| 道なき道を歩きながら刹那は空を見上げた。 どこまでも青く真夏の太陽は燦然と輝いているが、空気は冷たく澄み渡っていた。 …ここは日本のとある山の中、影高野の本部がある場所だ。 影高野。 2年前、サイキッカーを『危険な存在』と目して秘密裏に暗躍していた僧兵の集団だ。サイキッカーではないが、法力だか呪術だかの力はサイキッカーに匹敵する力があり、当時のノアのサイキッカーが犠牲になった数も少なくない。 そして今もまた、サイキッカーを抹殺すべく動き出しているらしい。色々と計画を立てて動いている軍にとって影高野は計画を狂わせる異分子なのだ。 無論、軍もいきなり影高野壊滅という荒っぽい手段に出た訳ではない。日本政府を通じてあの手この手で圧力をかけて説得しようとしたが話し合いは決裂し、やむを得ず最終手段に出ることになった…とウォンは説明した。 そして刺客として差し向けられた刹那の任務は至ってシンプルだ。 皆殺し。 非常に分かりやすいし、話し合っても無駄だったのなら殺すことに後ろめたさはない。 彼らに勘付かれるのを避けるため、刹那は徒歩で山を登って行った。 急に視界が開けた。 頂上に程近い場所に巨大な寺が建っている。敷地は高い塀で囲まれて屋根しか見えないが、それなりの規模だと言うことは見て取れた。 そして、門扉は…開いていた。 不用心に開け放たれた扉の前で、黒髪の少女が箒で掃除をしていた。 「……………」 予想外の光景に、刹那は自分の現在位置を確認した。 送られて来たデータではここが影高野の総本山で間違いないらしいのだが、こんな小さな少女がいるとは聞いていなかった。 とにかく確かめなければ。 ざくざくと土を踏んで門扉に近付くと、掃除をしていた少女が顔を上げてにっこり笑った。 「こんにちわ、いいお天気ですね」 「…………」 返答に困った。 こんな山奥に軍服を着た見慣れない男がいるのに何も訝しむ様子はない。それとも全て見抜かれているのだろうか。そもそもこの小娘は何だ。 何と言うべきか迷っていると、少女は首を傾げた。 「外国の方ですね。道に迷われましたか?」 「………。ここに、影高野の総本山があると聞いてきたのだが…」 「ええ、ここです」 あっさりと言われて刹那は絶句した。 いや、彼が影高野を滅ぼす任を受けて来たことをこの小娘が知るはずがないのだが、秘密結社的な組織のはずなのに見ず知らずの人間にそんなに簡単に教えていいのか。 少女は箒を門にたてかけて笑顔を見せた。 「どのような御用件でいらしたのですか?」 「用件?」 「私で良ければお伺いしますが」 「それは……、仕事。…そう、仕事、だ」 「お仕事で。それはそれは、お出迎えにも行かず、こんな山奥までご足労頂いて大変失礼しました」 深々と頭を下げて謝罪され、刹那は完全にペースを乱されていた。 「いや…別に……」 「誰にご用事でしょう?」 「誰にと言われても……」 「あ、いけない。私ったら、こんな真夏の炎天下にお客様を中にもいれずに立ち話なんて。どうぞお入り下さい、お茶の御用意を致します」 「………」 「どうぞ、こちらへ」 ここが影高野だと聞いた時点で、この小娘の息の根をさっさと止めて任務を開始すれば良かったと思ったが、何となくタイミングを逃してしまった。 どちらにしても皆殺しにするのだから誘いに乗るのも悪くはないかと考え直して刹那は寺の敷地内に足を踏み入れた。 敷地内には僧兵達の姿があった。 庭木の手入れをする者、鍛練する者、術具らしき物の手入れをする者。いずれもそれなりの修行をして来たことが見て取れる。 見える範囲に女子供の姿は無い。すれ違う僧は皆、この場に似つかわしくない金髪碧眼の刹那にあまり好意的とは言えない視線を投げて来た。 少女はひときわ大きな寺の本堂に刹那を案内した。 手近にいた僧の一人に茶の用意を命じて、少女は刹那に座布団を勧めた。その正面にきちんと正座して彼女は頭を下げた。 「改めて、お客様への御無礼をお詫び致します」 「いや、突然押し掛けたのはこっちだ。気にしていない」 「それならよろしいのですが。申し遅れました、私、栞と申します。あなたは?」 「…刹那」 名前くらいなら名乗ってもいいだろうと正直に答えると、栞と名乗った少女は驚いたようにまじまじと刹那を見た。 「欧米のお方とお見受けしましたが、漢字圏の、しかも因果なお名前をお持ちなのですね」 「……?『セツナ』という言葉に意味があるのか?」 「ええ。『刹那』は数の単位。一般には非常に短い時の一瞬を指す言葉です」 栞の言葉に蘇った記憶があった。 この名前を拝命した直後にブラドに意味を尋ねたが、『言葉の響きが好きだから』と曖昧にはぐらかされたのだ。 長生きは出来ないと思えと言うことか。 刹那は薄く笑った。 そんなこと、最初からわかっていたことだ。人間を改造して、本来持ち得ない強大な力を使うのだ。体に負担がかかって当たり前だ。 ならばこの、今の刹那を貪るのみ。 …冷えた緑茶と茶菓子を届けにきた僧が訝しげな眼を刹那に向け、一礼して下がった。 「刹那様はお仕事で影高野にいらっしゃったそうですが、山の誰にご用でしょうか。生憎と今は修行の旅に出ている者もおりますが…」 「そうだな…」 思案した。 影高野を壊滅させたと言うためには、一番偉い奴の首を取らねばなるまい。脚を奪っても頭が残っていては意味がない。 「代表者に会いたいのだが」 「それなら、私です」 「は?」 我が耳を疑った。 この小娘が代表者だと? 今度は刹那が少女をまじまじと見る番だった。 「父親が、とか祖父が、ではなく?」 「はい。私が影高野の最高指導者である神妃、栞です」 言われて初めて神経を研ぎすましてみれば、目の前の小さな少女からは確かに強い力を感じる。 それはつまり、刹那が最初に抹殺すべきはこの小娘だということだ。 また子供を殺すのか。 躊躇いが胸をよぎったその時、足音を響かせて数人の僧が本堂に入り込んで来た。 「栞様!」 「何ですか。お客様がいらしているのに失礼ではないですか」 「その者は客人などではありませぬ。某国軍の開発した人工サイキッカー刹那…我らの憎むべき敵、『鬼』でございます!」 「早くその男から離れてくだされ!」 「人工…サイキッカー?」 「フ…流石は国軍に脅威と思わせるだけの組織ということか。秘密兵器である俺の顔を知っているとはな」 刹那は座ったまま薄く笑った。 手の届くところに栞がいるからだろう、僧兵達は武器らしき物を構えたまま一定距離から近付こうとはしない。 そしていくら幼くても最高指導者ということか、栞は怯えた様子もなく刹那と対峙していた。 「そなたは、軍の方なのですか」 「軍サイキッカー部隊中尉、刹那だ」 「中尉殿は先ほど、影高野にはお仕事でいらしたと言っておられましたね。まずはお話を伺いましょう」 「何を馬鹿なことを。話し合いは既に終わっているだろうが」 「え…?」 栞は心底不思議そうに驚き、その反応に刹那も疑問を感じた。 「何度も話し合いを重ねたが決裂したと聞いたが?」 「申し訳ありません、私はそなたの国の軍とお話をしたことは一度もありません。どのようなお話だったのでしょうか」 「…………」 刹那は駆け付けた僧兵達を睨んだ。 まさかこいつら、最高指導者に話を通していなかったのか? その反応に栞もはっとして彼らを見た。 「皆、国軍より話があったことは知っているのですか」 「栞様のお耳に入れる価値もない話」 「サイキッカーの問題は軍が片付けるから大人しく引っ込んでいろと傲慢にも我々に命令を」 「軍に所属し人類のために戦っているなど綺麗事。サイキッカーは悪しき存在、容認などする訳にはいきませぬ!」 さも当然だと言う顔で声高に叫ぶ僧兵達の姿に不快感が増大して行く。 なるほど、こんな連中なら抹殺せねばなるまい。 刹那は低く嘲笑した。 「頭の固さでは新生ノアといい勝負だ。…いや、トップへの報告はしているだけあっちがまだマシか」 「刹那殿。この度の御無礼、お詫びのしようもございません。皆には私からよく言っておきますので、どうか今一度、対話の機会を」 「さっき言ったことを忘れたのか?話し合いは終わっている」 「お願いです。どうか、上の方にお伝え下さい。影高野は無礼を詫び、改めて話し合いの場に出る意志があると」 床に手をつき、深々と頭を下げる栞の姿に刹那の心に迷いが生じた。 彼女は影高野の最高指導者だが、何も知らされていなかった。…石頭の僧兵どもはともかく彼女まで殺す必要はあるだろうか?皆殺しにしろという命令では あったが、栞が言うには現時点でここにいない者もいるらしい。どうせ取り零しが出るのなら、彼女は生かしておいた方が何かと都合がいいのではないか? 話し合いの結果、味方につけることができれば便利そうだし、人質に取って影高野の生き残りを利用してもいい。 新生ノアの総帥キースでさえ利用価値があると言って生かしてあるのなら、同じ理由で影高野のトップを生かしておいても問題は無いのではないか。 …つまりはまだあどけなさの残る少女を殺すことに少なからず抵抗があって、殺さなくていい理由が欲しかったのだが。 刹那は自分の中で理屈をつけるとゆっくりと立ち上がった。 僧兵達が身構える。 「神妃の耳に交渉決裂の話が入って無かったのは、俺は初めて聞いた。軍の上層部は知っているかもしれんが、そんなことはどうでもいい。俺は与えられた任務を遂行するのみ」 「任務…?」 「『僧兵を皆殺しにして影高野を壊滅させよ』」 「!!」 僧兵達が武器を構えて一歩進み出ると同時に、刹那は栞の襟を掴んで引き寄せた。 敵が動きを止める。 抱き寄せた腕の中で小さな体が震え、心臓が激しく動いているのが分かった。 刹那は栞の耳に唇を寄せて囁いた。 「俺は『僧兵を皆殺しにしろ』と命令されたが『神妃を殺せ』とは言われていない。だから、お前には選ばせてやる」 「え…選ぶ…?」 「ここで連中と一緒に死ぬか、それとも軍の上層部と話し合える可能性に賭けて俺と共に来るか」 「…………」 「今すぐ答えろ。生きたいか?死にたいか?」 「……生きたい、です」 栞は震える声で答えた。 今は子供を殺す気分ではなかったから、少女の答えに刹那は安堵した。 「いいだろう、叶えてやろう」 「本当、に?」 「俺は嘘は言わん。仕事が終わるまで門の外で待っていろ。いいな?」 「…はい」 「よし、いい子だ」 刹那は眼を細めて微笑んで、彼女の体を解放した。 栞は数歩後ずさり、刹那を見、僧兵達を見。 「さっさと行け!」 「栞様、安全なところにお逃げ下さい!この場は我々が!」 「…………」 栞は何か言いたげに僧兵達を見て、泣き出すのを必死に堪えているような顔で踵を返し、本堂を飛び出した。 足音が遠ざかり本堂に静寂が落ちた。 刹那も敵も、栞が離れるのを待っていた。 「人質を離すとは、大した自信よの」 「生憎と俺は、子供をいたぶる趣味はないのでな」 「は!鬼が言いおるわ」 僧兵達が霊力を解放した。呪言らしき文字が書かれた札が炎を宿してひとつ、ふたつと宙に浮いた。 金色の髪に青白い炎を映して、刹那はゆっくりと闇を解放した。 影高野の門の外まで息も付かずに走った栞は、背筋に寒いものを感じて振り返り、驚愕に眼を見開いた。 闇だ。 漆黒の闇が地面から無数の手を伸ばし、総本山を包み込んでいた。 「あ……」 膝ががくがく震え、腰が砕け、地面に両手を付いてへたりこんだ。 影高野が。 世界最高峰の退魔師の総本山が、長い歴史が、あっけなく闇に呑まれるのが見えた。 …大した時間もかからずに総本山を呑み込んだ闇は地面に吸い込まれるように消えて行った。 勝利したのはどちらか。 敵はひとり、こちらは手練の僧兵が数十名。普通に考えれば結果は明らかだ。普通に考えれば…。 (よし、いい子だ) 刹那と名乗った男の声が耳に残っている。 甘い吐息のように囁かれた言葉。 激しい動悸はまだおさまらない。 草を踏む足音が聞こえた。 足音は、ひとつ。 顔を上げた。 吹き抜けた風に軍服の裾がはためいた。 「待たせたな」 髪にも、顔にも、手にも、純白の軍服にも、赤黒い液体が飛び散っていた。 刹那は手が届くか届かないかの位置に片膝を付いて栞を見つめた。 「俺が恐いか?」 「…いいえ」 栞は首を振った。 不思議と恐怖は感じなかった。余りの出来事に心が麻痺しているのかも知れないと思った。 ならいい、と刹那は優しく…そう、優しいと思える顔で、微笑んだ。 「山の麓に車を待たせているが、そこまで歩けるか?」 「無理かも…知れません」 「腰が抜けたか」 刹那は栞を抱き上げた。 戸惑う彼女にクスリと笑って。 「お前はお姫様なんだろう?」 刹那に抱きかかえられた栞は、影高野を滅ぼした『鬼』を見上げた。 太陽光に眩しく輝く濃い蜂蜜色の髪、濃紺の瞳、通った鼻筋、形のいい唇、彼女を抱えたしなやかな腕。 肌に飛んだ血の跡さえ美しい。 栞の小さな胸は、恐怖とは違う感情に満たされて高鳴っていた。 刹那は軍によって用意されていたホテルの部屋に栞を連れて戻って来た。 所在なげにしている彼女をソファに座らせ、ルームサービスのメニューを渡した。 「俺は上への報告を済ませて来るから、欲しいものがあったら適当に頼め」 「あ…ありがとうございます」 両手でメニューを押し頂いて、真剣な表情でメニューを見つめる栞の姿に思わず笑みが漏れた。 神妃とか言っても所詮は子供、かわいいもんだ。 血糊の感触がそろそろ気持ち悪くなっていたのでまずはシャワーを浴びて、さっぱりしてから刹那は電話を取った。 『もしもし』 「刹那だ」 『お疲れ様。…で、あってるかな?』 「ああ、簡単な仕事だったな」 『それは良かった。スケジュールにはまだ余裕があるし、ついでに日本観光でもして来たら?』 「いいのか?データ採取とかあるだろうが」 『刹那って変なところで律儀だよね。少しくらい遊んできても誰も怒らないよ』 刹那は隣のリビングでまだメニューとにらめっこしている栞を見た。 在り来たりの観光スポットでなく、生粋の日本人お勧めの場所を見て回るのも悪くはないか。そんな気になった。 「じゃあせっかくだから話のネタになりそうな場所に行ってみるとするか」 『秋葉原のメイド喫茶とか?』 「そこはネタ以外の何者でもないな…。ああそうだ、メイドじゃないがお姫様同伴で帰るから、適当なゲストルームでも用意しておいてくれ」 『お姫様って…刹那、日本にお嫁さん探しに行ったんだっけ?』 「ガデスみたいなお約束のボケをかますな!大体姫君はまだ子供だ!」 『なるほど、光源氏計画か…』 「じゃあそういう訳で、頼んだからな」 ブラドのボケが続いていることは分かったが、『光源氏』が何かわからないし突っ込むのも面倒で刹那はそれだけ言って電話を切った。 リビングルームに戻ると、栞はさっきと同じ姿勢で固まっていた。 「欲しいものがなかったか?」 「あの、刹那殿。つかぬ事をお伺いしますが」 栞は真剣な顔で『パスタ類』のメニューを指した。 「この『ペスカトーレ』とはどのような料理なのでしょうか」 「…シーフードのトマトスパゲティじゃないのか?」 「ではこの『カルボナーラ』は?」 「卵とベーコンの入ったクリームスパゲティだろう。そんなことも知らないのか?」 「スパゲティと言えば、ミートソースとナポリタンしか食べたことがありません」 「……………」 刹那でさえ『梅じゃこパスタ』を食べたことがあるこの時代に、ミートソースとナポリタンしか知らないとは。 多分、世間知らずなんだろうと思っていたが(でなければ、仲間を皆殺しにした初対面の男に付いて来るはずはないし)、これは正直想像以上だった。が、あまりにも度をこした世間知らず振りが逆に面白く感じられた。この分ではハンバーガーも知らないかもしれない。 更に、栞が刹那に向ける素直な尊敬の目は彼の機嫌を良い方に向けていた。 「ハンバーガーを食べたことはあるか?」 「ありません。どんなものか食べてみたいと思っているのですが、『あれは体に良くないものばかり入っているから召し上がってはなりませぬ』と言われて」 「…お前、よくそんな窮屈なところで我慢して暮らしていたな」 「私は神妃ですから」 「神妃がジャンクフード食っちゃいかんと誰が決めたんだ」 「影高野の掟です」 「……………」 大真面目にいわれて軽く目眩を感じた。 掟。 この21世紀にそんな言葉が通用する先進国があったとは。 栞は絶句している刹那をまじまじと見つめた。着替えてきた刹那はネックレス二つにチョーカー、両手にバングルと腕輪と指輪を2つ3つ填めていた。 「外国では、男の方もそのようにアクセサリーをお付けになるのですか」 「ん?まぁ、つける奴もいればつけない奴もいるな。仲間内でつけてるのは俺だけだし…。日本人でもつける奴はつけるだろう」 「…『男でアクセサリーなどつけるのはチャラチャラした軟弱者だ』と言われておりましたが、違うのですか」 「時代遅れも凄まじい偏見だな」 今度は頭痛がして来た。 ブラドと初めて会った時を思い出した。このまま真面目に話をしていたらこっちがおかしくなる。 刹那は即座に決心した。 「…よし。今からハンバーガー食べに行くぞ」 「え?でも、掟が」 「そんなもの知るか。黙ってれば分からん」 刹那は強引に栞の手を取ってホテルを出た。 長身金髪の刹那に巫女装束の栞という奇妙な組み合わせだったが、そこはさすが大都会、大して珍しくもないのだろう。注目を集めずにすむのは有り難かった。 …無事、マクドナルドに辿り着いてハンバーガーを前にした栞は感動で目を輝かせた。 「これが、その『ハンバーガー』なのですね!おいし〜〜い!こんな美味しいものが体に悪いなんて信じられません!!」 「いや悪いだろ…」 「こんな美味しいものを食べたのは生まれて初めてです。刹那殿、ありがとうございます!」 「影高野の神妃様がハンバーガーごときでそんなに喜ぶな。格が下がるぞ」 「だって美味しいんですもの」 嬉しそうにハンバーガーを頬張る栞の幸せそうな顔に刹那は思わず笑みを浮かべた。 そういえば…と昔を思う。 学生時代、友達の一人が小さな妹を連れて遊びに来たことがあって、『可愛い妹』が羨ましくてたまらないことがあった。 もしも自分に歳の離れた妹がいたらこんな感じだろうか。 …次はどこに連れて行ってやろうか。 コーラを飲みながら思いを巡らせるのはとても楽しかった。 |
| サイキ部屋 |
総合目次 |
| 案外早くここまで来れました!影高野壊滅+栞ちゃんとの運命の出合いの話です。10年前は、「籠に囚われた小鳥」の栞に刹那が同情して影高野から連れ出
す、みたいな話にしてたんですが、それは刹那のキャラじゃないだろうと。ついでにそんな理由で栞も刹那にくっついて行かないだろうと。 前々回のエピソードで「刹那が子供を殺す(子供が死ぬ)ことに抵抗が残っている」という理由で、彼が栞を連れ出す説明をしてみました。あと、栞の刹那へ の恋心も匂わす感じで。ストックホルム症候群と言えば簡単なんですが、あえてそうではなく、「この状況なら世間知らずの13歳の女の子がグラッと心が傾い ても仕方ないかな」感を出したかったのです。 あと…刹那が「いい子だ」と言った後、栞ちゃんのほっぺにちゅー、のシーンを入れようかどうしようか最後まで迷って削りました(笑)。 それと、『闇の手が地面から出て来る』部分は.hack//G.U.のAIDAのイメージです。 刹那と栞の下山後は何も話を挟まずに次に行っても良かったかなー思ったのですが、『日本で一緒に遊んだ時間がある』という印象を出すために入れました。その数日間でお互いに情がわいちゃったよ、って感じで。 |