| 西暦2012年
12月31日、大晦日。 城戸財閥系列のホテルの一室で、マニゴルドは年末恒例の歌番組を見るともなく見ていた。衣装なのか舞台装置なのか分からない格好で出てくるいつもの歌手 がいないせいか、いつにもまして毒にも薬にもならない展開が続いている。 (これじゃーさっきの黄金歌合戦の方が面白かったなぁ…) そんな事を思いつつも特に他に見たい番組も無いので、マニゴルドは歌合戦鑑賞を続行することにした。 …去年に続いてアテナこと城戸沙織が主催した年末年越しパーティーには、冥界の神々と冥闘士達、聖闘士達、そして彼らの関係者が揃って参加した。療養中 の為に普段はエリシオンから出て来ないハーデスも、この時だけは仮初めの肉体に魂を入れて地上を訪れる。 そして、『去年はクリスマスに冥界関係者がイベントをやったのだから』という分かったような分からないような理屈で、今年は聖域の黄金達が出し物をやる ことになっていた。先鋒を務めた牡羊座の貴鬼は教皇シオンと弟子の羅喜と一緒に手品をお披露目し、続いた牡牛座のハービンジャーと双子座のパラドクスはプ リキュアのテーマソングを熱唱した。シュールな光景で皆を笑わせた後は乙女座のフドウと水瓶座の時貞が和服で現れ、『いつもより余計に回しております!一 日早いですが、おめでとうございま 〜す!』という決まり文句と共に染之助・染太郎ばりの大神楽を披露して皆を感心させた。今日の主役はこの二人だな、という空気が流れる中でエレキギターを 持って壇上に上がった蟹座のシラーと天秤座の玄武という異色コンビは、タナトスのデビュー曲『DeadendGame』のアレンジを本家を凌駕する圧倒的 ハイレベル 歌唱力で熱唱してタナトスの眉間に皺を刻ませた。色々な意味で静かになった会場に次に現れた山羊座のイオニアと獅子座のミケーネは、真顔かつ振りつけ付き でピンクレディーの『UFO』を歌い、観客の腹筋を崩壊させた。ベテラン二人の予想外の一発芸のインパクトは凄まじく、彼らの後に出て来た黄金が何をやっ たのか覚えていら れないほどだった。 「ぶふっ」 イオニアとミケーネの『UFO』を思い出したマニゴルドが思わず噴き出すと、部屋の内線電話が鳴りだした。慌てて頬をつねって思い出し笑いを消しつつ、 マニゴルドは電話を取った。 「はい、マニゴルドです」 『私です』 「アテナ?どうしたんです?ひょっとして冥界の皆様絡みで何かトラブルでもあったんスか」 楽しいことに目がないタナトス様とヘカーテ様に筋金入りの世間知らずのハーデス様、兄と上司の暴走に気付いても素知らぬ顔を決め込むヒュプノス様、そし て彼らを無責任に煽る冥妃ベルセフォネーこと龍神秋乃と争いの女神エリス。彼らが一丸となって何かやらかしてくれた日には冥界三巨頭ではとてもとても止め られない。それこそ黄金聖闘士を全員連れたアテナが出陣しないと無理だろう。 …などと一瞬で考えたマニゴルドが尋ねると、電話の向こうで沙織はクスリと笑った。 『もっと冥界の皆様を信じてあげなさいな、マニゴルド。トラブルなんて起きていませんわ』 「はぁ…じゃあ、何の御用事です?」 『タナトス殿の提案で今から初詣に行くことになったから、冥界の皆様と特に親交のある者に声をかけているの。勿論これは強制ではないわ。行きたかったら 10時半までにホテルのロビーに来て頂戴。それじゃ』 言うだけ言って電話は切れた。 ギリシアの神様が大和の神様に初詣ねぇ…と思いつつ、マニゴルドはきちんとシャツのボタンを留めてジャケットを羽織って外出の支度を始めた。 冥界のお偉方が初詣に行くと言うのならアテナも同行するだろうし、アテナが声をかけた『冥界の皆様と親交のある者』の顔ぶれを考えると、ここはやはり 突っ込み役兼ストッパーの自分がいた方が良いだろうと言う判断であった。 …雪こそ降っていないが流石に大晦日の夜は寒かった。が、冷たく清廉に澄んだ空気は夜の一族である死の神にはむしろ心地良く感じられた。 神社の奥に通じる砂利道から少し離れた御神木の傍らに立ったタナトスは、銀色の眼を入り口に向けて白い息を吐いた。 「遅いな、アテナ達は」 「アテナ達が遅いのではなくお前が急ぎ過ぎたのであろう。初詣に行くと決めてからホテルを出るまで10分も無かったではないか」 「初詣に行くメンバーが全員揃ってから出発すべきであったな」 「何か急に人も増えて来たし、聖域御一行様は初詣の混雑が始まるタイミングで出発しちゃったのかなぁ?」 「駐車場が開いてなくて探してるのかもしれないですね」 「聖闘士だったら車に頼らずに自力で走ってくれば良いだろうに。車に頼るなど、この時代の聖闘士は軟弱だな!」 タナトスの言葉にヒュプノスが突っ込んでハーデスが御尤もな意見を言い、エリスと秋乃が冷静に状況を分析し、偉そうに聖闘士を批判するヘカーテに三巨頭 が内心で『そういうあなたも車でここに来たじゃないですか』と突っ込んでいると。 「神様方と三巨頭のお三方〜俺を置いて行っちまうなんてあんまりじゃないですかぁ〜〜〜!!」 恨みがましく情けない声がかけられた。 声の主はソフト帽を被って無精髭を生やした妙に胡散臭いオーラを漂わせる東洋人…天魁星メフィストフェレスの杳馬だった。ルパン三世のような走り方で やって来る彼の姿に、タナトスは怪訝そうに首を傾げた。 「置いて行く?何の話だ?お前は確か、久方ぶりに会った妻を連れて大和の神に願い事をしに行くとか言っていたではないか」 「言いましたけど!俺は冥闘士、パルティータちゃんはアテナの従属神でこの時代では城戸沙織の秘書ですよ?俺は冥界の皆様と一緒に、パルティータちゃんは 聖域の皆様と一緒に移動するでしょ、普通は!」 「そうなのか?俺はてっきり、お前は妻と二人きりで移動するのかと思ってわざと誘わなかったのだが」 「ではお前は、聖域のメンバーと一緒に来たのか?」 「そうですよ、ヒュプノス様っ!アテナと聖闘士達に囲まれて『冥闘士なのに冥界の神様達に置いて行かれたのか…』って同情の眼で見られる居心地の悪さった ら!パルティータちゃんの手を握って何とか耐えしのぎましたけど、あの青い蟹座の視線が突き刺さりまくりでしたよ!!」 涙目で訴える杳馬の言葉に、タナトスはニヤリと笑った。 「フ…要するに妻と睦まじくしていたわけだな」 「何でそーなるんですかタナトス様!」 「要するにアテナや聖闘士達も到着したと言う事だな」 「ヒュプノス様まで俺を置き去りにしたことはスルーですか…。はいはいそうですよ、聖域御一行様も到着ですよぉ」 不貞腐れた半べそ顔の杳馬が後ろを振り返った。神々と三巨頭が彼の視線を追うと、日本の神社では盛大に浮きまくる髪色の御一行様がやってくるのが見え た。 先頭にいるのは城戸沙織、彼女の隣にオウルのパルティータ、そのすぐ後ろを星矢と一輝・瞬兄弟、蟹座のマニゴルドとシラー、牡牛座のハービンジャー、双 子座のパラドクス、天秤座の玄武がついてくる。 心持ち急ぎ足で冥界一行に歩み寄った沙織は、白い息を吐きながらにこりと笑った。 「せっかくお誘い頂いたのにお待たせしてごめんなさい」 「いや、我々が急ぎ過ぎただけだ。実際、早く到着したからと言って特に何がどうという事も無かった故な」 「それにしても意外な顔がいるねー。シラーの相方ふたりはともかく、マニマニとそっちのオレンジ髪のオニーサン…ええと、スザクだっけ?まで来るとは思っ てなかったよ」 「玄武だ!…星矢達にシラー達じゃ冥界の皆と遊ぶことに気を取られそうだからな。真面目にアテナの護衛をする奴が必要だろうと思ったんだ」 「俺が同行した理由も玄武と同じだよ。コイツは俺と同じで常識人だが、タナトス様達と漫才トリオが盛大にやらかした時に一人じゃ止められないかと思って な。ま、身支度してロビーまで行ったから部屋に戻るのが面倒だったってのもあるけどよ」 「酷いなーマニゴルド。現役引退したとはいえ俺達だって心は聖闘士、アテナの護衛を忘れて遊んだりなんかしないぞ。ま、俺達よりオウルさんや現役黄金の方 が適任だろうけど!」 「あのさ先輩、僕とハービンジャーとパラドクスを纏めて『漫才トリオ』って言うのはやめてくれない?」 「あらあらシラー、さりげなく私を漫才トリオに入れないでくれる?トリオの三人目はマニゴルド先輩か玄武でしょ?」 「ちょっと待てパラドクス。俺がいつシラーと漫才やったよ?」 突っ込みどころが満載過ぎて逆に突っ込む気にもなれないいつもの会話に口元を綻ばせつつ、タナトスはシラーに目をやった。大晦日なので皆コートやマフ ラーで防寒対策をしているが、彼はフカフカのコートを着こみ、鼻まで隠れるような大きなマフラーをグルグルに巻き、モコモコのミトンの手袋をはめて耳モフ まで付けると言う重装備なのにまだ寒そうにしている。 「それにしてもシラー、随分な重装備だな。元からムク犬のような見た目だったが、ますますもってムク犬のようだぞ」 「あ…僕、寒いのが本当に苦手なんです。暑いのは割と大丈夫なんですけど」 「シベリアでの任務の時は暖房をガンガン効かせた部屋で部下に指示を出すだけで自分は出て来なかったからな。それで問題なく任務を遂行したんだから別の意 味で大したものだが」 タナトスのからかうような言葉にも嬉しそうに微笑んで言葉を返すシラーを見ながら、玄武が悪口なのか褒め言葉なのか判別のしにくいコメントをした。それ を聞いていたハービンジャー(こちらはシャツの上にジャケットを羽織っただけの軽装だ)が得意気な顔でふんぞり返った。 「聖闘士の癖に変なとこで軟弱だよなぁ、お坊ちゃまは。心の小宇宙を燃やせば寒さなんてどってことねーだろ!心頭滅却すれば火もまた涼しって言うじゃねー か!」 「おい牛、その発言は突っ込み待ちか?それとも素か?」 「熱血馬鹿の君と頭脳派の僕を同列に語らないでくれるかな。…あー、寒っ」 「しゃーねぇなぁ。年中ポカポカの俺が肌であっためてやるから、遠慮なくこの胸に飛び込んで来いよ、シラーちゃ…」 「「なんでやねん!」」 ドゴッ!!! 全く同じタイミングで全く同じセリフを言いながら、マニゴルドはハービンジャーの後頭部をグーパンし、シラーは手袋を填めた手でハービンジャーの顔面に 裏拳を叩きこんだ。勿論と言うべきか、二人とも手加減なしの全力である。 「あだっ!!ちょ、お茶目なジョーダンだっつーのに何でマジ突っ込みするんだよ!シラーだけなら分かるけどマニゴルド先輩まで!!」 シラーとマニゴルドに同時にどつかれたハービンジャーが顔と後頭部を押さえて涙目で抗議すると、蟹座コンビは眉間に皺を寄せて冷ややかに口を開いた。 「ボケた奴には『なんでやねん』と言いながら突っ込むのが礼儀だろ?」 「おい牛。ただでさえ寒いのに背筋が寒くなるような発言すんじゃねーよ。お前が空気読めないのは百も承知だが敢えて言うぜ。空気読め。この場に流れるクソ 寒い空気を読め!」 「ちょ…二人してそんな冷てぇこと言うなよ!俺の心が寒くなるじゃねーか!」 「お前は『心の小宇宙を燃やせば年中ポカポカだから寒さなんてどってことない』んじゃなかったのか」 「うぐ」 玄武の冷静な突っ込みにハービンジャーが詰まると、タナトスが楽しげに笑いながら沙織を見遣った。 「流石は黄金聖闘士、年末番組に出演していたどのお笑い芸人よりも面白い漫才だな」 「ええ。何と言っても『有能で洒落が分かり歌って踊れて笑いも取れる新時代の聖闘士』ですから」 「本当、いつからアテナの聖闘士はお笑い芸人になったんだろうねぇ…」 「さしずめ『11時だよ、全員集合!』ってやつだな!」 「うまいな、星矢」 「ところでタナトスサマ。全員集合したけど日付が変わるまでまだ結構時間あるぜ。それまでどーすんだ?」 「ん?色々な屋台も出ているし、見て回れば良いのではないか?」 「この人ゴミの中をこの大人数で移動すんの?それはちょっと無理があるんじゃないか?」 「…………」 星矢に突っ込まれたタナトスは目を瞬き、腕を組んで星空を仰ぎ、顎に手を当てて俯き、真面目に悩み、ふと何かを思いついた顔でポンと手を打った。 「そう言えば、大晦日には年越し蕎麦を食べるのがこの国の文化であったな。寒さに弱いシラーもいることだし、店に入って皆で蕎麦でも食べればよかろう?」 「この時間に営業してる蕎麦屋なんてあんの?」 「あっても混んでるだろうね。この人数が一度に座れる店なんて無いんじゃないかな」 「店の外で寒さに震えながら順番待ちをしている間に年が明けるな」 「その前に『寒さに弱い』シラーが凍死すんじゃねーの」 「む…」 星矢と一輝と瞬とマニゴルドに順番に突っ込まれたタナトスが今度こそ言葉に詰まると、寒さのあまり涙目になっているシラーが口を開いた。 「あの、タナトス様。無理に皆で一緒に行動しなくても、待ち合わせの時間を決めてそれまでは別行動で良いんじゃありませんか?待ち合わせ時間が近くなった らタナトス様かアテナに合流することにしておけば集合もスムーズにできそうですし」 「…ふむ。確かに、無理にこの人数で固まって動くよりその方が良いかもしれんな」 ぐるりと皆を見回したタナトスは、シラーの提案に異を唱える者がいないのを見てにこりと笑った。 「では決まりだ!待ち合わせ時間は1時間後の11時50分。時間になったら俺はアテナと合流する故、皆は時間までに俺かアテナに合流するのだぞ。それまで は各自自由行動だ!」 「オッケー、兄貴!じゃあ沙織さんとパラドクスは私達女子グループに合流ね!逆ナンしに行こっ!」 「ちょっと小腹が空いたから俺は食べ物屋を探しに行くぜ。何か食べたい奴は一緒に来いよ!」 「僕は破魔矢を買っておこうかな。日付が変わったらますます売店が混みそうだし」 「俺はパルティータちゃんとデートしてきますわ。正月休みが明けたらまた遠距離恋愛ですからねェ」 「ならば俺は参拝ルートを確認しておくか」 「僕はコンビニに温かい飲み物でも買いに行ってきます。良ければ皆さんの分も買ってきますけど、何かリクエストとかありますか?」 本当に寒さがこたえているらしく、唇と声を震わせながらシラーが皆に尋ねると、真っ先にハービンジャーが手を上げた。 「あ、俺コーンスープな!粒の入った奴!」 「私はカフェオレがいいわ」 「僕は何でもいいよ」 「俺はコーヒー!ボスの微糖よろしく!」 「コーヒーなら何でもいいぞ」 「私は紅茶お願いね」 皆が好き放題言うのに嫌な顔一つせず頷いているシラーの姿を見て、冥界三巨頭のひとりグリフォンのミーノスが歩み寄った。怪訝そうな目を向けるシラーに ミーノスはそつのない笑顔を見せた。 「一人で全員の希望を聞いて飲み物を買って来て配って回るのは大変でしょう。私もお手伝いしますよ」 「ありがとう、助かるよ。でも悪いねぇ、冥界三巨頭の君にお使いの手伝いさせちゃって」 「フフッ…自主的にお使いを申し出た黄金聖闘士のあなたがそれを言いますか」 「神様と年上の先輩聖闘士しかいないこの場所じゃ、僕は下っ端だからね」 「…なら俺も買い出しに付き合おう。その理屈で行くと、お前より年下でお前より後に黄金になった俺が一番の下っ端と言う事になるからな」 ミーノスとシラーの会話を聞いていた玄武が、申し出と言うより宣言のような口調で言った。彼の行動は意外だったのか、シラーは怪訝そうに目を瞬いた。 「買い出しって言っても飲み物だけし、二人いれば十分だよ。ひょっとして玄武、僕とミーノスが喧嘩するかもしれないとか心配してる?」 「俺は別に、心配なんか…。先輩を使い走りにするのが心苦しいだけだ」 「…シラー。飲み物以外の物も買いたくなるかもしれませんし、彼にも同行して頂けばいいじゃないですか。それに、確かに私とあなたは以前はギスギスしてい ましたからね。今は不仲でないことを実際に見てもらった方が納得してもらえるでしょう」 「ん、それもそうだね。じゃあ皆のリクエストを忘れる前にサクサク行こうか」 「ああ」 踵を返しかけた三人の背中に、ハービンジャーがふと思い立った顔で声をかけた。 「あ、ついでに豚まん買ってきてくれ!」 「注文が多いよ、ハービンジャー。そんなにあれこれ要求するなら君も一緒に来ればいいだろう?」 「やめておけ、シラー。牛を連れて行ったらあれもこれもと奢らされるぞ。適当に請け負っておいて忘れたふりして戻ってくればいい」 「えー?良いじゃねーか豚まんくらいよー。豚がなかったらカレーでもピザでも構わねーから中華まん一個頼むわ」 「仕方ないなぁ…覚えてたら買ってくるけど、売り切れてるかもしれないからね。その時は諦めてよ?」 「オッケーオッケー!やっぱシラーちゃんってば人の上に立つ器だなぁ、ガキの天秤と違って心が広いぜ!」 「全くもって同意だねー。自分からパシリを名乗り出て、皆のリクエストを聞いて、我儘はキッチリ諭しつつも聞いてあげる。きっと気を利かせて私達の為にコ ンビニデザートも買ってきてくれるはずだよっ。これじゃーシラーが女の子に人気があるのも納得だよねぇ。そう思わない?マニマニ」 ハービンジャーの言葉に便乗したエリスが無理のある褒め言葉を言いながらマニゴルドをちらっと見た。シラーを褒める体を取りながら、要するにマニゴルド に『彼らの買い物に同行して女性陣の為にデザートを買って来い』と言っているわけだ。 …と、頭では理解できる。エリスの言葉は挑発だから大人の対応で受け流すべきと理屈では思う。だが、女運の話題に絡めて蟹座の後輩シラーを引き合いに出 された 以上、マニゴルドには『勝負から逃げる』と言う選択肢はない。何をどう勝負しているのか謎だが、それはこの際問題ではないので突っ込んではいけない。 マニゴルドはピキピキと頬を引き攣らせて半ばやけくそで叫んだ。 「分かった分かった分かりましたよエリス様。女性陣の為に俺がデザートを買ってきますよ、買ってくればいいんだろ!ご希望をどうぞ、お嬢様方っ!!」 「あ、行ってくれるの?ありがとっ!私プリンね!」 「私はティラミスな」 「ソフトクリームよろしく!」 「私は和菓子が良いわ。あ、どら焼き以外でね」 「チーズケーキお願いしまーす」 「………。あんたら、遠慮って言葉を知らねーのかよ…」 好き勝手言ってくれやがって…とぼやきながら、マニゴルドは大股に買い出し組に歩み寄った。 クスクス笑うシラー、無表情の玄武、そつのない淡い笑みを浮かべたミーノス、そして仏頂面のマニゴルドと言う奇妙な四人組は、白い息を吐きながら大晦日 の町へと歩いて行った。 |
| 星矢部屋 | 総合目次 | SS・2012時代 | SS・神話時代 | SS・蟹座達 |
| リアル2012年の最後に、一年の総括と2013年の抱負紹介(この
SSでメインで出てくるキャラが2013年に私が書く予定の話で出番が多い)を兼ね
たSSを書こうと思って見事に遅刻した作品です。当サイト独自設定の冥界神々がちょっと顔出ししていますが、本編にはほとんど絡んできませんので詳細設定
を御存知なくても特に支障はないと思います。後半は全くと言っていいほど出て来ないかと…。詳細設定を知りたい方は『神々+αの設定紹介』をご覧ください
ませ。 あとは、私の脳内にあるΩ黄金+マニさんの立ち位置と言うか距離感と言うか感情の矢印の方向とかを整理・紹介するのも兼ねています。2013年1月現在の設定ですが… シラーさんとマニさんは決して互いを嫌ってはいないけど、シラーさんはタナトスと近しいマニさんが羨ましい。女運ゼロ運命に抗うマニさんは女の子にモテ るシラーさんが羨ましい。ライバル意識があったりノリは合うけどソリが合わなかったりで微妙な距離感。ハビさんとシラーさんは喧嘩や漫才しつつも仲の良い 友達。玄武君はシラーさんが気になって仕方なくて、ハビさんにちょっとライバル意識があったり。シラーさんはミーノスとそれなりに気が合う模様。ミケさん はそんな皆を温かく、パラさんは(腐女子的な意味で)腹黒く見守っています。 以下、順番に解説など。 ・サブタイ 今後も2012年が繰り返されると思うので『輪廻』で。字面重視の為、あまり深く意味は考えてないです(笑)。 ・地上を訪れたハーデス SS『聖夜』で使ったのと同じ、『月桂樹』という小さな男の子の肉体を使っています。 あとは、私の脳内にあるΩ黄金+マニさんの立ち位置と言うか距離感と言うか感情の矢印の方向とかを整理・紹介するのも兼ねています。2013年1月現在 の設定ですが… ・黄金隠し芸大会 最初は黄金歌合戦にしようと思っていたのですが(フドウさん+時貞は演歌を歌う予定でした)、貴鬼が何を歌うのかさっぱり想像できず、隠し芸大会になり ました。フドウさん+時貞が披露した『大神楽』とは、傘の上で毬や升や急須(!)を回す大道芸のことです。イオニア+ミケさんが歌った『UFO』は振付も 含めて有名だと思うのですが、御存知ない方はこちらの動画をどうぞ。↓ オリジナルはこちら↓ ・杳馬&パルティータ夫妻 杳馬と言ったらトレードマークがシルクハットですが、21世紀の日本であの恰好は流石に変かなと思ってソフト帽を被ってもらいました。無印聖戦でも天魁 星の冥闘士として参戦していましたが、LC時代の聖戦のことも自分がカイロスだと言う事もその時は覚えておらず、復活後に記憶を取り戻したと当サイトでは 設定しています。パルティータは沙織の秘書をしていて、杳馬とは『遠距離夫婦』です。詰まり杳馬が冥界に単身赴任中。 ・玄武を『スザク』と間違えるエリス エリスは玄武とあまり面識がないので名前もきちんと覚えてません。玄武と朱雀がごっちゃになったのは、『反逆のルルーシュ』でゲンブ・スザクという親子 が出て来ていたためです。玄武君の名字が『柩木』ではないかと思っているのは私だけではないはず…。 ・飲み物を買いにコンビニに行くシラーさん とシラーさん+マニさん+玄武君が別行動を取る口実が欲しかったので。自動販売機のコーヒーでも良いかな、と思ったのですが、話を膨らませる為にコンビ ニまで行ってもらう事にしました。 ・同行を申し出る玄武君 シラーさんをミーノスと二人にするのが心配だったのもあるし、シラーさんとつるみたいと言う理由もあります。ハビさんの同行を拒否したのは、ハビさんが 来るとシラーさんを取られちゃうのが嫌だからです。 ・マニさんを挑発するエリス マニさんがシラーさんの買い物に同行する口実が欲しかったので。 |