| T・タナトス 「ヒュプノス、次は落書きせんべいだ!せっかくだからこの世界のタナトスとヒュプノスの似顔絵を描こうではないか!」 T・ヒュプノス 「……ん(頷く)」 ヘカーテ 「え、タナトスとヒュプノスだけか?私やベルセフォネーは?(チョコバナナもぐもぐ)」 T・タナトス 「あ!勿論ヘカーテ様と秋乃の似顔絵も描きますよ!」 秋乃 「わ、嬉しい!」 T・マニゴルド 「俺の似顔絵は…?(期待の眼差し)」 T・タナトス 「お前は…」 T・ヒュプノス 「以前、秋乃の店で描いてやったから蟹は一番後回しで良かろう。まずは私達とヘカーテ様と秋乃だ。そうだろう、タナトス?」 T・タナトス 「そうか、そうだな!では行くぞヒュプノス!」 T・双子神は落書きせんべいの屋台に向かうと早速せんべいにシロップで絵を描き始めた。 が、もともと似顔絵は得意でない上にシロップが乾ききる前に絵を描かなくてはいけないので、納得のいく絵はなかなか描けないらしい。T・タナトスは『失敗作』のせんべいをT・ヒュプノスの分まで食べながら次から次へとせんべいを買っては絵を描いている。 貰ったチョコバナナを食べながらS・マニゴルドは感心したように呟いた。 S・マニゴルド 「スゲーな、ミニタナトス様の胃袋は…桂木弥子かギャル曽根か?」 T・マニゴルド 「……このチョコバナナ、しょっぺぇな…(めそめそ)」 S・マニゴルド 「いつまで凹んでんだよ。ヒュプノス様経由でもタナトス様から貰ったもんじゃねーか、喜べよ」 T・マニゴルド 「うっせぇよ…間接キスのチャンスを逃した悔しさが『俺』に分かるかよ」 S・マニゴルド 「お前、まだそんな未練がましい事…あ、そうだ」 S・マニゴルドは何かを思いついた顔で小声でT・マニゴルドに囁いた。 S・マニゴルド 「な、お前はあのちみっこいタナトス様一筋なんだよな?」 T・マニゴルド 「そーだけど?」 S・マニゴルド 「だったら、女運ゼロの俺と運命取り変えねーか?」 T・マニゴルド 「やなこった(即答)」 S・マニゴルド 「な…何でだよ!?男が本命なら女運ゼロでも問題ねーだろ?」 T・マニゴルド 「やなこった、やなこった。もひとつおまけにやなこったっ!俺が報われねーのにこの世界の『俺』が報われるなんて何だよそれ。やなこった!」 S・マニゴルド 「ンだと?お前が報われねーとまだ決まったわけじゃねーだろ?可能性の幅を広げろって言ってんだよ」 T・マニゴルド 「ケッ。そんな耳触りの良い言葉に騙されたりなんか…」 コソコソ話しているつもりが周りの煩さにつられて声が大きくなっていたマニゴルド達は、嫌〜〜な感じの小宇宙に気付いて口論をやめた。 …形の良い唇に極上の笑みを浮かべたS・タナトスが二人を見ていた。 S・タナトス 「やはり蟹の脳味噌だな。俺がついさっき言ったことも忘れたか」 S・マニゴルド 「え?え?俺らはただ、運命の交換を出来ないかなーって話をしてただけなんですけど(汗)」 T・マニゴルド 「この『俺』の頼み、俺はきっぱり拒絶しましたよ?(汗)」 S・タナトス 「この期に及んで言い訳か?神話の蟹のように蟹味噌が出るまで踏まれたいのか蛆虫共」 S・マニゴルド 「お言葉ですがねタナトス様、俺らは蟹座の聖闘士であって蟹じゃねーの!」 T・マニゴルド 「踏まれたらフツーに人間の脳味噌が出るっつーの!」 S・タナトス 「そうか、では訂正しよう。神話の蟹のように踏まれて脳味噌を地面にぶちまけたいか蟹座共」 S・T・マニゴルド 「調子乗りましたスイマセン(90度お辞儀)」 S・ヒュプノス 「(タナトスは楽しそうだな…)」 傍観者を決め込んだS・ヒュプノスは、まだ納得いく似顔絵が描けていないT・双子神の為にせんべい二十枚分の代金を先払いし、S・タナトスとマニゴルド達のやり取りを生ぬるく眺めていた。 S・マニゴルド 「で、藤吉会へのタレコミはどうなるんでしょうね?(ハラハラ)」 S・タナトス 「安心しろ、俺は何も言わん(にっこり)」 T・マニゴルド 「そりゃーありがて…(凍りつく笑顔)」 ヘカーテ 「タナトスが何も言わなくとも私達が聞いていたからな!(にっこり)」 秋乃 「次の藤吉会総会で議題にしますね(にっこり)」 S・マニゴルド 「………(絶句)」 T・マニゴルド 「………(魂が抜けかけるが持ち直す)あ、いや、ちょっと待って下さいよ。取引の余地はないですか?」 秋乃 「取引?」 秋乃が首を傾げると、T・マニゴルドはここぞとばかりに畳みかけた。 T・マニゴルド 「ですです。こっちの『俺』に関するネタを差し出しますんで、次の同人誌には『俺×俺の世界のタナトス様』ネタを入れてくれませんかね?で、『この世界のタナトス様×俺』ネタはこっちの俺を使うって事で…」 ヘカーテ 「ふむ…」 S・マニゴルド 「ハァ!?何だその取引は!つか俺ひとり貧乏籤じゃねーか!」 T・マニゴルド 「うっせ!俺が『俺×タナトス様』ネタの同人誌を描いてもらうためにどんな犠牲を払ったか知らねー癖にこの程度で貧乏籤とか言うな!しか も多大な犠牲を払って採用されたと思ったら『タナトス様×俺』ネタも同時収録されてたんだぞ!あの時の俺の心の痛みが分かるかよ!!」 S・タナトス 「そこまで脳味噌をぶちまけてタナトスの闇に散りたいなら望み通りにしてくれるわ!!そこへなおれ、手討ちにしてくれるわ塵芥ァァァ!!(扇子へし折り)」 S・T・マニゴルド 「マジサーセン!!(土下座)」 ヘカーテ 「(フフフ…ここまで含めてネタにしてやろう…)」 S・ヒュプノス 「(触らぬ神に祟りなし、か…。うまく言ったものだ)」 秋乃 「(傍観者を決め込んでるヒュプノスさんをどう話に絡めるかも議題に乗せたいところね)」 神々と人間の漫才と思惑が交錯しているところに、S・ヒュプノスと落書きせんべいを持ったT・双子神がやってきた。 その後ろでは落書きせんべい屋台の店主らしい男が何とも言えない顔で店の片づけを始めている。 T・タナトス 「タナトスもマニゴルド達も何を騒いでいるのだ。せっかくの楽しい祭りなのに」 T・ヒュプノス 「………(胡散臭い物を見る目)」 S・タナトス 「別に。塵芥共がいつものくだらん妄言を垂れ流していただけだ(仏頂面)」 ヘカーテ 「そのくだらん妄言にタナトスがいつもの突っ込みを入れていただけだ(楽しげ)」 S・ヒュプノス 「一体どんな妄言を垂れ流していたのですか?(しれっ)」 T・マニゴルド 「あ、タナトス様!あっちでゴレンジャーのお面が売ってますよ、買いに行きませんか?」 T・タナトス 「え、ゴレンジャー?」 さりげなくT・マニゴルドがT・タナトスの手を引いて物騒な話題を逸らそうとした途端。 スパーン!! 清々しいほど気持ちのいい音がして、ハリセンを握り締めたT・ヒュプノスが叫んだ。 T・ヒュプノス 「どさくさに紛れて何をしているのだこの塵芥!私のタナトスからさっさと手を離せ!(マジギレ)」 T・マニゴルド 「分かりました、離しますよ…(ガッカリ)いつも思うのですがヒュプノス様、そんなちっこい袋から何でそんなでかいハリセンが出てくるんすか」 T・タナトス 「星華姉ちゃん特製の折り畳み式ハリセンだからだ!(得意気)」 S・タナトス 「折り畳んで入るとかそういうレベルではないような気がするが…」 秋乃 「ところで、納得のいく似顔絵は描けたんですか?」 T・タナトス 「それがな、納得のいく絵が描ける前に店のせんべいが無くなってしまって。仕方なくここで妥協したのだ!」 そう言ってT・タナトスは皆の似顔絵を描いた落書きせんべいを配り始めた。 店のせんべいが無くなるまで頑張ったためか、S・双子神とヘカーテ、秋乃に配ったせんべいの絵は辛うじて『性別が判別できる人型の絵』になっていた。 お前達にも、と差し出されたせんべいを受け取ったマニゴルド達はせんべいに描かれた絵(記号?)に怪訝そうな顔になった。 S・マニゴルド 「これは何が描かれてるんだ?似顔絵じゃねーようだけど…ギリシア文字のΛか?」 T・マニゴルド 「いや、アルファベットのVじゃねーの?」 T・ヒュプノス 「それは蟹のハサミだ」 T・タナトス 「お前達だけせんべい無しでは不公平だからな」 S・マニゴルド 「…ありがとうございます(ちょっと感心)」 T・マニゴルド 「ありがとうございますぅぅぅ(感涙)」 S・タナトス 「さて、そろそろ花火が始まるな。会場に移動するか」 S・ヒュプノス 「そうだな」 皆が花火会場に移動しようとした時、T・ヒュプノスがS・ヒュプノスの浴衣の袂を引っ張った。 S・ヒュプノス 「どうした?」 T・ヒュプノス 「お腹がいっぱいで動けなくなってしまった。おぶってくれないか」 S・ヒュプノス 「…そうか、動けないのでは仕方がないな」 T・ヒュプノスの『動けない』発言は嘘だと分かっていたが、S・ヒュプノスはにこりと笑って腰を落とした。 S・ヒュプノスにおんぶされた弟を見て、T・タナトスがS・タナトスを見上げた。 T・タナトス 「タナトス、俺もお腹が膨れて動けない!おぶってくれ!」 S・タナトス 「あのなチビ助。それがモノを頼む態度か?やり直しだ、やり直し!」 T・タナトス 「え?ええと…(思案顔)あ!お腹が膨れて動けないからおぶって!お兄ちゃん!」 S・タナトス 「ふむ、それなら仕方がないな(ニヤリ)」 S・マニゴルド 「結構アンタも単純だよな…(せんべいバリバリ)」 T・マニゴルド 「………(T・タナトスをおんぶするS・タナトスを羨ましそうに見つつせんべいバリバリ)」 秋乃+ヘカーテ 「………(一連の流れをどう藤吉会に提供するか考えつつせんべいバリバリ)」 …花火大会を満喫した一行は、予定通りパライストラ学園に『侵入』した。 最初にふたりのマニゴルドが校門の柵を乗り越え、次にS・双子神に肩車されたT・双子神が柵の上から飛び降りてマニゴルド達に受け止めてもらい、最後に秋乃とヘカーテをS・双子神が抱き上げて入りこんだ。 ヘカーテを降ろしたS・タナトスは、校庭の一角に飾られた竹…笹の葉には無数の短冊がぶら下がっている…を指差した。 S・タナトス 「まずは笹の葉に願いを書いた短冊を吊るそう。校庭にメッセージを描くのはその後だ(楽しげな笑み)」 S・マニゴルド 「願いを書くのは良いけどよ、筆記用具と短冊はどこだ?まさかそれも学校からパクってくるのか?」 S・ヒュプノス 「………(無言で浴衣の袖から色紙とペンと糊を取り出す)」 T・マニゴルド 「マジモンの神様がここにいるのに神様に願掛けってーのも妙なもんだな」 ヘカーテ 「願う相手は大和の神…いや、大陸の神か?まぁどちらでもいい、私達とは違う神だからな。私達では叶えられぬ願いも聞き届けてくれるかもしれぬぞ」 秋乃 「さ、願い事はこの白い紙に書いて、好きな色の色紙に貼ってから吊るして下さいね(皆に白い紙を配る)」 ペンと白い紙を受け取った皆はそれぞれに短冊に願い事を書き始めた。 T・双子神はふたりで一枚の短冊に願い事を書いていたが、書き損じたらしくもう一枚紙を貰って願いを書き直し、最後に笹に短冊を吊るした。 夏の爽やかな風が神々と人間の願いを書いた短冊を揺らして吹きぬけた。 『信仰よ集まれ! タナトス』 『タナトスがもう少し精神的に成長する事を願う ヒュプノス』 『今世紀中にタナトスと結婚! ヘカーテ』 『人並みの女運をくれ! マニゴルド』 『平穏な日々が続きますように 秋乃』 『新作ドーナツが増えますように タナトス ヒュプノス』 『このまま和平が末永く続きますように マニゴルド』 短冊を眺めていた皆が、T・マニゴルドの願いを見て意外そうな顔になった。 S・タナトス 「お前の願いは和平なのか?てっきりこのチビと仲良くなりたいとか、そういうものかと思ったが」 一同 「(うんうん)」 T・マニゴルド 「男たるもの、恋した相手は自力ゲットが基本だろっ!願い事とか見返りで手に入れるもんじゃねーよ!」 ヘカーテ 「言いたい事は分かるが、同時に凄まじく突っ込みたい衝動にかられる発言だな…」 一同 「(うんうん)」 S・ヒュプノス 「…で、和平が続く事は他力本願か?」 T・マニゴルド 「何気にきついなアンタ…。ん、まぁ、和平は俺一人が頑張ってどうにかできるもんじゃねーし。もしも聖戦がまた始まる、なんて事になったら、俺はタナトス様と戦わなくちゃいけないし…」 S・タナトス 「ほう…貴様、『自分は惚れた相手と戦う』と言うのか」 S・タナトスが目を細めて面白そうに言うと、T・マニゴルドは至って真顔で彼を見返した。 T・マニゴルド 「ったりめーだろ。腐っても俺はアテナの聖闘士だぜ。愛と戦いは別モノ、それはそれ、これはこれ!(T・タナトスを見て)…ですよね、タナトス様?」 T・タナトス 「(一瞬キョトンとした後ニヤリと笑って)当たり前だ!『タナトス様相手じゃ戦えません』などと生ぬるい事を言ったら真っ先に世界からも俺の記憶からも消し去ってやる!全力で俺に挑むなら名前くらいは覚えておいてやるがな!」 T・マニゴルド 「せめて顔くらいは覚えといてくれませんかね!」 ヘカーテ 「微妙にピントのずれた突っ込みだな(ぽそ)」 一同 「(うんうん)」 T・タナトス 「わざわざ頼まれずとも、お前が俺の記憶に残るようなインパクトを残せば嫌でも顔を覚えているわ!(真顔)」 T・マニゴルド 「あ、そっか…。じゃ、嫌でも覚えてもらえるように頑張りますかね!(爽やか笑顔)」 S・タナトス 「実に感心な心掛けだ。では早速、チビの記憶に残るため働いて貰おうか塵芥共(にっこり)」 S・T・マニゴルド 「へ?」 S・タナトスは満面の笑みを浮かべて、校庭に建っている体育用具入れらしい倉庫を指差した。 S・タナトス 「あの中に白線引きと石灰が入っている故、白線引きに石灰を入れて文字をかけ。ああ心配はいらぬ、設計図は用意してあるからな!(浴衣の袂から紙を取り出す)」 T・マニゴルド 「え、ちょい待ち。メッセージを書くのって俺らの仕事?」 S・マニゴルド 「アンタは手伝わねー気か?言い出しっぺの癖に??」 S・タナトス 「俺が言いだしたことゆえ、こうして設計図まで書いて手伝っているではないか(真顔)」 S・ヒュプノス 「まさかお前達、神に働かせて自分達は休んでいる気だったのか?」 T・マニゴルド 「いやいや、言い出しっぺのアンタらがメインで、俺らはサポートじゃねーの?」 T・ヒュプノス 「メインが企画立案し、サポートが雑用をする。何もおかしくないと思うが?(しれっ)」 S・T・マニゴルド 「……………(絶句)」 秋乃 「じゃあ私とヘカーテさんはコンビニに行って冷たい物でも買ってきますね」 ヘカーテ 「私達が戻るまでには終わらせておけよ!」 S・T・マニゴルド 「……………(絶句)」 魅力的な笑顔で手を振って学園を出て行く女性ふたりと、笑顔で手を振り返す双子神達を交互に見て、二人のマニゴルドは顔を見合わせ深々と溜息をつき、不満タラタラの顔で体育用具入れ倉庫に向かった。 …やれ線が曲がっている、やれ文字のバランスが、やれ隙間の間隔が…と注文ばかりつけるタナトスに『うっせー黙れ文句があるなら自分でやれ』とマニゴルド達が噛みつきながら白線引きと格闘すること三十分ほど。 漸く神々が納得する形でメッセージを書き終え、せっかくだから屋上から出来栄えを確認するかと野郎どもが屋上で涼んでいるところにヘカーテと秋乃がコンビニの袋を提げて戻ってきた。 秋乃 「お待たせしました、お疲れ様」 ヘカーテ 「今日はカルピスの日らしくてな、せっかくだから色々買って来たぞ!…と、その前に溶けやすい物からだ!」 S・マニゴルド 「お!ソフトクリームとハロハロじゃねーか!」 T・タナトス 「ハロハロ?」 秋乃 「この辺のコンビニで出してるデザートです。かき氷の上にソフトクリームが乗ってるんですよ」 ヘカーテ 「とりあえずハロハロもソフトクリームも全種類買って来たから、好きなのを選べ!」 …皆がそれぞれ好きなソフトクリームとハロハロを取ると、秋乃とヘカーテはカルピスやカルピスソーダ、カルピスサワー、更にカルピス蒸しパン、カルピスもちまで袋から出して並べ始めた。 T・タナトス 「俺は苺味カルピスが良い!」 S・マニゴルド 「俺はサワー貰うわ。マジで一杯やりたい気分だからな」 T・ヒュプノス 「カルピスもち…不思議な味だな」 S・ヒュプノス 「私はソーダを頂きます」 S・タナトス 「カルピス蒸しパン…こっちはブドウ味?」 ヘカーテ 「蒸しパンも開けるぞ」 T・マニゴルド 「お?色モノかと思ったら結構ウマいな!」 秋乃 「去年はカルピス食パンとかカルピスロールもあったんですけど今年はやらないのかしら」 S・マニゴルド 「そーいやさ、今更な事お伺いしますけどね神様方」 神々 「?」 マニゴルドは、訳も分からずS・タナトスに顎で使われ校庭に描かされたメッセージを顎でしゃくった。 S・マニゴルド 「あのメッセージの贈り先っつーの?アレが『ちょう』って奴に宛てたものだっつーのは分かるんだけど、それって誰なんだ?虫のチョウチョじゃねーんだろうなって事は分かるんだけどよ」 S・タナトス 「あの『蝶』という字は『ちょう』ではなく『てふ』と読むのだ。…『蝶』とは、このチビのいる世界に暮らす日本人だ」 S・マニゴルド 「あっちの世界の日本人?っつーことはお前の知り合いか?」 T・マニゴルド 「いや、俺も初めて聞く名前だぜ。マジで誰だそれ?」 T・ヒュプノス 「私やタナトスを敬愛し、現存する書物に記載されていない我々に関する出来事を読み物や絵で公開している人間だ。お前達でも理解しやすいように言うなら『冥界の神々に萌えている腐女子』という奴だな」 S・T・マニゴルド 「…あー…(物凄く納得した複雑な顔)」 T・タナトス 「動機はどうあれ、俺達の魅力を広く知らしめようとしている事は褒めてやろうと思っているぞ!」 複雑極まりない二人のマニゴルドを面白そうに眺めつつ、S・タナトスは話を続けた。 S・タナトス 「そして、この世界にも我々に関する事件や出来事を読み物にして発表している『ソラ』という腐った日本人がいるのだが…一体何をどうやった のかは分からぬが、その蝶とソラが協力して、チビ共がこの世界に誘拐されて来た出来事を挿絵つきの読み物にして公開しているのだ」 S・T・マニゴルド 「へぇ…」 S・ヒュプノス 「この子達が誘拐されて来たのはこちら側の世界故、そちら側の世界にいる蝶はソラが書いた文章や説明を元に状況を推測して絵を描くしかな いのだが、あの拙い文章や稚拙な説明から良くここまでと感心するほど的確に絵を描いていてな。我々から褒美のひとつも取らそうではないかと言う事になった のだ」 S・タナトス 「聞けばその蝶の誕生日は7月7日の七夕だと言う。ならば褒美を取らすならこの日しかあるまい?」 秋乃 「子供のタナトスさんやヒュプノスさんも一緒に皆で相談した結果、ご褒美は物ではなくて遊び心のあるメッセージの方が面白いんじゃないかって結論になって」 ヘカーテ 「これだけ派手にやれば、ソラも我々の意図を察して何らかの形で蝶に伝えると思ってな」 S・T・マニゴルド 「なるほどな。そーゆー事ならこき使われた甲斐もあったってもんだぜ」 S・タナトス 「ならば七夕作戦成功を祝して乾杯でもするか!」 一同 「異議なーし!」 S・タナトス 「では…こほん。七夕作戦成功と蝶の誕生日を祝って…乾杯!」 一同 「蝶、誕生日おめでとう!かんぱーい!!」 神々と人間はペットボトルや缶に入ったカルピスで乾杯した。 …月明かりが照らし出す校庭にはこんなメッセージが書かれていた。 『Happy Birthday & Thank you 蝶!』 …明けて翌日7月8日、私立パライストラ学園。 日曜日なので授業は休みなのだが、学校は全寮制で生徒の大半は学校の敷地内で暮らしているため、皆の話題は7月7日の夜に描かれたらしい校庭のメッセージでもちきりだった。 パライストラ学園の新入生光牙は、『天気もいいし今日は校庭でランチにしましょう』と言いだしたユナの後ろを歩きながら傍らの蒼摩と龍峰に話しかけた。 光牙 「それにしても何だったのかな、あの校庭のメッセージ」 蒼摩 「生徒の誰かの悪戯じゃね?七夕だったしさ」 龍峰 「織姫か彦星への願い事が描いてあったのならそう思うんだけど…」 ユナ 「メッセージも不思議だけど、先生の対応も変よね。激先生がいたから聞いてみたんだけど、『アレは神々の悪戯だから気にするな』って笑って言われちゃったわ」 光牙 「神々の悪戯?何だそれ??」 蒼摩 「神って…アテナの事か?」 龍峰 「『神々』って複数形だからね…父さんから聞いた話の受け売りだけど、聖域と和解した冥界の神々は悪戯が好きだとか…。でも、まさかね」 そんな話をしながら一行はぞろぞろと校庭に出て、開いたベンチを探した。 丁度タイミング良く短冊を吊るした竹の下にあるベンチが空いたので、皆は有難くそのベンチに腰を降ろしてランチを広げた。 心地よく吹き抜ける風が笹の葉と短冊を揺らした時、一枚の短冊が風にあおられてふわりと宙を舞った。 ユナは食べかけのランチボックスをベンチに置き、風の小宇宙を操って飛ばされたかけた短冊をキャッチした。 蒼摩 「ナ〜イスキャッチ!」 光牙 「やるな、ユナ」 ユナ 「誰かの願いがこもった短冊だもの、飛ばされちゃったらガッカリでしょ?(ちょっと得意気)」 龍峰 「今度は飛ばないようにしっかり吊るさないとね」 ユナ 「ええ、そうね。…あら?」 短冊を吊るし直そうとしたユナは、願い事を書いた紙が台紙から剥がれかけていることに気付き、何気なく短冊に目を落として怪訝そうな顔になった。 ユナの反応に三人も彼女の手元を覗きこんだ。 光牙 「ちゃんと糊づけしなかったんだな。糊を塗り直した方が良いかも」 蒼摩 「なになに、『新作ドーナツが増えますように』?…ぷっ、可愛い願い事だな」 龍峰 「…タナトスとヒュプノスって名前が書いてある…」 光牙 「タナトスとヒュプノス?何か聞き覚えのある名前だな」 ユナ 「冥王ハーデスの側近の双子神の名前でしょ!ついこの間授業でやったばかりなのにもう忘れたの?光牙ってバカなの?」 光牙 「なっ…お、覚えてるさそのくらい!(汗)けど、その双子神様がこんな願い事するとは思えないし、同じ名前の別人がいたかなーと思ってさ!」 蒼摩 「光牙の言い訳は苦しいけど、確かに冥王側近の神様が書いた願い事とは思えないよな。どう見てもこれ、子供の字だし」 龍峰 「…………(この間星矢さんに会った時、『パラレルワールドから子供の双子神様が来たことがあってさ。あ、嘘だと思ってるだろ?じゃあ学園が夏休みになったら本物に会わせてやるよ!』って言ってたっけ…あの時は冗談だと思ってたけど…)」 ユナ 「…ねぇ、この短冊、二枚重ねになってて『新作ドーナツが増えますように』の願い事の下に別の願い事が書かれてるんだけど…二枚重ねのまま吊るした方が良い?それとも短冊の裏表に一枚ずつ貼った方が良いかしら?」 光牙+蒼摩+龍峰 「え?二枚重ね?」 ユナの言葉に皆が二枚重ねになった短冊を覗きこんだ。 表に貼られていた『新作ドーナツが増えますように』の願い事の下にはこう書かれていた。 『皆とずっと仲良く一緒にいられますように。 タナトス ヒュプノス』 |
| 星矢部屋 | 総合目次 | SS・2012時代 | SS・神話時代 | SS・蟹座達 |
| 相変わらずマニさん達と当サイトタナトスの漫才は楽しいです。漫才ネタは蝶様に頂きました。ありがとうございます!当サイトヒュプが空気になりそうだっ
たので、『関わりたくないから傍観者に徹する』という立ち位置になってもらいました。なんだかんだで藤吉会のネタには使われそうですが(笑)。蝶様マニさ
んが言っている同人誌のネタは蝶様とツイッターでお話ししてる時に出て来たものです。コラボが完結したらこれもネタ系番外編で描きたいと思っています。 そして『蝶様ヒュプの鞄(巾着)の中には折り畳み式ハリセンが入っている』ネタもコラボSSを描いている時に伺っていて、どこかで使いたい使いたいと思 いつつ出せずにいてこちらで初披露となりました。本当は、蝶様ヒュプは護身の為に金属バッド(!)を入れたかったらしいのですが、星華さんに止められてハ リセンとなったそうです。 花火の鑑賞はもう少し何か書こうかなと思ったのですが、取りとめも際限もなくなりそうだったので潔くカットしました。当サイトタナトスにヘカーテが絡ん だりとか、当サイトマニさんがそれに対して『俺は女運ゼロで今日もデートを切り上げたのにアンタはよ…」と文句を言って、タナトスがマニさんへのあてつけ にわざとヘカーテといちゃつき始めて当サイトヒュプの機嫌が一気に斜めになるとか、秋乃が蝶様双子神だけを連れて『一時避難』をするとか…色々妄想だけは したのですがうまくまとまらなかったので。 短冊に書く願い事は、蝶様双子神と蝶様マニさんは蝶様に教えて頂きました。当サイトキャラの願い事は、マニさんはすんなり決まったのですが他のメンバー はかなり悩みました。特に秋乃。彼女らしい願い事は他にもあったのですが、星矢SSだけをお読みの方があまりにも「??」となることを書いてもなぁ…と 思って無難な願い事に。 蝶様マニさんと蝶様タナ様の会話は蝶様からアイデアを頂きました。 そして7月7日はカルピスの日だそうで。根拠もソースも怪しげですが面白そうなのでネタにしました。カルピスもちは未体験ですが、カルピス蒸しパンは結 構おいしかったです。『ハロハロ』とは、ミニストップと言うコンビニのデザートです。ソフトクリームもですがハロハロも美味いんだ。 そして冒頭で言っていた『身内ネタ』は蝶様への誕生日おめでとう&いつもありがとうメッセージです。7月7日が蝶様の誕生日ということで、ならば普段の お礼としてSSを差し上げよう!とこっそりと企画していました。当初はマニさん達の登場予定はなく、話の最初で双子神達がミスドでお茶をしながら『蝶と言 う人間の誕生日を祝おう』と相談する予定でした。でも蝶様双子神にゲスト参加してもらうなら蝶様のチェックを受けたい、チェックを受けるならお祝いメッ セージの件はサプライズにして取っておきたい…と思いましてネタバレは最後に持ってきました。 Ωネタ+Ωキャラは、最初は『学校の庭に書かれたメッセージを見つける』という役どころで出すつもりでした。が、マニさん登場とか路線変更があって、 『神々とマニさんが学校の屋上でカルピス宴会をしながら校庭のメッセージを見降ろす』エピで終わらせる予定になり、Ωのキャラ登場は没にするつもりでし た。それが、笹の葉に吊るす短冊にどんな願い事を書くか蝶様に伺ったところ、『願い事が二枚重ねになっている』という素敵なアイデアを頂いた事で一周回っ てΩキャラの登場となりました。 …と言う訳で蝶様、おめでとうございます&ありがとうございます(=^^=) |