| 「今年の年末は、忘年会を兼ねて餅つきパーティーを開催しようと思うのだ」 「そーかい、いいんじゃねーの?」 前置きなしでいきなり本題に入るタナトス流の会話にもすっかり慣れたマニゴルドは、自動販売機のカップ入りコーヒーを飲みながらぷはーっと息を吐き出し た(ちなみにふたりは、タナトスの仕事の休憩中である)。ヤル気のない態度のままではあるが、最低限確認しなくてはいけないことは確認する。 「で、会場と参加メンバーは?」 「冥界からはいつものメンバーとハーデス様だ。それから、異世界の我々にも声を掛けようかと思っている」 「んじゃ会場は冥界じゃなくて地上がいいな。メインの材料や道具はこっちで調達しておけばいいのか?」 「ああ、任せる。冥界からも何かしら手土産は持っていくつもりだがな」 「あいよ」 …自由奔放傍若無人のタナトス様のお守りを仰せつかってはや数ヶ月。この時間でマニゴルドが身に着けた最も有用なスキルは『使える奴はフル活用する』だ。 タナトスと別れたマニゴルドは早速携帯を取り出して『使える奴』に電話をかけた。 「シラーか、俺だ。今しがたタナトス様から忘年会に関するお達しが出たからお前にも伝えとくぜ。地上で餅つきパーティーをやりたいんだと。冥界からは神様 がフルでお出ましと思っておけば間違いねぇ。とりあえず会場は日本国内がいいだろうから俺が探しておく。材料とか必要なもんはこっちでも探すが、お前も頼 りになりそうな奴を捕まえといてくれや。進行状況は適当にメールでも入れてくれ。じゃ」 …そして年末、タナトスが指定した冥界・聖域合同忘年会の当日。昨夜から降り出した雪はまだやまずに降り続けていた。 あっちの世界から来る小さな双子神様が大喜びしそうだな。 そんなことを考えながら、マニゴルドは自慢のポルシェに星矢と一輝・瞬兄弟を乗せて会場である城戸家の邸宅に向かった。 会場である城戸邸の応接間…と言っても城の大広間を思わせるほど広いのだが…には、既に黄金聖闘士達が集まって準備を着々と進めていた。 ミケーネと貴鬼はテーブルや椅子を運んで来て、パラドクス・インテグラ姉妹とソニア、そして羅喜はテーブルにクロスをかけて椅子を並べ、会場内に設置さ れた厨房では玄武と童虎が幾つも並んだ蒸し器の火加減を調節し、隣ではフドウが餡子の鍋を混ぜ、ハービンジャーは臼と杵のセットを幾つも運び、シオンは飲 み物の準備に動き回り、中庭に目をやれば、イオニアは巨大な和傘を立てて簡易茶室を準備中で、アモールは何故か鯉のぼりをセッティングし、時貞に至っては 袴にたすき掛けと言う妙な格好で会場の一角で正座している。 忙しく動き回る皆の姿に星矢は首を傾げた。 「何かみんな、張り切りすぎじゃないか?黄金聖闘士が会場のセッティングからするなんてさ」 「タナトス様の影響を受けて、黄金聖闘士の皆もイベントが大好きになったのかもね」 「ありうるな。シラーの馬鹿がタナトス様の影響受けてイベントにノリノリなせいで奴の愉快な仲間達もそれに続いてるし」 「…その、肝心のシラーの姿が見えないようだが」 「妙だな。奴なら先頭に立って大張り切りで準備しそうなもんだが」 ジロジロと会場を見回したがシラーの姿は見えない。ちなみに忘年会の役割分担は、会場と食材の手配担当がマニゴルド、会場の設置と餅つきの準備担当がシラーである。 マニゴルドはもう一度会場を見回して、一番暇そうな奴に声を掛けた。 「うぉい時貞、ちょっと聞きてーんだけどよ」 「何だ」 「つか、何でまた侍か料理人か見分けのつかないコスプレしてんだ。忘年会の一発芸で切腹でもするつもりか?」 「馬鹿を言え。心を落ち着け精神を澄ませているのだ」 「一発芸の為に?」 「違うぞ星矢!『正しい餅のつき方を知っているのは日本人の時貞だけだから』と言う理由で、俺がタナトス神に餅つきをレクチャーする役を押し付けられたのだっ!この重圧がお前達に分かるか!!」 「確かにプレッシャーは感じるだろうけど…」 「餅など、臼にもち米を入れて杵で叩いてつくだけだろう。切腹のコスプレまでして覚悟を決めることか?」 「だから、切腹ではないと…」 「切腹の前に教えてくれや。シラーはどこだ?」 「ええい!貴方は人の話を聞いていなかったのか!?」 「おいおい、そう興奮するなよトッキー。せっかく落ち着けた心が荒ぶってるぞ」 「トッキー言うな!」 「トッキーでもポッキーでもいいから質問に答えてくれや。シラーも幹事だから、奴を捕まえねーと話が始まらねぇんだよ」 「…………。シラーなら冥妃を迎えに行くと言っていた」 「メーヒ?…ああ、秋乃さんか」 「あ、噂をすれば…だよ」 扉が開く音がして、広間の入り口を振り返った瞬がにこりと笑った。 馬鹿でかい桶を肩に担いだシラーと、両手に袋を提げた秋乃と、唐草模様のスカーフを首に巻いたイギーが入ってくるところだった。 「今頃ご到着かい、先輩。重役出勤なんていいご身分だね」 「やるべき仕事はちゃんとこなしたんだから別にいいだろ。おひさしだな、秋乃さん…と、犬。今日はいつもの芸はやるんじゃねーぞ」 「アウウゥゥ、イギッ!」 「皆さん、こんにちわ」 「お久しぶり。元気そうで何より」 「それにしても大量の荷物だな、俺が預かろう」 「ありがとう、一輝さん」 「俺も片方持つぜ。それにしても、こんなにたくさん何を持ってきたんだ?」 「会場にはお餅と餡子しか用意してないってシラーさんに聞いて。それだけじゃバラエティが少ないかなって思ったから、大根とか納豆とかツナ缶とか苺とか、色々持って来たんです。あと、海苔とお醤油も」 「さすが気がきいてんな。…んで、シラーよ。お前が担いでる桶は何だ?とっておきの漬物でも入ってんのか」 「違うよ。これはねぇ、タナトス様に仰せつかったものさ。秋乃のツテで調達してもらったんだ」 シラーが慎重に床に桶を置いて蓋を開けた。 一体何だ、と桶を覗き込んだ皆はあんぐりと口を開けた。 …鰻だ。 忘年会参加メンバーの数はゆうにありそうな鰻が桶の中でウネウネしている。 「え、鰻?なんでまた?」 「タナトス様が、会場でこれを料理して皆に振舞いたいんだって。ええと、料理の名前はなんて言ったっけ?暇つぶし?」 「『ひつまぶし』ですよ、シラーさん」 「相変わらずイミフなことやりたがるな、あのクソ神」 「つーか何で忘年会で鰻なんだよ。土用の丑と勘違いしてるんじゃないか?」 「あの死神のことだ、『面白そうだから』としか考えてないんだろう」 「パーティーですもの、面白くて美味しいことは何よりも大事ですよ。さ、今のうちに準備できるものはしておきましょう」 秋乃に促された皆が納豆を混ぜたり大根をおろしたりひつまぶし用の薬味を刻んだりすることしばし。聖域側の主催である沙織がパルティータを同伴して大広間に入ってきた。 集まった面々と挨拶を交わして彼女は大広間の中央に立った。 「さぁ、冥界と異世界からお客様がおいでになります。皆でお出迎えいたしましょう」 その言葉に黄金聖闘士達が慣れた様子で円陣を組み、他のメンバーは円陣の外側に立ち、イギーは秋乃の足元にお座りした。 沙織と黄金聖闘士達が目を閉じて小宇宙を高め始めた途端、円陣の中央に出現した魔方陣が光り始めた。最初は淡く弱い光だったそれは次第に眩しく強く輝き を増し、そしてカカッ!と魔方陣に光の柱が立ち上った…次の瞬間、銀と金の光が消えて、魔方陣があった場所には神々と異世界の住人達の姿があった。 餅つきイベントの発起人であるタナトス、その弟ヒュプノス、タナトスの『彼女』ヘカーテ、冥王ハーデス(ちなみに『月桂樹』と名づけた仮初の少年の肉体に魂を入れ ている)、双子神の妹エリス、夢の四神、冥界三巨頭、杳馬、すっかり皆と顔見知りになった異世界の小さな双子神とふたりの保護者を自負する異世界のマニゴルド。そして…。 見慣れた顔触れの後ろにいる面子を見た『この世界』の住人が目を瞬いた。 「やぁ、久しぶりだねぇ、しぃ。ギャルソンのコスプレがすっかり定番になってるね」 「うぉーっす!おいおい何だよ牛、そのビミョーな顔はよー」 「やはりいたな、ゲンガー!!…フ、そう身構えるな。俺はお前とやりあう気はないからな」 「ふむ…今日は私のドッペルゲンガーまで存在するのですか。やはりこの世界、興味深い」 「これはこれは。話には聞いていましたが本当にパラレルワールドが存在するのですねぇ」 「とても不思議な気分だな、鏡像ではない自分自身を見るというのは」 ぞろぞろと現れた『マルスの黄金聖闘士ご一行様』に出迎えた皆が驚いていると、異世界のマニゴルドが顔の前で手を合わせて謝罪のポーズを取って見せた。 「先に謝っておく。すまん。こんな大勢で押しかけたら迷惑だから遠慮しろ、って止めたんだが押し切られた!」 「何を謝ることがあるのだマニゴルド。パーティーは大勢が参加した方が盛り上がるではないか!」 「チビの言う通りだな。イベントは予想外のハプニングがあるから楽しいというものだ」 「…このメンバーではどういう方向に盛り上がるか心配ではあるがな」 「自ら進んで『予想外のハプニング』を起こしたがるメンバーばかり故な、異世界の私が心配するのも無理はない」 「ヒュプノス達よ、そう言うでない。予想外が起きるから楽しいというタナトスの意見、余も…あ、いや、僕も賛成だぞ」 「だよねー。粛々と進むパーティーなんてつまんないよ」 「私も同感だ!」 「うふふ、そうですわね。せっかくこうして皆が集まったんですもの、楽しく盛り上がっていきましょう。…では、開会の宣言はタナトス殿にお願いしてよろしいかしら?」 沙織に促されたタナトスは鷹揚に頷き鼻息も荒く皆の前に出た。ちなみにタナトス少年と手を繋いだままなので、タナトス少年、ハーデス、ヒュプノス少年、ヒュプノスが数珠繋ぎに皆の前に出てきた。 皆で楽しく盛り上がるイベントに目のない死神は、人差し指を立てた右の拳を天高く突き上げた。 「これより、二世界合同餅つき忘年会パーティーを開催する!スローガンは『この一年に一片の悔い無しッ!』だ!全員、思い残すところ無きよう存分に楽しむが良い!!」 わー!パチパチパチパチ!! 皆が歓声と共に拍手すると、タナトスは『笑っていいとも!』のタモリの要領で拍手を静めて、沙織にバトンを渡す仕草をした。 促されて前に出た沙織は、こほんと一つ咳払いをして蝶ネクタイを直すゼスチャーをして見せた。 「それではまず、開幕イベントを兼ねて水瓶座の時貞が本場日本の餅つきを披露しますわ。皆様是非参考になさって下さいな。時貞、前に。ハービンジャー、臼と杵の用意を。玄武、蒸しあがった餅米を持ってきて頂戴」 「…ハ」 「あいよ」 「了解」 沙織に促された時貞が緊張の面持ちで皆の前に歩み出て、ハービンジャーは臼と杵と水の入った桶を時貞の前にセッティングし、玄武は蒸しあがった餅米を臼に入れた。 いざ…と杵を握った時貞はふと思い出したように沙織を見た。 「ところでアテナ、餅をこねる役は誰が?」 「こねる役?」 「そういえば餅をつく時は二人一組でやってるよね」 「ああ、あの、杵でぺったんぺったんするたびに餅をこう…ひっくり返すみたいな役の人か」 「じゃあ星矢、時貞の相方をお願いできるかしら?」 「へ?何言ってるんですか沙織さん!俺があんなリズム感を要求される役目、できると思いますか?餅ごと杵でぶっ叩かれるのが目に見えてますよ」 「では瞬」 「僕も餅つきの相方なんて経験全然ないですけど…」 「困りましたわね。星矢と瞬がダメだったらこね役を出来る人がいませんわ」 「気にせず星矢にやらせては?杵で叩かれたところで元聖闘士だ、大した怪我はしないだろう」 「おい一輝!他人事だと思って無責任なこと言うなよな!」 星矢が真顔で一輝に抗議した時、龍神秋乃が片手を上げた。 「じゃあ、私がやりましょうか?」 「え?秋乃さんが?」 「そのお申し出はありがたいですけれど…大丈夫ですの?」 「任せてください。私、子供会の餅つきイベントとかでよくお餅のこね役やってましたから。プライベートでは和菓子も作りますし、こう見えて餅つきの『女房役』は結構得意なんですよ」 「…………」 ブラウスの袖を捲り上げて前に出てきた冥妃に時貞は本気で戸惑った。 相手が元聖闘士の星矢なら、もし杵で手を叩いてしまっても『すまん』で済む。しかしハーデスの妃、しかもパティシエの手に怪我でもさせた日には一体どう なるか、考えるのも恐ろしい。下手でもいいから星矢に交代してくれないか…と思ったが、秋乃はやる気満々で手を水で塗らしている。 しかも沙織も冥界の神々も聖闘士達も、『本人が得意と言うんだから任せて大丈夫だろう』と呑気に眺めていて彼女を止めてくれる気配は全く無い。 ちょっと待て、誰か不安か疑問を感じろ! 時貞が目顔で黄金聖闘士仲間に訴えた時、シラーがにこやかに言った。 「大丈夫だよ時貞。君が秋乃に怪我をさせそうになったら、僕が助けに入るから。だから安心して餅つきのレクチャーを始めなよ、皆待ちくたびれてるからさ」 「…………。分かった。ではよろしく頼む」 「はい、頼まれました」 「最初に、杵で大まかに餅米を潰す。ある程度粒を潰したら、つき始める」 時貞は説明しながら餅米をとんとんと潰し、杵を振りかぶっておなじみのポーズで餅をつき始めた。 ぺったん、ぺったん。 杵を振り下ろし、振り上げ、また振り下ろすまでの間に秋乃がタイミングよく餅をこねてひっくり返す作業を繰り返しているうちに、餅が杵に付いてのび始めた。蒸した餅米が立派な餅になったあたりで時貞はつくのをやめた。 「…そしてこのように、米の粒が無くなって艶が出て、十分にのびるようになったら餅のつきあがりだ。こねる時に水を付け過ぎてしまうと不味くなるのでなるべく水は付けない方が良い。餅のつき方の説明は以上だ」 「へー、意外に簡単そうじゃねーか」 「杵でつく方より相棒のこねる方が重要そうだな」 「習うより慣れろだ。餅米もどんどん蒸しあがるし、どんどん餅をついてガンガン食べようぜ!よし、次は俺が餅をつく番だ!」 星矢が腕まくりして前に出ると、重要な役目を終えた時貞はほっと安堵の息を吐いて杵を渡した。 野郎共がウキウキと我先にと餅つきを始めたので、女子供チームはつきあがった餅を試食しつつ鏡餅や伸し餅を作り始めた。ちなみにメンバーは、異 世界の双子神、依り代状態のハーデス、沙織、秋乃、ヘカーテ、エリス、ソニア、パラドクス・インテグラ姉妹、パルティータ、羅喜である。 せっせと鏡餅を作っているインテグラの隣で、パラドクスはちぎった餅を大根おろしに絡めてぱくりと頬張った。 「んん〜…大根おろしのサッパリ感はいいわねぇ。口当たりが良いから食べすぎちゃいそうだわぁ」 「調子に乗って食べ過ぎると太るぞ、我が姉よ。それから少しは働け!」 「こんな時まで優等生なこと言わないのよぉ、インテグラ。美味しいものをおなかいっぱい食べて幸せになるのがパーティーと言うものよ!」 「うわぁ、このツナマヨ味の餅も美味しいのだ」 「餡子を包んでツナマヨをトッピングしてみたのだが、誰か味見をしてみないか?」 「「遠慮します」」 黄金聖闘士達とおまけが餅の試食に熱中している隣では、神様達が餅をつまみ食いしつつ鏡餅を作っていた。 タナトス少年はつきたての餅を慎重にちぎり、餡子ときな粉をまぶして口に入れ、もぐもぐしながら餅を丸め始めた。 「ヒュプノス、餅を丸める時にペタンコではなく丸くすれば雪だるまのように見えるぞ!」 「タナトスよ、食べ物で遊んではダメだと星華姉ちゃんにいつも言われているではないか。しかしつきたての餅は本当に美味だな」 「ほんとほんと。後で苦しくなると分かってても食べちゃうんだよねぇ」 「ふたりとも、食べたら手をきちんと拭いてから作業をしなくては。せっかく丸めた餅に餡子やきな粉が付いてしまってはもったいないぞ。さ、この布巾で手と口を拭くとよい」 「「ありがとうございます、ハーデス様」」 「ふふ、普段はタナトスヒュプノスに弟扱いされてばかりだから、ここぞとばかりに兄貴面か?ハーデス」 「そう言うなヘカーテ。余も、このタナトスヒュプノスの世界の余のように振舞ってみたいのだ。流石に父の真似は無理だがな」 「ところでハーデス殿。ベルセフォネーとは『次の時代に転生するまで会わない』約束ではありませんでしたの?仮初の肉体とは言え、『中身』がハーデス殿であることは彼女は気付いているようでしたけど…」 少し離れたところで果物の準備をしている秋乃を見て沙織がそっと囁くと、ハーデスは何とも困った苦笑を浮かべた。 「恐らく気付いているであろうな。『妃に会うのは年に一度、それに他人の振りをしているゆえギリギリセーフ』とタナトスとヒュプノスが言うので余もそういうことにしておるが、次の時代に再会したらそこを突っ込まれるであろう。今から何と釈明するか考えておかねば」 「ハーデス様は釈明するだけどつぼにはまると思うけどねぇ」 「あくまでも別人だ!と言い張ってはいかが?」 「パルティータ…あなたのご主人ならともかく、ハーデス殿がそれで切り抜けるのは無理だと思うわ」 「イギッ!」 「ん?この犬は確か、妃の身辺警護をしている蟹座の飼い犬であったな」 「イギーも『沙織に同感だ』と言っているぞ!」 「そうであろうか?私達の足を引っ掻いているし、『餅をちょうだい』と言っているのではないか?」 「犬に餅をやって大丈夫か?」 「シラーが言うにはこの犬はガムも食べるそうだから、大丈夫だと思いますわ」 「では一口だけあげよう。食べられないようなら取ってやればいいしな!」 タナトス少年は餅をほんのちょっぴりちぎると餡子をまぶし、イギーの前にしゃがんだ。 「イギー、おすわり!」 「イギ」 「お手」 「アウッ!」 「よーし、いい子だ。ほら、餡子餅だぞ!」 タナトス少年が餅を差し出すと、イギーは嬉しそうに尻尾を振りながら餅を食べ始めた。 ヒュプノス少年が『次は私が』と餅を持ってイギーが食べ終わるのを待っていると、クリームや苺やキウイやバナナの乗った皿を持った秋乃がやってきた。 「タナトスさんにお餅を貰ったの?良かったわね、イギー」 「わん!」 「次は私があげるのだ!」 「あらっ、おふたりも動物が好きなんですね。イギーが懐いてるからそうかなって思ってたんですけど」 「俺もヒュプノスも犬は大好きだぞ。冥界ではケルベロスも飼っているからな!」 「ああ、そう言えば冥界にはケルベロスがいるんでしたね」 「ところでベルセフォネー、その果物は何だ?」 「餅つき頑張ってくれてる男性陣の皆さんに差し入れしようかなって思って。絡み餅はお箸がないと食べにくいけど、大福にしたら手づかみで食べられるでしょう?せっかくだからフルーツ大福を作るのもいいかなって」 「それはナイスアイデアですわね」 …沙織、秋乃、ヘカーテ、エリス、パルティータの女神達は楽しげに相談しながら次々と大福を作り始め、一通り大福を作って満足した異世界の双子神と依り代ハーデスは、イギーを連れて、出来上がった大福を皆に差し入れに行くことにした。 |
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| 今年はクリスマスをネタに話を書けなかったけど、年末年始ネタは一年の総括も兼ねて何か書きたいなーと思っていまして。今年は「全員集合」をテーマに
行ってみることにしました。この話は前振り的な位置づけで、メインは後半になります。全員集合と言うことで、蝶様世界のΩ黄金の皆さんにもゲスト参加して
頂くことにしました!いつものようにSS内の時間軸とSS公開が前後していますが、蝶様世界のΩ黄金と初対面の話は改めてSS「戦隊」で書くつもりです。 蝶様世界のΩ黄金の皆様は『マルスの黄金聖闘士』であり、アテナとマルスの間には和解が成立している為、アテナの聖闘士とも親交があります(SS「戦隊」参照)。 ハビシラ→ハビさんがオトン(オカン?)ポジとか言われつつとても仲良し。当世界にも何度か遊びに来たことがある。 玄フド→当世界にも何度か遊びに来たことがあるが、「異世界」だということをいまいち理解しておらず、蝶様玄武は当玄武を自身のドッペルゲンガーだと思っている。ちなみに二人とも筋金入りのボケ。 ミケアモ→多分、このSSが当世界初訪問。 後半は双子神が鰻を焼いたり、ハビシラコンビ×2が喧嘩したりデレたり、玄フド+玄武+フドウがボケてボケてボケて突っ込んだり、ミケアモがアモさんをいじめたり、ハーデス+蝶様双子神が大福を配って回るような、そんな話になる予定です。 |