| …飲み物のお代りを持ってきたシラーが皆にカップを配り始めると、先程配られた任務表を眺めていたハービンジャーがふと思い出したようにシラーに尋ねた。 「そういやシラー、お前は明後日に命の恩人と改めて対面する訳だけど、それに関して教皇から何か話とかあったのか?ちゃんと礼は言っとけよー、とかさ」 「ん?」 「あらっ、そう言えばハービンジャーさんの言う通りね。冥界の神々のお出迎えはいつもの事だから特に気にしてなかったけど…」 「は?」 「いや、まさか…。アテナの黄金聖闘士が冥界の神に命を救われたんだぞ。そんな適当な場所で礼を言うのはまずいだろう。ちゃんと場を用意するんじゃないか?」 「え?」 「それはどうだろう…タナトス神はそのような堅苦しいのはお嫌いなような気もするが」 「ちょ、待って待って、ちょっと待って、話が全く見えないんだけど。タナトス神との対面が明後日って、どういう事??」 何もかも分かっている顔で皆が進める話を全く理解できないシラーは、ポケットに入れておいた任務表を広げて明後日の欄を確認した。そこには『外国の要人 出迎え』の記述があり、担当者は『全員』となっている。コレのどこをどう読んだら『タナトス神との対面』になるんだ、と言いかけてふと気付いた。 …担当者は『全員』? よくよく考えてみれば妙な任務だ。外国の要人を出迎える為に黄金聖闘士が出向く理由など考えにくいし、何かしらの理由があったとしても一人か二人派遣す れば十分だろう。ぶっちゃけ、外国の国家要人を出迎える程度の事でホイホイと動かせるほどアテナの黄金聖闘士はお手軽な存在ではないのだ。しかし相手が冥界の神 様ならば黄金全員が出迎えるだけの理由はある。つまり明後日の任務の欄にある『外国の要人』とはつまり、シラーを救ってくれた死の神タナトスと言う事で、 自分以外のメンバーにとってはタナトス神の出迎えなど『いつもの事』らしい。そこまでは察しがつくが、一体何がどうなってそういう事になったのか全く分か らない。 数秒でそこまで考えたシラーは、頭を駆け巡った諸々の疑問を短くまとめて言葉にした。 「一体どういう事?」 「どういう事も何も、今言ったじゃねーか。明後日、冥界の神々が地上に来るから…ってあ、そう言えばお前は知らなかったな。冥界の神様が地上に来る時は黄 金聖闘士が全員お出迎えに行くんだよ。だから、その時にお前もタナトス神と顔を合わせることになるだろ?そうなるとやっぱり、命を助けてもらった礼をだ な…」 「ちょ、待って待って。全く理解が追い付かないんだけど!」 「ハァ?こんなに親切に丁寧に説明してやってるのに何が理解できないんだ?」 「最初から最後まで何もかもだよ!」 心底怪訝そうなハービンジャーと、眼が渦巻きになりそうなほどテンパって叫ぶシラーの姿に場の雰囲気がふと和んだ。 十分に熱いコーヒーをスプーンで混ぜながら玄武が鷹揚に口を開いた。 「ま、半年眠っていたシラーが状況を呑み込めないのは無理もない。俺とミケーネが懇切丁寧に最初から説明するから、ハービンジャーは帰って良いぞ」 「え?何でそうなるんだよ!嫌だぜ俺だけ仲間外れなんて!」 「ならば余計な茶々を入れたりしないようにな。シラーは真剣なのだから」 「はいはい、分かりましたよミケーネ先生」 「…で、半年間に何があったの?」 「聖域と冥界に和解が成立した事は知っているな?」 「うん、それは昨日教皇から聞いたよ」 「そもそも、聖戦が始まった理由から話した方が良いだろうか。最初から説明すると言ったしな」 玄武とミケーネは、教皇を通して聞いた聖戦の経緯と和解が成立した理由をまず説明し、死の神タナトスを始め冥界の神々が21世紀の地上をいたく気にいっ て、地上にいるハーデスの妃(の、転生体)の機嫌伺いを兼ねて頻繁に遊びに来る事を話し、地上で使う資金をアテナに提供してもらう見返りにタナトスが城 戸財閥関連のアクセサリーのモデルを始めた事、そしてそれが予想外に大当たりしたことを『人間が自分を信仰している、故に自分の神の力が強くなる』と解釈 したタナトス神本人もご満悦、一体ど のくらいご満悦かと言うと、城戸財閥主催のハロウィンイベントに快く協力してノリノリでコスプレまでしたくらい…という状況を、パラドクスやハービン ジャーの補足も交えながら話した。 眼を丸くして呆気に取られながらもどうにかこうにかシラーが状況を把握したところで、二人は本題に戻ることにした。 「そして明後日だが。城戸財閥主催のクリスマスイベントの事前準備や下見の為、冥界の神々が地上にやって来る。和解が成立した今は冥界の神々は聖域の賓客、黄金聖闘士が全員でお迎えにあがって然るべき…と言うのが表向きの口実だ。勿論、それも理由の一つではあるがな」 「そしてもうひとつ。和解が成立したとはいえ冥界の神々に良い感情を持たぬ聖域関係者も少なからずいるからな、『地上を訪れる時は必ず神の小宇宙を封じて 来る事』と言うのが冥界の神を地上に受け入れる条件となっている。黄金聖闘士が神々を出迎えるのは、彼らがきちんと神の小宇宙を封じているか確認する体の 良い『入国審査』でもあるのだ」 「え…じゃあ、もしも、だけど。もしも神様達が小宇宙を封じずに地上に来たその時はどうするの?」 「『力づくで押さえろ』と上からお達しが出ているが…まぁ、無理な相談だな」 「だよなー。限界まで小宇宙は抑えてるって言われても、その抑えた状態で絶対俺らより強いだろ?あの神様達」 「要するに入国審査は形だけのもので、黄金聖闘士全員で神様達を出迎えるのは聖域側の誠意をアピールするポーズだと思えばいいわ」 「なるほど」 パラドクスの言葉にシラーが納得したように頷いたので、玄武はコーヒーで唇を湿らせて話を続けた。 「…で、『お迎え』の流れだが。まず冥界の神々が地上に来るための『扉』を作る場所に行く。具体的にはビルの会議室だったり、倉庫だったり、ショッピング センターのイベント用ホールだったり色々だが、神々の目的地に近く、ある程度の広さがあって、人目が無い場所というのが共通点だな。そして神々を迎える場 所に到着したら、アテナの小宇宙を込めた砂を撒いて魔法陣を作る。大抵この役目は貴鬼が担当するが、これがいわゆる『出口』になる訳だ。魔法陣を描いたら それを囲むように俺達が等間隔で立つ。あとは冥界の神様の到着を待つだけだ」 「冥界の神様ってどうやって到着するの?」 「なんて言えばいいんだろうなぁ、魔法陣がカッ!と光って光の柱みたいのがドーン!と立つと、次の瞬間魔法陣の真ん中に神様が出現してんだよ」 「……………」 「そんな呆れた顔しないであげて、シラー。そうとしか説明が出来ないのよ」 「ふうん…?それで、その後は?」 「基本的に無言かつ直立不動で神様が出て行くのをお見送り、だな。何か連絡があるにしてもアテナから事前に行っている事が多いし、稀に渡す物がある時は年長者のイオニアが担当するから、私達は本当に立って見ているだけだ」 「そう考えると、お礼を言うにしてもタナトス神に声をかけるタイミングが難しいわね。あちらがシラーに気がついてくれれば声もかけやすいでしょうけど」 「う…ん…」 真剣に考え込んでしまったシラーに、ハービンジャーは首を傾げながら尋ねた。 「で、教皇はその点に関して何か言ってたのか?」 「いや、何も。何か聞いてたらこんなに驚いたりしてないよ」 「それもそうか」 「教皇も執務があるから今すぐお話を伺うのは無理だろうが、今日明日中に確認しておいた方が良いだろうな」 「そうだね、そうするよ」 きちんと説明を受けてとりあえず落ち着いたらしいシラーが浅く顎を引いた。 …そこからは他愛もない世間話をして茶会はお開きとなり、ハービンジャーとパラドクスは片付けの手伝いをする素振りすら見せず『じゃーねー』と手を振ってさっさと自宮に帰って行った(シラーいわく、彼らが下手に片付けを手伝うと余計面倒なことになるらしい)。 玄武とミケーネを宮の入口まで見送りに来たシラーは、屈託のない笑みを浮かべて何の衒いもなく言った。 「二人とも、また気軽にお茶を飲みに来てね。今日は僕のことばかり話してしまったから、次は君達の話を聞きたいな。僕も君達の事をもっと知りたいから」 「うむ、また寄らせてもらう」 「…ああ」 獅子宮に続く階段を登る途中で二人が振り返ると、宮の外まで見送りに出ていたシラーがにこやかに笑って片手を振った。手を振り返した玄武が『外は寒いから中に入れ』とゼスチャーで伝えると、シラーは素直に頷いて巨蟹宮に入って行った。 …長い階段を昇りながら、玄武は無理に作ったような不機嫌顔でボソリと呟いた。 「全く、何なんだアイツは。度肝を抜くような身の上話をした後に、『君達の事をもっと知りたい』なんてサラッと言いやがって…俺達が男だったから良いよう なものの、あのツラで女を相手にあのセリフを言ったら間違いなく口説き文句だぞ。恋人だっているのに、誤解されてトラブルになったらどうするつもりなん だ」 「恐らく彼は、その可能性に考えが及ばんのだろうな」 「全く、何なんだアイツは」 玄武は先程と同じセリフを苛々と吐いた。 「いいところの御曹司だろう、アテナの黄金聖闘士だろう。迂闊な発言は命取りだと自分で言っておきながら、どうしてあんな危なっかしい台詞を言うんだ。言 うなら冗談だと分かるように言わないと駄目だろう!アイツ、頭は切れるはずなのにバカなのか?それとも度を越した世間知らずなのか?」 「恐らく後者だろうな。極端すぎる特殊な環境ばかりに身を置いて来たせいで、世間の常識や一般的な価値観と言うものを知らないのだろう。そういう意味では 確かに彼は、お前が感じたように『危うい』のだろうな。そして私達はその『危うい』彼の内面に踏み込んでしまった。最早引き返すことも、知らぬ顔をするこ とも出来ない」 固い表情でミケーネが語る言葉は白く曇って冬の空に吸い込まれていく。 獅子の言葉は酷く真剣で、玄武は思わず彼の顔を見つめた。 「どういう意味だ?」 「玄武。お前も薄々気付いているだろう?シラーの養母を殺害した真犯人は、彼自身だと言う事を」 「あの話を聞けば、ハービンジャーほどの馬鹿でなければ容易に察しがつくだろう。だが、俺はあいつの秘密を口外など…」 「お前が彼の秘密を漏らすかも、などと思ってはいない。私が懸念しているのは、『度を越した世間知らず』のシラーが、悪意を善意でカモフラージュし た人間の本質を見抜けぬまま心を開いて重大な秘密を喋ってしまうのではないかと言う事だ。そしてシラーを快く思わぬ、社会的に物理的に抹殺したがっている人 間は少なからず存在する」 「…………。何故お前がそんな事を」 「任務で偶然、シラーの養父が関わっている会社の内部事情を知ってしまってな。それに絡んでシラーの養父と多少話をする機会があったのだ。その内容をお前が知る必要はないが」 ミケーネが偶然知ってしまったという『シラーの養父が関わっている会社の内部事情』が何なのか、玄武が尋ねようとした途端に先回りされた。 玄武が不満気に口を噤むのをちらりと見て、ミケーネは淡々と続けた。 「今までのシラーは滅多な事では他人に心を開かなかった。それ故に彼は信頼できる友人に恵まれなかったが、それと同時に、彼を陥れようとする悪意を持って近づいてくる人間から自身を守る事も出来たのだろう」 「他人に心を開き始めたは良いが、相手が敵か味方かも見極められずにホイホイと扉を開けて、『殺人鬼』を招き入れてしまう危険があると言う事か…」 「そして彼自身が殺されるか、彼が相手を殺してしまうか…どちらになっても不幸な結末だ」 「…ミケーネ。お前は妙に大仰な言葉を並べて長々と語ったが、要するに『シラーは仲間なのだから危険から守ってやろう』という一言で済む話じゃないのか」 「フ…確かにその通りだな」 迷いないその言葉に、ミケーネは表情を和らげた。 未熟な玄武が『複雑な大人の事情』を知ったところで出来る事は少ない。わざわざ不必要な情報を与えて戸惑わせることもない、仲間を守ると言う意思だけあ ればそれで十分ではないか。真正面から悪意を持って近づいてくる者は若くまっすぐな玄武が、背後から策を弄して接近してくる者は老獪な自分やイオニアが対 処すればいい。 シラーが厄介な魔物なのは事実だが、彼もアテナの聖闘士であり、自分達の仲間であることもまた事実なのだから。 …翌々日。 半年ぶりに全員が揃ったアテナの黄金聖闘士は、名古屋駅にほど近いビジネスビルの一室に集合していた。 「神々の目的地が名古屋など、初めてではないか?」 「そうですね。いつもは東京かその周辺ばかりでしたが」 「一体どういう風の吹きまわし?クリスマスのイベントは東京で開催されるし、今回の訪問目的はその下調べのはずでしょ?」 「アテナの親戚の神様を連れて観光もするから…らしいよ」 「へぇ」 「はいはーい、魔法陣描きますからちょっとどいて下さーい」 「ああ、ごめんごめん」 リラックスムードで立ち話をする黄金の間を縫いながら貴鬼が砂を撒いて魔法陣を描いているのを何となく眼で追いながら、シラーは本日何度目か分からない溜息をついた。 命を救ってもらった礼をタナトス神に言うのはいつが良いか教皇シオンに相談したら、『改めて場を設けるべきだとは思うが色々とタイミングが合わ ずに調整が出来ずにいる。タナトス神を出迎えた時に軽く礼を言って、改めて礼を言いに行くと伝えておくが良い』と実に無責任な言葉が返ってきた。 一体どうやってタナトス神に『軽く礼を言う』か、それが一番の問題なのに…とシラーがあれやこれやと考えを巡らせている間に、貴鬼が魔法陣を描き終わってしまった。 「さて、そろそろか」 厳かな声で呟いたイオニアが扉を背にする位置で魔法陣の一番外側の円周上に立った。その姿を見た他の黄金聖闘士達も表情を引き締めて魔法陣の周囲に集まり出したので、シラーも皆に倣って魔法陣に歩み寄った。 緊張に表情をこわばらせているシラーをちらりと見て、隣に立ったパラドクスがそっと尋ねた。 「タナトス神へのご挨拶の件だけど…教皇様は、何て?」 「礼を言う場は改めて設けるから、今日は軽く礼を言っておけ、だってさ」 「あらあら、随分と簡単に言ってくれたわね」 「全くだよ」 「でも、命の恩人にお礼を言わない訳にもいかないわよ」 「分かってるさ。だから、何とかタイミングを見つけて…」 シラーとパラドクスがコソコソ話をしていると、授業中に私語をしている生徒を見つけた教師のような顔でイオニアが二人をじろりと見た。 「タナトス神がお出ましになるぞ!」 「!!」 その言葉に二人が慌てて姿勢を正すと、魔法陣を描いた砂が輝いて巨大な光の柱が立った。眼も眩むような銀と金の光が混じりあって弾けた…と思った次の瞬間、魔法陣の真ん中に神々の姿があった。 その姿を認めたシラーは思わず息をのんだ。 「……………」 彼は思う。 もしも。 もしも、一目惚れと言うものがあるのなら。 それはきっと、今の自分の心を満たす、この感情を言うのだろう。 魔法陣に出現したのは銀の死神と金の眠り神、アテナの親戚らしき少年神、そして黄金聖闘士も圧倒するほどの小宇宙を持った三人組だったが、シラーの目には最早、銀色の神しか映っていなかった。 さらさらと流れる絹糸のような銀髪、どこまでも透明で透き通り不可思議な光を孕んだ銀色の眼、人では決して持ち得ない美しい貌、非の打ちどころのない完璧な容姿、冷たく清廉で圧倒的な小宇宙。 五感をほとんど失ったあの時に確かに感じた気配。満足に見えない視界の中に映っていた神々しいばかりの眩い銀色。 シラーは瞬きも呼吸も忘れたようにタナトスに見入っていた。 黄金聖闘士全員に囲まれても微塵も動じることなく、淡く笑みを浮かべたタナトスは余裕たっぷりの態度で皆を見回した。 「出迎え御苦労、アテナの聖闘士達よ」 静かでありながら良く通り、心地よく響く完璧な声。 記憶の中に残っている、『死ぬな、生きろ』という声と同じそれ。 …ああ。 ああ、この完璧なまでに美しい神様が、僕の命の恩人なのか。幼い頃に酷く恐れ、そして同時に憧れてやまなかった死の神がこの方なのか。 漸くお目にかかれた、何と言う光栄…! 感激で足が竦み、指先が震え、思考回路は完全に停止して何も考えられない。 限界を超えた感情が溢れだして逆に無表情で突っ立ったままタナトスを見つめるシラーの前で、イオニアが一歩前に出て財布を数個タナトスに差し出した。財布を受け取ったタナトスは中身を改め ることもなく、妙に子供っぽいデザインの財布を少年神に渡し(少年は嬉しそうに渡された財布を肩に斜め掛けしたバッグに入れた)、残りを後ろに控えていた 部下らしき三人組に渡した。 「携帯電話は駅前の家電量販店でお受け取りください。それ以外の品はホテルの方に用意させました。後ほどご確認の程を」 事務的なイオニアの言葉にタナトスが淡く微笑んだまま鷹揚に頷くと、イオニアは礼儀に叶った会釈をして一歩下がった。それが合図だったのか、アモールと時貞が部屋の観音開きの扉を開けた。 神々は堂々とゆったりと、周囲を囲む聖闘士を軽く睥睨しながら部屋を出て行き、部下らしき三人組も視線を逸らすことなく後をついて部屋を出た。 …冥界一行が部屋を出て行って、扉を押さえていた二人がもう良いだろうと扉を閉めた途端、皆が一斉に緊張が切れたような溜息をついた。 「っはー緊張した!!」 「何だよオイ、タナトス神と一緒に来るのは『アテナの親戚の神様』だけじゃなかったのか!?何でヒュプノス神やらお供の皆さんまで一緒なんだよ!?」 「クリスマスイベントに対する熱心さの表れ…と言う事でしょうか。それにしても錚々たる顔ぶれでしたね」 「ハービンジャーの言う『お供の皆さん』は恐らく、冥界三巨頭でしょう」 「冥界三巨頭?」 「云わば冥界の黄金聖闘士だ。しかし三人しかいないだけあって、その実力レベルは黄金聖闘士より一つか二つ上だろう」 「冥界の幹部が総出でお出ましか…彼らが地上で問題を起こすとは思えないが、滞在期間中は気が休まりそうにないな」 「助けてもらったお礼を言うどころじゃなかったわね、シラー。…シラー?」 シラーが呆然としたまま扉を見つめている事に気付いたパラドクスが、彼に歩み寄って目の前でひらひらと手を振って見せた。シラーの様子がおかしい事に気付いたのかハービンジャーもやって来た。 一瞬遅れて我に返ったシラーが、まだ夢を見ているような顔で目にかかった髪を払った。 「え…あ…そう、だね。お礼、言えなかった…何か、もう、圧倒されちゃって」 「無理もねーだろ。双子神様にもう一人神様がいてついでに冥界三巨頭様もいるあの状況で『ちょっとスイマセーン』なんて声掛けられる奴なんていねーよ。気にすんな、次の機会でいいだろうよ」 「…うん……」 ハービンジャーの言葉に曖昧な生返事をしたシラーは床に視線を落としたまま何か考えていたが、意を決したように顔を上げた。 「…………。…やっぱり僕、タナトス様にお礼を言ってくるよ」 「え?」 「お会いしたのにお礼を言わなかったなんて、どう考えても失礼だし、何か落ち着かないし。今すぐ追いかければ間に合うと思うから、行ってくる」 「まぁ…確かにお礼を言わないのは失礼ね」 「そんならシラー、俺も付いてってやろうか?」 「必要ないよ。命を助けてもらったお礼を言うのに『保護者同伴』なんて、情けないじゃないか」 「それもそうか。じゃ、俺とパラドクスはここで待ってるから、寄り道しないで戻ってこいよ」 冗談を言える程度の精神的な余裕があるなら大丈夫だろう、と思ったハービンジャーとパラドクスは、シラーの為に部屋の扉を開けてやった。 …緊張のあまり思考が停止したシラーの記憶から重要な情報がすっぽりと抜け落ちていたことなど、全く知らないままで。 ………… シラーは大きな振り子時計の陰に半ば隠れるようにしてタナトスの様子を伺った。 神々の小宇宙を追って名古屋駅の構内に入ったまでは良かったのだが、声をかけるタイミングが全く掴めずにいたのだ。 冥界一行はあっちに行ったりこっちに行ったり、時折立ち止まったり引き返したり、何だか迷子を楽しんでいるようにすら見える。それは別にいいのだが、神 様と冥界三巨頭が一緒に行動しているところに声を掛けるのはどうにも気が進まない。命を救われた礼を言いに来たアテナの黄金聖闘士に彼らが危害を加える理 由など全くないのだから遠慮なく近づいて声をかければいい…と頭では思うのだが、神々と三巨頭の迫力に圧倒されてどうしても二の足を踏んでしまう。 (保護者同伴なんて情けない、なんて言わずにハービンジャーに一緒に来てもらえば良かったかなぁ…いっそ今から彼に来てもらって…いやいやダメだ、そんなことしたら後から何を言われるか分かったもんじゃないよ) せめて神様だけでも別行動を取ってくれれば多少なりとも声を掛けやすいんだけど…。 そんな事を思いながら、踏ん切りがつかないシラーが冥界一行の後を付かず離れずついて行っていると、長い行列ができているドーナツ屋の前で一行が立ち止まった。何か話しているようだが、離れているせいで声は聞こえない。 (今がチャンス、かな) 意を決したシラーが足を踏み出そうとした時、双子神と少年神が三巨頭をドーナツ屋の前に置いて歩きだした。 理由は分からないが、神々と三巨頭は別行動を取るらしい。タナトス神に声をかけるなら今しかない、そう思ったシラーが神々の後を追いかけようとした途端。 「ちょっと待った、お兄さん。ウチの神様に何の御用かな?」 「…………!」 一瞬前までドーナツ屋の店前にいたはずの黒髪の若い男が、警戒心を隠しもしない笑顔を浮かべてシラーの前に立ちはだかった。 ギクリとすると同時に右隣から声がした。 「タナトス様は『話し掛けて来なければ捨ておけ』と仰せだったが、神々を護衛する役目の我々が尾行者を放置する事はできんのでな」 声の主は意思の強そうな一本眉の男。 「そういう訳で、ちょっとお話を伺えますか?アテナの黄金聖闘士さん」 左隣に立っている整った顔立ちの優男が冷ややかな笑みを浮かべて言った。 ものの見事に冥界三巨頭に囲まれてしまった。 …最悪だ。 背中を冷たい汗が流れるのを感じながら、シラーは唇を噛んだ。 一方その頃。 冥界の神々を出迎える任務を終えた黄金聖闘士達が帰還する中、自分達も帰還しようと部屋を出ようとした玄武とミケーネは、シラーの姿がいつの間にか消えている事に気付いた。ふと部屋の片隅を見れば、ハービンジャーとパラドクスが人待ち顔で雑談している。 シラーの姿が見えない事と、あのふたりが帰る様子を見せない事に関係があるのだろうか。 同時に同じ事を考えた玄武とミケーネは顔を見合わせ、ハービンジャーとパラドクスに歩み寄って声をかけた。 「…おい、シラーはどうした?姿が見えないが」 「タナトス神にお礼を言いそびれたから、お礼を言ってくるって神様達を追いかけて行ったわ」 「変なところで律儀だよなぁ、アイツ」 「いや、命を助けてもらったのだから礼を言うのは当然だろう」 「…あの、ちょっと良いですか」 彼らの会話が聞こえたのか、魔法陣の砂を片づけていた貴鬼が酷く真剣な顔で声をかけて来た。 「ん?何だ?」 「シラーがタナトス神を追いかけて行った、と聞こえたんですが、本当ですか?」 「ああ、本当だけど?」 「あなた達がここにいると言う事は、彼ひとりで…と言う事ですよね」 「そうだけど…何?」 貴鬼の顔がどんどん緊張していくのを見て、パラドクスが不安そうに尋ねた。 彼女に釣られたように不安そうな顔になる皆の姿に貴鬼は少し悩み、躊躇いがちに口を開いた。 「教皇様から以前ちらりと伺ったのです。タナトス神は蟹座の黄金聖闘士がお嫌いだ…と」 「え?」 「何?」 「はぁ?何を馬鹿な事言ってんだ!タナトス神はシラーを助けてくれたんだぞ。あのタナトス神が嫌ってる人間を助けたりなんてするかよ!」 「嫌っているからこそ助けた、と仰せだったそうです。今の冥界は復旧途中、その復旧途中の冥界に嫌いな奴が居座るなど我慢ならぬ、という理由でシラーを助けたのだ、と。てっきりこの話はシラーも知っているとばかり思っていたのですが…」 貴鬼の言葉に皆の表情が変わった。 パラドクスが不安そうに皆を見回してそっと尋ねた。 「え…じゃあ、さっき、タナトス神がシラーに何の反応もしないで出て行ったのは、彼の顔を覚えてなかったとかじゃなくて、意図的に無視したってこと?」 「可能性はあるかもしれんな」 「ちょっと待て、だったらヤバくねーか?波風立てねーためにわざと無視したシラーが御丁寧に追いかけてきたら、あの死神様ご機嫌損ねるんじゃ…」 「機嫌を損ねる程度で済めばいいが…」 玄武の発言に場がしんと静まった。 自分で言った言葉にハッとした玄武が慌てて首を振った。 「いや、冥界と聖域の和解が成立した今、タナトス神が蟹座の黄金を嫌っているとは言え、あからさまにそれを表に出すとは思えん。表面上は何事もなくやり過ごすだろう」 「そうね。シラーが戻って来るまで大人しく待ちましょ」 「それが良かろう」 「だよな、そーだな。下手に俺が様子見に行ったりしたら逆効果だよな。…………」 腕を組んでうんうんと頷いたハービンジャーは、天井を仰ぎ、床を見て、扉に目をやり、そっと皆を見回して尋ねた。 「…なぁ。電話するのはセーフか?」 「それは…ギリギリセーフ、でしょうか…」 「シラーの携帯がサイレントかマナーになってればセーフだろうが…」 「あいつがいるのは駅の中だろう?着信音が鳴っても聞こえないんじゃないか?」 「それだと、シラーが出られるかどうかも分からないわね」 「タナトス神と話している最中だったら電話を取るのは無理だろうしな」 「…よし!気になって仕方ないから電話してみるわ!それくらいならいいだろ、なっ!」 ハービンジャーはポケットから電話を取り出してシラーの携帯に電話をかけた。 呼び出し音は鳴っているがなかなか繋がらない。 まだか、まだか、まだか。 皆が固唾を呑んでハービンジャーを見つめているせいか、ほんの十回足らずのコールが酷く長く感じる。 …呼び出し音が途中で切れて、ぶっきらぼうなシラーの声が聞こえた。 『…何?』 「シラー!良かった、なかなか繋がらねぇからどうしたのかと思ったぜ!」 『そんな大声出さなくても聞こえてるよ。で、何?』 「あ、いや、戻るのが遅いからよ、迷子にでもなってねーかなーと思って…」 『冥界三巨頭に掴まって取り込み中なんだよ。とにかく、後で折り返すよ』 「え!?ちょ…」 プツッ。ツー、ツー、ツー…。 とんでもない発言の意味を問い質す前に電話は一方的に切られ、慌てて掛け直したが、電源を切っているらしく呼び出し音すら鳴らなかった。 携帯を見つめて呆然としているハービンジャーの姿に、通話が聞こえなかった皆も不吉な何かを察したらしく不安そうに尋ねた。 「…どうだった?」 「電話は繋がったようだが」 「シラーの奴、冥界三巨頭に掴まったって…」 「え!?」 「取り込み中だから折り返すって言って、切れちまった。電源ごと切っちまったみたいでさ、掛け直しても繋がらねーんだけど…」 「それって、大ピンチなんじゃ…」 「あの馬鹿!世話かけさせやがって!」 大股に扉に向かった玄武の背中に、ミケーネが静かな声をかけた。 「…どこに何をしに行くつもりだ、玄武」 「決まっているだろう、シラーを助けに…」 「一体いつ、シラーが『助けてくれ』と言った?」 「え?…」 何を言っているんだ、と言わんばかりの顔でカッカしていた玄武がミケーネの言葉に目を瞬いた。半ば玄武を追いかけかける体勢に入っていたハービンジャーも怪訝そうな顔でミケーネを見つめた。 ミケーネは努めて冷静な口調で続けた。 「シラーは『取り込み中だから後で折り返す』としか言っていないのだろう?」 「え、でも、『冥界三巨頭に掴まった』とも言ってたぜ」 「それは『タナトス神に声をかけようとしたら彼らに制止された』という意味であり、物理的に拘束されたわけではないだろう。さっきも言ったが、冥界の神や 三巨頭達がアテナの黄金聖闘士に…しかもタナトス神に命を助けられた礼を言いに来たシラーに危害を加える理由など何もない。下手に我々が『助けに』行って みろ、『冥界三巨頭がシラーに危害を加えるのではないかと疑いました』と言うようなものだ。聖域と冥界の間に要らぬ波風を立てることになるぞ」 「それは…そうだが…」 「ミケーネの言う通りです。シラーが『折り返す』と言ったのなら、大袈裟な言い方ですが『安全に解放される確信がある』と言う事ですから」 「そっか。そうだな。そうだよな」 「駅の構内なんて人目があるところでトラブル起こすような事はあちらだってしないでしょうし、ね」 ミケーネと貴鬼の言葉に三人は自分を納得させるように頷いた。 …が。 「っあー!!ダメだ、やっぱり気になって仕方ねぇ!俺、シラーを探しに行く!」 落ち付かなさが我慢できなくなったハービンジャーが大声で宣言して扉に向かった。 彼を止めるのはとっくに諦めた顔で貴鬼が尋ねた。 「『何故来たんだ』と聞かれたら何と答えるつもりです?」 「聞かれてから考える!!」 「…………」 勢いよく扉を開けて部屋を飛び出していくハービンジャーを見送った玄武が、床に視線を落として数瞬迷い、何かを決意した顔を上げて扉に足を向けた。 「…玄武」 「あちらさんが三人なら、こちらも三人出ていいだろう」 ミケーネに背を向けたままそう言って、玄武はハービンジャーを追いかけて行った。 釣られたようにパラドクスも二人を追おうとしたが、ミケーネが彼女の腕を掴んで引きとめた。 「ちょっと!どうして止めるのよ!?」 「さっき玄武が言っただろう。あちらが三人なら、こちらが出ていいのはシラーを含めて三人までだ」 「でも、…………」 パラドクスは何か抗議しようと口を開き、ミケーネと貴鬼の真剣な眼を見て渋々口を閉じ、苛々と爪を噛んだ。 「全くもう、男って本当に馬鹿なんだから!絶対に、絶対に問題を起こすんじゃないわよ!無事に帰って来なかったらただじゃ済まないんだから!」 |
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当初の予定では、この話がシオンのお説教のすぐ後に来るはずでした。それなのにハビさんや玄武君の存在感がどんどん増して行ってこんな長さに…。でも、シラーさんを大好きで気になって心配で仕方ないハビさんや玄武君やパラさんの姿は書いてて楽しかったです。 前半部分の解説は長くなったので後に回すとして、後半の解説から。 冥界の神々+三巨頭がクリスマスイベントの下準備でやって来る部分は、SS「聖夜」の第三話です。なので、ラダ課長が言っている『我々の後をつけて来る 者』はシラーさんのことです。あのSSを書いた時はまだΩも始まってなくて、漠然と「無印聖戦から20年以上たってるから、黄金も全員入れ替わってるん じゃないかなぁ」という軽い気分で話を書いたのですが、まさかあの思い付きがこんなに便利に使えるとは。当時の自分GJ!という感じです(笑)。 死を嫌っていたシラーさんがタナトスを崇拝するようになったのは、命の恩人である事+タナトス本人に一目惚れしたから、と言う理由です。子供の頃から ずっと、死は醜悪なものだと思っていたけど、死の神とはこんなにも美しい存在だったのか!と衝撃に近い感銘を受けたと言うのもあります。 誰がどのセリフを言っているのか分かりにくいかと思ったので、発言者の名前付きも最後に入れました。はっきりとは決めてませんが、アモールとソニアは兄 妹設定になるかなぁ…と思っています。ちなみにシラーさんが忘れていたのは『タナトス神は蟹座の黄金聖闘士が嫌いだ』という話です。 この話を考えていた頃は、『タナトス神は蟹座の黄金聖闘士が嫌いだ』という話を忘れてシラーさんがタナトスを追いかけて行ったと聞いたイオニアが『あの馬鹿もんがーーー!!!』と激怒して、ハビさんが『俺が言って連れ戻してきますわ』という流れを考えていました。 それから、タナトスはシラーさんの顔どころか蟹座の黄金を助けたことも忘れています。そして冥界三巨頭ですが、アイアコスとラダマンティスが地上に来る のはこれが初めて、ミーノスは二度目です(一回目は、シラーさんを聖域に返すタナトスに同行)。が、黄金に出迎えられて地上訪問はこれが初めてです。 次の7話目は三巨頭視点で、三巨頭とシラーさんの緊張感バリバリの会話エピになる予定です。 考えていたけど没になったエピその1 ハビさんの日課は十二宮一周ジョギングで、そのついでにスケジュール表を配って回ると言う設定を考えてまして。で、↓のようなやり取りをする流れを考えていました。 ハビ 「ほれ、今月のスケジュール表」 シラー 「ありがと、ついでにコーヒー飲んでく?」 ハビ 「おー、飲んでく飲んでく!ところでお前、明後日命の恩人と対面するわけだけどry」 ちなみに、冥界を『外国の要人』と記載しているのは、『冥界の神々出迎え』と記載されているスケジュール表をハビさんが宮に出しっぱなしにしていたら、何気なくそれを見た女官が大騒ぎしたから、という設定があります。 んで、お茶会の流れは色々考えていたのですが、おさまりが悪く色々と没になったおかげで随分と話が短くなりました。没にした話は最後の方に。 没にしたエピその2 色々と口の軽いハビさんが『教皇に説教されたシラーさんが泣いて帰って来た』と話をしようとして… シラー 「その話をしたら毒殺するよ?」 ハビ 「毒殺する、と言われてから出されたものをホイホイ飲むかよ」 シラー 「うん、そう思ったから君のコーヒーにもう毒薬を入れてある」 ハビ 「えー!!??」 シラー 「昨日の事を絶対言わないって約束すれば解毒剤をあげるけど(にっこり)」 ハビ 「約束しますします」 …とまぁこんな話があって、茶会がお開きになって玄武+ミケさんが帰ろうとしたら、一足先に帰ったハビさんが「解毒剤もらい忘れた〜!!」と戻って来 る。で、それを見た玄武+ミケさんは「あのハービンジャーがわざわざ帰って来るって事は、シラーは本当に毒を仕込んでたのか?そしてハービンジャーも毒を 盛られて痛い目を見たことがあるのか?」と考える…という話。 没にした話その3 玄武君とミケさんの茶会後の会話で、ミケさんが知ってしまった『シラーの養父が関わっている会社の内部事情』 かなーり真面目に考えたのですが、真面目に考えた分とんでもなく長く複雑になってしまったので没に。没にはなりましたが裏設定として存在しているので、今後のSSで出てくるかもしれません。 シラーさんの養父の職業は、世界屈指の製薬会社『グリーンX』の某国支社長。ちなみに『グリーンX』とは、『魔人探偵脳噛ネウロ』にチラと登場した大手 製薬会社です。その内部では人体実験を行いバイオ兵器を開発中、親会社は世界最大の兵器メーカー「ヘキサクス」という設定になっています。当サイトでも概 ねその設定を踏襲しています。 で、シラー養父がグリーンX某国支社長に就任したのは2年ほど前、つまりシラーさんが蟹座の黄金に任命された時期の少し後です。『息子』の存在が彼の出 世を後押しした事は公然の秘密。軍事兵器を作る超絶ダークでブラックな会社ヘキサクスから見れば、超人的な力を持ったアテナの黄金、しかも暗殺向きな力を 持った蟹座の黄金は護衛としても暗殺者としても魅力的な存在。ついでに城戸沙織を通してグラード財団と繋がれるというおまけつき。「ヘキサクス」はシラー さんを自分達の手駒にするための第一歩としてシラー養父を子会社の師社長に抜擢したのです。つまり「将を射んとするならばまず馬を射よ」。シラー養父は 「ヘキサクス」のその下心に気付いた上で抜擢の話を受けました。これはシラーさんに愛情が無いわけではなくむしろ逆で、『息子が会社の道具にされないよう に、自分がもっとこの組織の中でのし上って今以上の権力を手に入れよう』と考えたためです。そして事実、シラー養父にはそれだけの力がある。 ちなみにシラーさんが養父の仕事にほとんど関わってないのも↑の理由の為です。中途半端な段階でシラーさんを会社に関わらせるとなし崩しに会社の駒にさ れてしまう可能性が高いので、『聖闘士の仕事が忙しい』『二十年近くも蟹座の適任者が見つからず、やっと見つかった後継者なので今聖域を去られては困る』 と言う口実で(事実でもありますが)聖域がシラーさんを保護しているという形になっています。ちなみにこの事を知っている聖域関係者は、アテナ、シオン、 童虎、イオニア、ミケさん、デスマスクの五人だけです。シラーさん自身は何も知りません。ちなみにシラーさんが卒業した大学は薬学部です。なので当サイト シラーさんは役に立つ物からヤバい物まで色んな薬が作れます。 後半部分の発言 時貞 「神々の目的地が名古屋など、初めてではないか?」 フドウ 「そうですね。いつもは東京かその周辺ばかりでしたが」 ソニア 「一体どういう風の吹きまわし?クリスマスのイベントは東京で開催されるし、今回の訪問目的はその下調べのはずでしょ?」 アモール 「アテナの親戚の神様を連れて観光もするから…らしいよ」 ハビ 「へぇ」 貴鬼 「はいはーい、魔法陣描きますからちょっとどいて下さーい」 アモール 「ああ、ごめんごめん」 ソニア 「っはー緊張した!!」 ハビ 「何だよオイ、タナトス神と一緒に来るのは『アテナの親戚の神様』だけじゃなかったのか!?何でヒュプノス神やらお供の皆さんまで一緒なんだよ!?」 フドウ 「クリスマスイベントに対する熱心さの表れ…と言う事でしょうか。それにしても錚々たる顔ぶれでしたね」 貴鬼 「ハービンジャーの言う『お供の皆さん』は恐らく、冥界三巨頭でしょう」 時貞 「冥界三巨頭?」 ミケ 「云わば冥界の黄金聖闘士だ。しかし三人しかいないだけあって、その実力レベルは黄金聖闘士より一つか二つ上だろう」 玄武 「冥界の幹部が総出でお出ましか…彼らが地上で問題を起こすとは思えないが、滞在期間中は気が休まりそうにないな」 パラ 「助けてもらったお礼を言うどころじゃなかったわね、シラー。…シラー?」 |