 に欲張って両方やろうとすると、どちらも中途半端になる。日本の諺で言うと『二兎を追うもの一兎をも得ず』と言う奴だな」 「さっすが神様。カッコいいねぇ」 「…………」 「素直に受け取れよ、褒め言葉じゃねーか」 「どうだかな」 …マジで褒めてんだよ。 ふいっとそっぽを向いた端正な横顔に、マニゴルドは唇を動かすだけで告げた。 この時代に彼が蘇って間も無い頃、アテナが言っていた。『タナトス殿は誰かを喜ばせたり楽しませることが大好きで、何の計算も下心もなく楽しい事を催す の。そして、当たり前すぎて皆が気付かずに忘れかけている事を、何でもないことのようにさらっと言うの。何だかとても不思議な魅力を持った方だったわ。だ からかしら、冥界だけでなく天界や海界でもあの方に心を惹かれ好意を持つ者が少なからず存在したわ。そして今は人間さえもあの方に惹かれ始めている。地上 を守る使命を持つ我々聖域も気が抜けませんわね』と。 その話を聞いた時は、アテナの言葉は冗談かお世辞で、『間違っても冥界の神に懐柔されるな』と遠回しに釘を刺しているのだろうと思っていた。 だが今は、彼女の言葉は言葉通りの意味だったのだと思う。 死の神タナトスは無遠慮で無神経で裏表が無くてまっすぐで正直で素直で、馬鹿げたことを言った直後に恐ろしく的確で鋭く本質を抉る事を言い、子供じみて いるかと思えば超越した神々しさも見せ、傲岸不遜な態度をとりながら感激ものの心遣いを見せて、計算や謀略は性に合わぬと言いながらどんな策士も敵わない 計略を立てて呆気なく成功させる。行動も言動も全てに予想がつかず、眼を離せずにいるうちにいつの間にかその魅力に惹かれ、ふと気付けば彼に好意を持って いる自分がいる。 (憧れてた以上に憎かった、はずなのにな…) パンフレットを眺める作業に戻ったタナトスに、マニゴルドは至って軽い口調で声をかけた。 「あのさ、タナトス様。モノは相談なんだけどよ。その、俺が聖域メンバーから貰った誕生日プレゼント」 「ペア宿泊券か?」 「そそ。俺としても皆のご希望に応えて、イイ女捕まえてこのポルシェで日本一周婚前旅行と洒落込みたいんだけどさ、俺って運命の女神様に女運ゼロの人生を与えられた男だろ?意中の女を口説きに行って玉砕して、婚前旅行が傷心旅行になった時の保険をかけておきたいワケ」 「保険?」 「女運ゼロなんて泣ける人生を与えてくれた妹の責任を兄貴のアンタが取って、俺の日本一周傷心旅行に付き合ってくれねぇ?」 「……………」 タナトスは数回眼を瞬いて、特に気を悪くした様子も見せず怪訝そうに首を傾げた。 「男の俺と旅行してお前は楽しいのか?」 「割と楽しいんじゃねーの?アンタは色々面白いし、俺が失恋してても余計な気ィ使わないだろうし、俺もアンタに余計な気を使わなくて良いし。日本一周が終わるころには道中にアンタがやらかした諸々のインパクトで失恋の痛手も忘れてそうだしな」 「そんなものか。良かろう、傷心旅行の予定が決まったら早めに知らせるのだぞ。俺も何かと多忙だからな」 呆気ないほど簡単に了承の言葉が返ってきて、マニゴルドは思わず口元を綻ばせた。 「傷心旅行って確定してる所は気になるけど、とりあえず礼を言っとくぜ。ありがとな。これで安心して当たって砕けられるわ」 「ん?その様子だと、もう心に決めた相手がいるのか?」 「へへ、まーな」 「ほう…どこのどいつだ?」 「まだ教えねェよ。いつだったかみてーにどこのどいつか教えた途端に『その女なら近々結婚退職すると言っていたが』とか言われたらたまんねーもんな」 「答えは自分で確かめたいか。フッ…それも良かろう」 「俺が振られるの確定みたいな物言いやめてくんねーかな…」 マニゴルドは独りごとのようにボソッと呟いて、でもやっぱり今回も玉砕するんだろうなと思った。 根拠は、タナトス経由で伝えられた『アンタの人生、女運ゼロにしといたから』という運命の女神のありがたーいお言葉だ。 マニゴルドが失恋すれば、タナトスは約束通り彼の日本一周傷心旅行に付き合ってくれるだろう。 そして、楽しいことには目の無いあの神様のことだ。『どうせ旅行に行くなら大勢の方が楽しいぞ、心配するな費用は俺が持つ!』と言って、冥界の神々や冥闘士達や、果ては聖闘士達も旅行に誘うに違いない。 そうなったらもう、傷心旅行じゃなく修学旅行だよな。移動手段もポルシェじゃなくてバスか電車になりそうだし、ホテルは貸し切り、下手したらテーマパー クも城戸財閥の力に物を言わせて貸し切り、そしてお約束の寝る前の枕投げ大会も開催されるだろう。普通に考えて優勝を争いそうなのは…遊びにも全力のタナトス様と、眠りの神のヒュプノス様 か。最強の美貌の女神ヘカーテ様も無視できねーが…って。何で俺は、聖域一同から貰ったプレゼントは傷心修学旅行になる前提であれこれ考えてんだ? 意中の彼女との旅行よりタナトスとの旅行を楽しみにしている自分に気付き、マニゴルドは内心で苦笑しつつ自分自身に言い訳した。 …だって仕方ねーだろ?俺プロデュース婚前旅行より、タナトス様プロデュース傷心修学旅行の方が格段に面白そうなんだからよ。 |
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| 不意にネタが浮かんで一気に形になった、完全に予定外だったマニさん誕生日SSです。最近、SSの時間軸の流れと公開する順番が入れ替わることが多く、
相変わらず脳内設定大全開でスイマセン…。一応、キャラ設定ページの設定と、当サイトの他のSSをお読みになってる方には致命的に訳ワカラン部分は無い
と…思います…思います…。 一応解説など。 キャラ設定ページに書いてある通り、マニさんはハーデスとヘカーテの計らい(思い付きとも言う)で21世紀の地上に蘇りました。で、この時に運命の女神 達モイライ(双子神の妹)から改めて新しい運命を与えられています。『マニさんの人生女運ゼロ』とは、『モイライがそう言っていた』とタナトスが言ってい るだけであり、100%の信憑性はない…ということになっています(マニさんは事実だろうと思っています)。蘇ったマニさんは当初こそタナトス相手にピリ ピリしていたけど、ハーデスが聖戦を起こした理由と和解が成立した理由を知り、普通に冥界と交流している聖闘士達(特にタナトスと直接対決した星矢達)を 見ているうちに、神経を尖らせている自分が馬鹿馬鹿しくなって星矢達と同じように冥界と交流を始めました。で、仲良くなってみればタナトス様って結構面白 くていい奴じゃねーか、的な好意的な認識に変わって行った感じでしょうか。 そして某企画用にタナトスが車を買う話を考えていまして、このSSは時間的にその企画用SSの後に来る話になります。サガ始め聖闘士達は余り車に興味な さそうですが(だって自分で動いた方が早いですしね)マニさんは普通に車に対する憧れみたいのがありそうだなぁ、と。私は車に関する知識も拘りもさっぱり なので、『マニさん=こってこてのスポーツカー=有名どころのスポーツカーと言えばポルシェかフェラーリ』という安直な理由でマニさんの車はポルシェとな りました。色もスカッと明るいブルーで。 マニさんの誕生日を本来の誕生日にするか21世紀に蘇った日にするかで悩んだのですが、マニさん復活はコラボSS(融合)の最後なので、そこから1年後 と言うのはちょっと無理がある気がしたので本来の誕生日としました。コミックス8巻の回想シーンを見るとマニさんは孤児っぽい感じがしたので、自分の誕生 日も知らないかな、と。自分の誕生日を知らないからサプライズ誕生日パーティーも効果的!という話の都合もあります(笑)。 そしてタナトスは気にいった相手には太っ腹なので、ポルシェくらいぽんとプレゼントするだろうなと。多分サガにもドカンとプレゼントあげるつもりだった けど、彼は物欲がなさそうなので欲しい物もきっとささやかで、タナトスは欲求不満が燻っていたんじゃないかなと思います。だからマニさんがポルシェを要求 した時は大喜びでプレゼントを用意したんじゃないかな。ある意味、孫にお小遣いあげたいおじいちゃんの感覚。 マニさんが考えている通りタナトスには金銭感覚と言 うものはないです。神様でもお金の概念はあるし仕組みも分かってるし、無限に資金があるわけじゃないと言うのも頭では分かってるけど、資金が底をついたこ とが無いのでやっぱり金銭感覚はない。無いんだけど、誰かれ構わず見境なくポンポン高価な物をあげるようなことはしないです。例えば、200円と200万 円の違いを感覚として理解は出来ないけど(なのでお高いブランドアイスより200円のコンビニソフトクリームが好きだったりする)、人間がその数字をどう 感じるかは理解してるので、200円を奢るか200万円を奢るかは相手の価値を見極めて決め ます。 なので、自分の手駒になった(と、思っている)サガやマニさんには数千万をポンと奢るけど、タナトス基準で『遊び友達の枠を出ない』星矢達にはそこまで の金額のプレゼントはあげない。ただし、自分も含めて皆で楽しくやるためのお金ならケチケチしないので、その辺は神様ゆえの豪快さ。 マニさんとサガの事は、『冥界の神タナトスが自分の手駒にするのは問題があるが、城戸財閥のモデルとして子分にする分には問題ない』と考えています。つ まり冥界絡みの用事で二人を使うのはダメだけど、城戸財閥の仕事をする時に使うのは問題ない、と言う認識。沙織さんもタナトスのその考えに異議はないので 『サガとマニゴルドは俺の手駒』というタナトスの発言に特に抗議はしていません。 そして最後はどうするか色々悩んだのですが、マニさんの『死に憧れてた』発言が好きだったのでそれに沿うような形にしてみました。つまりは、旅行の誘いをすんなりOKしてもらえた事を嬉しいと感じる程度にはタナトスを好きなマニさん。 そしてSSを通して意識していたのは、一見対等に交流してい るように見えても、神と人間は決して対等には慣れないと言う事。やっぱり神様は高みから人間を見降ろす存在で、人はその神を見上げて憧憬と畏敬の念を持つ…みたいな。タナトスがマニさん(や、サガや 星矢達)を好ましいと感じる事と、マニさん達人間がタナトス神に憧れ好意を抱く事はそもそもの次元からして違う。人間がどんなに神を想っても本当の意味で 届く事はないけど、互いに歩み寄れば仮初めではあるけどその次元を埋める事が出来る…みたいな…うん、上手く説明できてないですね(^^;) そしてタナトス以外の冥界の神々が空気だった事が心残りです。彼らはまた、別の機会に。 |