双子神2012・ 融合
EPISODE 28


  タナトス(子)は真剣この上ない顔でドーナツをみつめ、ハニーディップに手を伸ばしかけて引っ込め、チョコリングを取ってトレイに乗せ、またハニーディッ プを見てウムムと唸った。ちなみにトレイの上には、新商品の生姜ドーナツ、チョコペンで絵が描けるドーナツ、スコーン、マッシュドポテトミートパイ、チョ コリングと合計5個のドーナツが乗っている。
 ハンズでの買い物と昼食を済ませて動物園を一周したタナトス達は、休憩を兼ねて動物園近くのミスドに来ていた。タナトス(子)は『ドーナツなら10個や 20個は朝飯前』と宣言したが、タナトス(大)は『だからと言って間食に10も20もドーナツを食べて良いことにはならぬ。5個にしておけ』と至極もっと もな言葉を返してきた。幸か不幸か今日は新作ドーナツの発売日で、見たこともない『未来のドーナツ』を前にして5個という制限は相当厳しく、定番商品も外 したくないタナトス(子)は食べたいものを絞り込めずに悩みに悩んでいたのだ。

「いつまで悩んでいるのだ。男だったらスパッと決めろ、スパッと!!気になる物があれば土産にするなり帰ってから食べるなりすればいいだろう?」

 いい加減待ちくたびれたタナトス(大)がゲンナリした顔で急かすと、銀色の男の子は後ろ髪を束で引かれるような顔でハニーディップに伸ばしかけた手を引っ込めた。

「…これにする」
「ようやく決まったか」

 トレイを渡されたタナトス(大)は、自分用にハニーディップをひとつ取ってレジに向かった。
 ちょうど客足が途絶えたタイミングだったようで、手持無沙汰風にしていた店員が笑顔でレジにやってきた。

「ありがとうございます。こちらでお召し上がりですか?」
「はい!」
「ご一緒にお飲み物も如何ですか?」
「俺はアメリカンコーヒーで。…お前は?また苺ミルクか?」
「ええと…あ!この、ストロベリーチョコファジシェイクが良い!」
「アメリカンコーヒーおひとつ、ストロベリーチョコファジシェイクおひとつ。お会計は…」

 …注文した商品を受け取って席につくと、タナトス(大)はハニーディップを半分にちぎって半分をタナトス(子)に差し出した。
 
「何だ?」
「俺はお前ほど大食いではないからな、半分で十分だ」
「わぁい!」

 たちまちぱぁっと顔を輝かせてドーナツを頬張る姿にタナトス(大)が目を細めると、彼はにっこり笑って言った。

「ありがとう、お兄ちゃん!」
「!…………」

 タナトス(大)は目を丸くして、少し頬を染めて目を逸らしてボソッと言った。

「…『お兄ちゃん』と言って俺の機嫌を取れば、ドーナツを追加できるとでも思っているのか」
「実は思ってるぞ、お兄ちゃん!」
「……………」

 タナトス(大)が複雑な顔でコーヒーを啜っている間に、タナトス(子)はパイとドーナツをぱくぱくと平らげ、お絵描きが出来るドーナツにチョコペンでお 絵描きを始めた。幼い顔に真剣な色を浮かべて絵を描くと、彼は満足そうにひとつ息を吐いてお絵描き完了ドーナツをタナトス(大)に差し出した。

「タナトス、絵が描けたからこれはお前にやるぞ!」
「…何だ、これは?クシャミを我慢しているひょっとこか?」
「失礼な。これはタナトス…あ、いや、お兄ちゃんの似顔絵だ!」
「……………。あ…ありがとな。で、これは俺が食べていいのか?」
「勿論だ!」
「ならば食べる前に記念撮影しておくか」

 パシャリ。
 タナトス(大)は携帯カメラでドーナツを撮影して、『ミスドなう。絵が描けるドーナツに、連れが俺の似顔絵を描いてくれた。ちなみに俺はコメントのしよ うがない』と写真を添付してツイッターで呟いた。『チビと一緒にミスドで茶をしている。詳しくはツイッターを見ろ』とヒュプノスにメールを送っておいた。
 似顔絵付きドーナツをタナトス(大)が有難く口に入れる姿を見て満足そうにシェイクを飲んでいたタナトス(子)がふとドーナツの棚に目をやると、店員が丁度ポン・デ・リングを補充していた。

「ポン・デ・リング出来たてで〜す。如何ですかー?」
「!!」
「……………」

 たちまちそわそわと落ち着かなくなったタナトス(子)を見て、タナトス(大)は微かに溜息をついてコーヒーを飲み干すとカップを差し出した。空のカップを受け取って怪訝そうな顔をする彼に、ミスドのポイントカードと500円玉を渡した。

「何だ?」
「コーヒーのお代わりを貰ってきてくれ。それからお前のドーナツを俺が貰ってしまったからな、追加で買っていいぞ」
「分かった!ありがとう、お兄ちゃん!!」

 タナトス(子)は500円玉を握り締めて棚に走り寄り、トレイとトングを取ると早速ポン・デ・リングをトレイに乗せた。食べたいドーナツは大体決まって いたのでさほど迷うことなくトレイに乗せ、会計を済ませてドーナツとお代りのコーヒーを乗せたトレイを慎重に持って席に戻ろうとした時、レジ脇の棚に珍妙 なぬいぐるみが乗っている事に気が付いた。
 強いて言えば、ライオン…だろうか。黄色い顔にプクプクした輪が填まり、頭の割に小さな胴体からぴょこんと尻尾が伸びている。

(あ、可愛い…)

 タナトス(子)は頬を染めてうっとりとそれを見つめ、ぬいぐるみの足元に『1000pt』と札が立っている事に気付き、何だろう?と首を傾げながら席に戻った。
 コーヒーをこぼさないようにトレイをテーブルに置いて椅子に座ったタナトス(子)は、お代りのコーヒーを渡しながら先ほど見つけたライオンのようなぬいぐるみを指差した。

「なぁタナトス。あのヘンテコなライオンのようなぬいぐるみなんだが」
「ん?ポン・デ・ライオンか?」
「へぇ…あれはポン・デ・ライオンという名前なのか。このポン・デ・リングと関係があるのか?」
「いわゆる『イメージキャラクター』という奴だと思うが。あのタテガミの様な輪はポン・デ・リングで、外して食べる事が出来るらしい」
「ええっ!」
「そしてタテガミを食べ終わると、尻尾からまたポン・デ・リングを出して首に填めるらしいぞ」
「そうなのか…ポン・デ・リングを無限に作れるのか。羨ましいな!しかも可愛いな、ポン・デ・ライオン!」

 タナトス(子)は目をキラキラさせてポン・デ・ライオンのぬいぐるみを見ながらポン・デ・リングを齧った。
 もっちゃもっちゃもっちゃもっちゃ。
 ポン・デ・ライオンがドーナツを食べる姿もこんなだったな、とタナトス(大)が微かに微笑むと、ポン・デ・リングを食べ終わったタナトス(子)が興味津々の顔で身を乗り出した。

「で、あのポン・デ・ライオンのぬいぐるみは買えるのか?」
「売り物ではなく景品ではないか?さっきミスドのカードを渡しただろう?そのカードでポイントを貯めて交換するらしい」
「ああ、それで『1000pt』と書いてあったのか。タナトスはどれくらいポイントを貯めたのだ?………」

 期待の眼差しでポイントカードを見たタナトス(子)は、カードの『54p』と言う文字を見て微妙な顔になった。
 惜しいとか後ちょっととかそういうレベルではない。

「……………」
「あのな、チビ助。俺が地上…日本に来るようになってまだ一年も経っていないのだぞ。ミスドに来ることもお前ほど多くないのに、1000ポイントも溜まっている訳がなかろう」
「まぁ…そうだろうが…」
「あのぬいぐるみが欲しいのなら、帰ってからじっくりポイントを貯めればいいだろう。お前なら1000ポイントなどすぐだ」
「…うん」

 タナトス(子)が残念そうにしながらも素直に頷くのを見て、タナトス(大)は手を伸ばして彼の頭を撫でた。
 超特大やわらか戦車ぬいぐるみも買い逃してしまったから(あのぬいぐるみは割とすぐ手に入りそうな気がするが)、ポン・デ・ライオンの方は何とかしてや りたい。やりたいのだが、今日明日中に真っ当な手段で手に入れようと思ったらドーナツを大量に買い込むしかない。仮に数百個買ったところで聖域の聖闘士と 冥界の冥闘士達に配れば何なく捌けるだろうが、店のドーナツを買い占めるのは顰蹙モノだし、かと言って店を何件も回ってドーナツを買うのは無理がある。
 とりあえず1000ポイントを貯めるには幾つドーナツを買えばいいのか調べるだけ調べようと携帯を手に取った時、タナトス達と携帯を交互に見ていた若い男が隣の席から身を乗り出すようにして声をかけて来た。

「すいません…城戸ブランドのタナトスさん、ッスよね?」
「ええ、そうですよ」

 男がしきりにタナトス達を気にしていたことには気付いていたので、タナトス(子)も驚くことなくその若い男を見遣った。

「えっと、あの、姉がタナトスさんのファンで。影響受けて俺もツイッターとか、イベントとか、良く見てます」
「それはありがとう」
「それで、そのぉ、盗み聞きしてたわけじゃないんですけど、隣の席だから話が聞こえてて、ですね。えっと…」
「?」
「っあー、あのっ、これ…」

 彼はタナトス(大)に名刺を、タナトス(子)にミスドのポイントカードを差し出した。
 受け取ったタナトス達は同時に呟いた。

「『○×大学マジック研究サークル会長』?」「あっ、1000ポイント…」
「ええと、その、つまり、ですね。あのぉ…」
「『そのポイントカードは差し上げます。その代わり』…というお話ですか?」
「は…はい、そう言う事です!」

 にこやかに笑みを浮かべたままタナトス(大)が尋ねると、彼はホッとしたように頷いた。
 タナトス(大)は『特技は手品』というプロフィールを公開しているし、クリスマスには本物にも引けを取らない『手品』をお披露目したからマジック研究サークル会長が興味を持つのも不思議ではないが…。
 椅子に横座りした男は、真剣な顔でタナトス(大)を見つめて言った。

「単刀直入に言います!タナトスさんがクリスマスのイベントで披露してた人体浮遊マジックとと人体切断マジック、あれのやり方を教えて下さい!大学の文化祭でアレをやって、サークルメンバーを増やしたいんです!」
「……………」
「マジック?」
「…ああ」

 タナトス(子)が怪訝そうな顔をしたので、タナトス(大)はわざとらしくしれっとした顔で答えた。

「俺がギリシアの死神だと言う事は隠していないが、ここは大和の神が支配する日本だろう?日本で異国の神が堂々と神の力を使うと面倒なことになるからな、神の力を使う時は『これは手品です』と言っているのだ」
「ああ、なるほど!」
「…と言う訳で、あの『マジック』には種も仕掛けも無いのです。ですから、やり方を教えたくても無理なのですよ」
「そうなんですか…」

 胡散臭い事この上ないタナトス(大)の発言は事実だったが、マジック研究サークル会長は『手品の種は明かせない、と身も蓋もない事を言うと子供の夢を壊してしまうからこういう言い方をしたのだろう』と解釈したらしい。残念そうにしながらも素直に頷いた。

「それじゃあ仕方ないですね。なら、サインを貰っても良いですか?」
「ええ、構いませんよ。…チビ助」
「何だ?」
「今から『手品』をするから協力してくれるか?」
「勿論だ!何をすればいい?」
「鞄を開けて、中をこの人に見せてくれないか」
「………?」

 タナトス(子)は不思議そうにしながら椅子に置いてあった鞄を開けて見せた。
 不思議そうな顔をする男にタナトス(大)はにこやかに笑んだまま言った。
 
「よくご確認ください、鞄の中に色紙はありませんね?」
「え、ええ…」
「ではチビ助、鞄を閉めて『色紙』と念じろ。いい加減ではダメだ、真面目に念じるのだぞ」
「分かった!」

 タナトス(子)は鞄を閉めて、ついでに目も閉じて大真面目に『色紙、色紙…』と念じた。
 数秒の間をおいて、タナトス(大)はパチンと指を鳴らした。

「さ、鞄を開けて良いぞ」
「ん」
 
 タナトス(子)が鞄を開けると、先ほどは入っていなかった色紙が鞄に入っていた。
 マジック研究サークル会長が感心したように小さく拍手すると、タナトス(子)は少し誇らしげに微笑んで、色紙と一緒に出現したペンをタナトス(大)に差し出した。
 タナトス(大)は色紙の一枚には普段通りのサインを、もう一枚には連絡先らしい電話番号と住所を書いて彼に渡した。受け取った会長は怪訝そうな顔で連絡先の書かれた色紙を見つめた。

「あの、これは…?」
「俺に仕事を依頼する時の窓口です。あの手品のやり方を教える事は出来ませんが、他に出来る事があれば無償で協力しますので、何かあったらそこに連絡してください。『ポン・デ・ライオンの会長』と名乗って頂ければ手続きがスムーズに行くよう連絡を入れておきます」
「…………」
「ポン・デ・ライオンぬいぐるみのお礼がサインだけでは心苦しいですから、ね」
「あ…ありがとうございます!!」

 彼は椅子から立ち上がって直角に近い角度でお辞儀すると、全力疾走の勢いでトレイを返却口に戻すと色紙と携帯を掴んで店を飛び出して行った。
 お礼を言うタイミングを逃してしまったタナトス(子)は残されたポイントカードと会長が飛び出して行ったドアを交互に見つめて、複雑な顔でカードを手に取った。

「…タナトス、これ…どうする?」
「どう、とは?ぬいぐるみと交換してくれば良いではないか」
「いいのか?」
「話は聞いていたであろう?我々は人間からの貢物を受け取り、見返りに神徳を与える約束をした。何か問題があるか?」
「いや、無いな!」

 タナトス(子)はぴょんと椅子から飛び降りてレジに向かい、ポイントをポン・デ・ライオンのぬいぐるみと交換してウキウキとした足取りで戻ってきた。
 椅子に置いてあった鞄を背もたれにひっかけてぬいぐるみを大事に椅子に置くと、彼はポン・デ・リングとポン・デ・ライオンの大きさを比べて楽しそうにタナトス(大)を見遣った。

「見てくれタナトス!ポン・デ・ライオンの嵌めているドーナツは凄く大きいぞ!」
「ふむ…では記念撮影しておくか」

 パシャリ。
 タナトス(大)はタナトス(子)が持っているポン・デ・リングとポン・デ・ライオンが同じ画面に入るようにして撮影し、『タダ働き一回と言う条件でファ ンからポン・デ・ライオンを貰った。ん?報酬を貰っているからタダではないか?』と言うコメントを付けてツイッターに投稿した。
 撮影が終わったドーナツを齧りながらタナトス(子)は怪訝そうに携帯を見た。

「そう言えばタナトス、時々そうやって写真を取っては何かやっているが何をしているのだ?」
「ツイッターへの投稿だ」
「ツイッター?」
「チャットとブログが混ざったような、手軽にメッセージや写真を投稿できるシステムだ。ファンサービスの一環としてこうやって身近な出来事を紹介しているわけだな」

 タナトス(大)が携帯の画面を見せると、タナトス(子)は感心したように目をぱちぱちしてタナトス(大)を見た。
 
「そう言えばお前は自分のファンを増やしたいとか言っていたな」
「ああ。大和の神から聞いたのだがな、自分を慕う人間…つまりファンだな…が増えれば信仰が集まり、信仰が集まれば神の力が強くなるのだそうだ。ファンに限らず友人でも構わぬ、とにかく人間と親しくなれば良いらしい」
「ふぅん?」

 ちょこんと首を傾げた銀色の男の子は、至って真剣な顔で口を開いた。

「…と言う事は、俺が人間の信仰を集めれば、短時間で元の身体と神の力を取り戻せると言う事だろうか」
「そうかもしれんな」
「でも、信仰を集める為には人間と仲良くならないと…」

 タナトス(子)が俯くと、銀色の死神は怪訝そうに首を傾げた。

「お前は人間と交流する事に抵抗があるのか?」
「………。俺はずっと人間が怖かったから…」
「フッ…『怖かった』か」
「何がおかしい」
「いや、別に。『過去系か』と思っただけだ」
「!………」

 面白そうに笑いながらタナトス(大)が言った言葉に小さな死神は一瞬ハッとしてから殊更に怒った顔になって言い返した。

「そう言うお前はどうなのだ。お前にとって人間は全て、塵芥か蛆虫なのだろう」
「ああ、そう思っていたな」
「『思っていた』?過去系かっ?」

 ここぞとばかりにタナトス(子)が声高に指摘したが、タナトス(大)はフフンと鼻で笑って涼やかに答えた。

「ああ、過去系だ」
「ふ、ふーん………」
「塵芥や蛆虫に等しい人間もいる。しかし、そうでない人間もいる。神話の時代の人間は俺を恐れ疎んだ。この時代の人間は俺に興味を持ち積極的に近づいてく る。時代は変わり人間も変わった。いつまでも過去に縛られ目を曇らせていては、神ですら時代の変化に対応できず消えて行かねばならぬ。しかし目を見開き先 入観にとらわれずありのままを認めれば、神も変わることが出来る。聖域との和解、大和の神のアドバイス、そして冥妃様が人間として転生されていた事…理由 はいくつかあるが、きちんと人間と関わってみて俺が知ったことだ」
「神も、変われる…」
「ああ、そうだ」

 タナトス(大)は確かな自信に満ちた目で小さな死神を見てはっきりと言った。
 何やら考え込んだ顔でシェイクを飲む彼に穏やかな眼差しを向けてタナトス(大)は他愛もない話をするように続けた。

「俺は過去のお前を知らぬが、お前もまた変わっているのだろうと思う」
「俺が?」
「昨日は見知らぬ人間に視線を向けられただけで驚いて俺の後ろに隠れていたが、今は話しかけられても全く動じなかったではないか。それは立派な変化、成長だぞ」
「そ、そうだろうか」
「そうだとも」

 タナトス(大)が頷くと、タナトス(子)は『そうか…』と呟きながらどこか照れ臭そうにドーナツを齧った。
 そんな『自分自身』の姿にタナトス(大)は銀色の眼を柔らかく眇めた。
 最後の聖戦を転機に俺が変わったように、このチビ助も変わったのだろう。そしてきっと、ヒュプノスも。
 そう考えると妙に嬉しい感情が込み上げて来て、タナトス(大)は銀色の男の子の頭を撫でた。
 タナトス(子)は不思議そうにしながらも、頭を撫でられるのは不快ではないらしく、されるがままで最後のドーナツを食べ終えて紙ナプキンで綺麗に手を拭いた。
 それを見たタナトス(大)は手を引っ込めて時計を確認した。
 
「もうすぐヒュプノス達との待ち合わせ時間になるが、そろそろ行くか?」
「そうだな。荷物が増えるから土産用のドーナツを買うのは帰り道の方が良いだろうしな!」
「…お前の世界にポン・デ・ライオンが現れたら、お前達の部屋はこのぬいぐるみで埋め尽くされそうだな…」

 やわらか戦車とフモフモさんとポン・デ・ライオンと戦隊モノフィギュアで埋め尽くされた小さな双子神の部屋を想像し、それもなかなか面白いかもしれぬ、と思いながらタナトス(大)はタナトス(子)の手を引いて店を出た。
 …待ち合わせ場所の駅前に到着すると、ヒュプノス達は今度も先に来ていた。
 タナトス(子)が大きく手を振ると、ヒュプノス(子)は恥ずかしそうにしながらそっと小さく手を振り返して、嬉しそうに微笑んだ。

蝶様に描き下ろして頂いた素敵挿絵 はピクシブで閲覧できます!


NEXT


星矢部屋
総合目次
SS・2012時代
SS・神話時代
SS・蟹座達


 ヒュプヒュプコ ンビに比べてぐっと書きやすかったタナタナコンビの話です。
 ポン・デ・ライオンは2012年現在ミスドの景品にはありませんが、ついでに景品にあった時もお店ですぐ受け取ることは出来なかったらしいのですが、 まぁこれはフィクションですので、シャチボン同様そこは突っ込まない方向でお願いします(笑)。ちなみに「ポン・デ・ライオン」でググると、ぬいぐるみを ゲットするためにドーナツを買いまくったレポートを読むことが出来ます。
 そしてまたしてもタナトスファンが都合よくお店にいる展開に…ご都合主義だという自覚はあります、ハイ。毎回女性が出てくるのもワンパターンすぎるか な、と思って今回は男性の登場となりました。裏設定的なものですが、「マジック研究サークル」の構成員は会長一人の個人サークルで、サークルメンバーを募 集するも芳しくなく、会長はミスドで毎日お茶をしながらネタを練っていた…と言うのを考えていました。で、いつものようにミスドでお茶をしながら手品のネ タを練っていたら、城戸財閥ブランドのタナトスらしき人が入ってきて、「え?まさか…」と思ってチラチラ見ながらツイッターを携帯でチェックしてたら、お 店での行動とツイート内容が一致=マジで本人だ!と確信して話しかけて来た、と。そしてタナトスが会長に払う「報酬」ですが、彼の大学の文化祭とかで「手 品」を披露するんじゃないかな、と思っています。
 タナタナコンビの「人間が怖かった」「過去系か?」と言う話+ポン・デ・ライオンを貰うエピは、一番最初の予定(蝶様双子神が一泊二日で変える予定)で は双子神コンビがミスドで最初にお茶をした時にする予定でした。路線変更があり、タナタナコンビの会話はハンズで大人タナトスがサインを描いた後にしよう かと思って、結局ここに来ました。
 次の29話はエリシオンに帰還した双子神達がお風呂に入ったり翌日の準備をしたりする話です。